2005年7月8日
「段戸裏谷原生林-1(だんどうらだにげんせいりん)」
北設楽郡設楽町
地図
撮影 OLYMPUS E-10
前から行きたいと思っていた段戸裏谷原生林。 通称「きららの森」。 何といっても、原生林という響きに惹かれる。 なかなかに遠かった。名古屋の東端からでも 約1時間45分。細いくねくねの峠道なので、 距離以上に遠く感じたというのもあった。 (その分、帰りは下りで早かったけど。) 写真は段戸湖。フライの鱒釣りで有名なところ。 段戸川をせき止めた半人造湖だけど、 水は自然のものだからきれい。 |
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無料駐車場もある。 30台かもっととめられそう(手前にもある)。 釣り客用でもありハイカー用でもある。 |
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釣りは有料。1日3,000円らしい。 虹鱒を放流してあるようだ。 ここではこうやって水に浸かって フライフィッシングが主流のようだった。 私は散策なのでもちろん無料。 湖の横を通って散策路を行く。 |
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水の中をのぞいたら、 あ、いる。 この通り水の透明度は高い。 虹鱒はきれいな水しか生きられないから 当然といえば当然だけど、 こんなに人の姿が見えていても 釣れるものなんだろうか。 というか、岸からエサ付けて釣った方が早そう。 などと言ってはいけない、いけない。 それじゃあ、観光地の鱒釣りだ。 |
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何故か自転車に乗った麦わら帽子のおじさんが 横を通っていった。 え? どっから来たんだ? このあたりに民家なんてまるでないのに。 森林の関係者の人だろうか。 とりあえず挨拶したら、蝶撮ってるの? と訊かれた ので、このあたり一帯を、と答えておいた。 |
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コースの案内図がもうひとつ分かりにくく、 どっちへ向かって歩いていけばいいのか迷う。 木道があったのでここを行ってみた。 が、すぐに途切れて、その先は曖昧な踏み跡 しかなくなってしまった。 湖の周りをうろうろして道を探したけど、 草木がボーボーで進めないところ多数。 さすが原生林! と感心しきりの私。 だったのだけど、後からまるでトンチンカンの ところを歩いていたことを知ることになる。 |
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枯れて干からびて、もうお手上げさ、 って感じの花菖蒲。 全体的に花は少なめ。 時期的なことと、私が歩いた場所が悪かった こともあって。 |
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湖の西側に、なんとか先に続いている 踏み跡を見つけて、強引に入っていった。 こりゃ、ジャングルだ。 弱ジャングル状態から徐々に 中ジャングル状態へ移行。 うーん、原生林、マンダムてな感じで アゴをさする。 って、そんな余裕はない。 草木をかき分け、かき分け、中腰で進む。 わー、蜘蛛の巣が顔に! 痛っ! モモになんか刺さった! うわー、滑ったぁぁー。 心の中で大騒ぎ。 |
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鬱蒼と生い茂る森林。 天然林96パーセント。 聞き慣れない鳥の声や蛙の声、 蝉の声らしきもの、何やら正体不明の声などなどが 大合唱となって森の中を包み込む。 圧倒的な自然に半ば気圧され、 一方で自分も野生にかえったような気分になる。 |
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これは何かの卵っぽいけど、何だろう。 あちこちにたくさんあった。 海上の森でも同じものを見た。 |
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たぶん、ギンリョウソウのなれの果て、だと思う。 これくらい枯れて汚れてくると、 かえって健康的に見える。 元気なときの病的に白々してる姿に比べて。 |
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道なき道は続く。 ほとんど背筋を伸ばして歩いていられない。 常に中腰で、頭は低く。 顔にはひっきりなしに蜘蛛の巣がかかる。 人間の歩く道のために草木を刈るのは 基本的に反対なんだけど、ここに関しては、 お願いだからもう少しだけ刈ってください と泣きそうになった。 一応道は作ってあるんだけど、 あまり歩く人がいないのか、 この夏になって草木が生い茂ってきたからか、 とにかく大変なことになっていた。 楽しい家族散歩や、カップルの和気あいあい 散策向けでないことは確かで、 ジャングル好き、または藤岡弘隊長に 憧れる人向けと見た。 ただ、言っておかなければいけないのは、 ここは段戸裏谷原生林の正規のルートじゃない ということだ。 |
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足下には見たこともないような植物が。 コケだろうか。 これだけ森が深いと、 地面にも木にも花の姿は見られなかった。 そもそもそんなものを探す余裕がなかったから、 見逃してる可能性も高いのだけど。 |
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これはブナだろうか。 違うかもしれない。 ここの森林は、ブナ、モミ、ツガ、ヒノキ などが主で、 樹齢200年以上のものも多いのだそうだ。 200年というと大したことないと思うかもしれない けど、木にも寿命があるから、 地球が誕生して、何世代も世代交代を してるわけで、ここの森林の姿は、 大昔とあまり変わってないのだと思う。 |
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苔むした木の根本がいい感じ。 | |
ジャングル状態にすっかり慣れ、 ケモノのように前進を続ける私。 おりゃー、っと、草木を蹴散らしながら。 だんだん水の流れの音がしてきて、 出口が近いことを予感させた。 助かった。周回コースになってた。 これで行き止まりで引き返すとなると、 かなり気持ち的に厳しかった。 出てみたら、木道が途切れたところだ。 なんだ、こことつながってたのか。 |
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小川のせせらぎと、天然林。 出てしまえば、なんとなく名残惜しい。 歩いてる最中は泣きそうだったのに。 |
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かれこれ、ジャングルのような森林を 1時間もさまよい歩いたので、 ぼちぼち帰ろうかと思っていたところ、 南へ続く道を行ってみたら、 あれれ!? 段戸裏谷、きららの森散策路 の案内標識が!! しまったぁ! ここだったのかー! なんだか私、まったく見当違いのところを 歩いていたようですよ。ガビーン。 ショックでギャグも古くなる。 というわけで、ヨレヨレになったところで ようやく正規のルートを見つけた私。 段戸裏谷原生林-2へと続く。 |
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侮りがたし、段戸裏谷原生林。原生林の名はダテじゃない。 前半は私の大いなる勘違いで、わけの分からない森林を行くことになってしまったのだけど、結果的にはそれがよかった。上り坂でもないのにあんなにハードなコースは生まれて初めてだった。いい経験になった。あれこそ原生林体験だったと言える。むしろ、本当の段戸裏谷原生林は整備されすぎていて物足りないくらいだった。 野草に関しては後半で少し出てくるけど、それほど多い印象ではなかった。ただ、私の歩いたコースが花のあるようなコースではなく、探す余裕もなかったから、かなり見逃したかもしれない。 湿地帯もあったはずなんだけど、行けなかった場所もあって、その点ではちょっと物足りなかった。 ここは野鳥スポットとしてもなかなか有名なところらしい。実際かなりの声は聞こえた。聞き慣れない声もたくさんしていた。 ただし、森は深く、木々も背が高いので、しっかりとした装備でないと撮るのは難しそうだ。 念のため、C-2100UZ+テレコン(550mm換算)も持って行ったけど、ほとんど役立たずに終わった。 写真と文章で、ちょっととんでもないところという印象を与えてしまったかもしれないけど、そんなことは全然なくて、私としてはものすごく楽しかった。訪れてる最中よりも帰ってきてからいい思い出になってるところがあるけど、ここはまさにそれだった。 あんなジャングル体験はそうめったにできるものじゃない。海上の森も相当な手つかずの自然だと思ってたけど、ここはその比じゃない。森の深さが違う。 森好きなら、ぜひ、段戸湖西南の森へ踏み込むことをオススメしたい。 所在地: 北設楽郡設楽町大字田峯字段戸 時間: 開放 休み: なし 入場料: 無料 駐車場: 無料(約30台、開放) 所要時間: 1時間〜数時間 |