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1981年3月21日発売 アルファレコード |
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これが発売されたのは1981年なのだが、それ以前に世間ではYMOブームみたいなものが沸き上がっていて、「ライディーン」や「テクノポリス」等のテクノサウンドがYMOを表していた。別にそれはそれで間違ってるわけじゃないけど、この後彼等は「ファン切り離し作戦」という行動に出た。即ち、従来の分かり易い路線を捨て、突然、暗い沈んだ音楽を発表したのだ。それがこの「BGM」で、更に次作の「テクノデリック」 でそれは完璧になってしまうのだが(「テクノデリック」についてもいずれ論じるかも知れない)、とにかく本作が発表された当時はその衝撃は凄かったらしい。
全体の曲調は暗くてダークで沈んでいる。以前、夜の渋滞の車の中で聴いてたところ、同乗者から苦情が出たぐらいだ。私も最初は何じゃ?と思ったけど、何故か聴けば聴くほど味が出てきたから不思議。毎回新たな発見があるような感じ。今でもコアなファンは本作か「テクノデリック」をベストに挙げる人が多い。
画家タマラ・ド・レンピッカを歌ったという1曲目の「バレエ」から、音階がどんどん上昇していくため聴いていると苦しくなってくる最後の「来たるべきもの」までその曲調は非常に統一されている感じを受ける。どれも珠玉の名曲なのだが、敢えて私のお薦め曲を挙げれば、先ずは「千のナイフ」。これは坂本龍一のソロアルバムに収められている曲のカヴァー版だが、オリジナルとどっちが良いかと聞かれると迷うのであまり聞かないでほしい。更に挙げれば、細野晴臣作曲「マス」は、今だに気が付けば無意識に口ずさんでしまっている名曲。細野特有の重苦しい雰囲気が荘厳とも言える域に達している。これをシングルにしたというのは凄い冒険だ。
因みに、このアルバムの名前について細野は"Beautiful Grotesque Music"の略だと言っていた記憶がある。このへん曖昧。
(文中敬称略)