![]() |
Chen Shui-bian |
---|
台湾の総統選挙は、有力3氏が直前まで支持をほぼ3等分する接戦を演じていた。3氏とは、李登輝総統の後継者の連戦(すごい名前だ)・副総統、最大野党の民進党の陳水扁・前台北市長、で元国民党で無所属の宋楚瑜・前台湾省長である。台湾の総統は任期4年で再選は1回だけ認められる。1996年に初めて国民(と言っていいのかな?)の直接選挙で李登輝総統が再選された。これは中華民族が4000年の歴史の中で初めてその指導者を選挙で選んだという画期的な出来事だったのである。また台湾の民主化はこれを以てほぽ完了したと言うこともできる。そして4年後の今年、ポスト李登輝の選挙が行われたという次第。
余談だが、英国でも台湾総統選挙はかなり報道されていた。連戦は"Lien Chan"、陳水扁は"Chen Shui-bian"と表記されていたが、宋楚喩だけは何故か"James Soong"となっていた。理由は定かではないが、ともかく台湾人の名前については、又何れ何処かで述べたいと思う。
ところで、陳氏は昨年、私の通う大学に講演に来た。私も何とか入場券を入手して聞きに行ったのだが、会場は各種の中華民族(台湾、中国、香港等)で一杯になっていて、かなりの盛り上がりを見せていた。中でも陳氏が「台湾は1つの国家である」と言ったときには、会場は大盛り上がりだった。中国人は熱いなーとその時は思った。
で3月18日に投票が行われ、陳候補が辛くも当選を果たした。次点の宋候補もかなり肉薄したが届かず、連候補に至っては大きく離されて、国民党の面目丸潰れといったところ。そんな訳で、孫逸仙以来中国の革命を指導してきた国民党もとうとう下野してしまうのも歴史の流れか。それに、10年ちょい前までは、政党の結成すらも認められていなかった(所謂「党禁」)台湾で、政権交代が起きたということは、蒋介石、蒋経国時代から考えると、ものすごい民主化としか言いようがない。台湾出身の李登輝が総統になったということも、それはかなりの転換だったし(李登輝は北京語があまりうまくない)、その後も各種民主化施策が実施されたけど、ここまで来るとは思わなんだ。単純な分析だけど、国民党系の票を連・宋で分け合ってしまったのが最大の勝因でしょう。漁夫の利ってやつですね(だから惜敗した宋陣営は、今更ながら候補者を一本化しなかった李総統に文句を言って暴動を起こしてる訳ですな)。
さて、台湾にとって最も重要な課題は中国(中共)との関係。陳氏は「台湾独立」を掲げている民進党所属のため、中国としては最も当選してほしくなかった候補だと思うし、実際、反陳キャンペーンみたいなことをやっていた。選挙が近づくつれて台湾海峡が軍事的に緊張化していたらしいが、今のところ特に衝突も起きていない。まあ今後「陳総統」がどう出るかでしょう。民進党も当初に比べると随分と独立色を薄めているので、あまり過激なことは言わないとは思うけど。しかし北京は「1つの中国」の旗を絶対に下ろさないだろうから、話し合いが進むとはあまり思えないんだな、これが。それに総統は民進党になっても、中央民意代表は国民党がまだ多数だから、厳しい政局運営を迫られることになりそうです(紋切型表現)。ときに、日本も、もはや大陸の顔色ばかり窺って台湾を軽視している場合じゃないように思うんだけどね。
って感じで台湾について書き出すとキリがなくなるので、兎に角、一度行かれることを強くお奨めする。あれほど愉快な島は無いと思う。これは又いずれ稿を改めてということで。
《特別付録》中台の海軍の現況
<中国>
駆逐艦
駆逐艦
(文中一部敬称略)