ことし五月、東京銀座の画廊宮坂での個展を無事終え
て、ただいま小倉・画廊リブでの個展に向かって準備の真最
中です。今回は地元での開催ということで何となく安らいだ
心境での制作風景のようです。
制作しながら感じることですが、作家はやはり制作しなが
ら自分自身の心の内奥に向かって少しずつ進んでいくので
はないでしょうか。そこには邪心もなければ難しいしがらみも
ありません。あるのは集中・執着する心と、葛藤・模索する自
分と、それをある時点でどうやら容認する自分があるようで
す。
難しいことをいろいろ考えずに、描きたいものを自分なりに
忠実に描きたいものです。自分自身の心を投影させた作品
でなければ、相手の心に響くはずもないのです。そういうこと
を思いつつ制作をしています。
また地方に住んでいるので機会はあまり多くはありません
が、美術館や画廊に行って感じることは、いわゆる綺麗な絵
が多いということです。技法的には申し分なく、上手に描いて
いるのですが、どうもこちらに感動が伝わってこない。もっとも
鑑賞するこちらに原因があるのかも知れませんが。
また逆に、技術もないように思えるし、描き方も決して綺麗
ではないけれども妙に心を打つものもある。何かを訴えようと
して引き付けられる作品もある。また主張を少しおさえた東
洋的空の世界につらなる魅力ある作品もある。こういう作品
は中々飽きないものです。
こちらも制作者の側に立っていますので、あまり批評を言
える立場ではありませんが、感じたことを自分自身の反省材
料として頑張りたいと思います。
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