【ここの概要(歴史、自然など)】
日本三大名瀑の一つ。残る二つは、栃木県・日光華厳の滝と、和歌山県・那智の滝。ほかにも自称三大名瀑があるようだが、この3つで正解らしい。
もちろん茨城県でも1、2を争う名所で、四季を通して、数多くの観光客が訪れる。特に私がお気に入りなのは、冬、凍結したのを見ること。春は新緑が美しい。
袋田の滝のトンネル(入場料大人300円)をくぐって、突き当たりに四度瀧不動尊があり、観瀑台がある。正面から見る滝は、威圧感があり大きい。トンネルの途中から支線が分かれ、吊り橋にでる。吊り橋からの観望も良い。
逆にいうと、体力を使わずに綺麗に見えるポイントはこの2カ所で、滝の対岸のもう少し高いところから見下ろしてみたいなあというのが正直なところ。と思っていたら、今の観瀑台よりも高いところに新しい観瀑台を作る計画があると聞いた。もし本当なら完成を待ちたい。
吊り橋を渡ると上に上る階段がある。これが袋田の滝自然探求路。月居山をめぐる道である。階段は急で、すぐに息が切れてしまうが景観も結構良い。観瀑台からは4段の滝の下の2段しかみれないが、上側はこちらに上らないとみられない。双眼鏡などを持ってあがってみては?少し奥川に生瀬の滝もみられる。頂上付近の景観は絶品である。
☆高解像度写真
緑の滝、紅葉の滝、増水の滝、夜の滝、降雪の滝、結氷の滝
【行ってみた感想】 2002.12〜2003.2
(2002.12〜2)この冬は、日記にもあるとおり、年末と最近行きました。年末は半分ちょっと凍り付いていて、最近行ったときには既にすべて溶けてしまっていました。寒かったから全面凍結を期待してたのですが(^_^;)。1月末から2月頭にかけて氷瀑祭が開催されるのですが、今年も溶けた氷瀑だったようです。悲しい。(T_T)
昨年と今年は1月中旬までに凍って、その後溶けてしまうということを繰り返しています。
ところで、実は、溶けた時期に行ったのは、主に月居山ハイクが目的でした。階段や道が凍結していて、実際に転んで骨折した人も出たようですが、葉っぱの落ちた木々の間からの景観は春〜秋よりも遙かに良いことを発見しました。時間も1時間半〜2時間程度の道のりだし、歩いた後には近くに温泉もあるし、行ってみる価値ありかも。
(2002.1)1月20日にいってみたら半分くらい凍り付いていたけど、続く週、暖かかったので、26日に行ってみると、すっかり溶けていました。残念ですね〜(T_T)。これまでの数年間の傾向から、完全凍結はたまにしかありませんが、部分凍結は毎年起こっているので、1月とか2月とかの寒い時期に行ってみると良いのでしょう。
【看板説明文】
● 茨城県指定 名勝 袋田瀧 (この看板は撤去された)
昭和15年3月27日指定 管理者大子町
範囲
大字袋田字滝本 大北向 月居 野土 地蔵堂 町井沢 前山前原 川端 力ヶ山 長瀞 畑ヶ中 上ノ台 上ノ台入 峯ノ草 湯端 湯島 森ノ上 堀切
炭焼場 日向道 沼ノ沢 根柄 町方根
大字小生瀬字小部繰 滝口 陣場 山王下 井戸入 月居坂 吹上 トオメキ 坂下 二川原 戸ノ内 諏訪前
袋田瀧は、一般に「袋田の滝」と記名され呼称されている。高さ120メートル、岩壁を四段に落下するところから、また弘法大師四度護摩修行の伝説から、別名「四度の滝」とも呼称される。「國中無雙の名瀧なり」「海内一の観望也」といわれ、名所に天狗岩、笈(おい)石、飛石、つまずき石、馬洗淵、娵(よめ)ヶ井戸、茶釜淵、蛸(たこ)ヶ淵、カラフト淵が伝えられる。
春は新緑に映え、夏は落下する水音がこだまし、秋には紅葉に彩られ、冬には静寂な氷結の滝となる。四季折々に変化する滝には、歌僧西行の和歌をはじめ、多くの文人墨客の詩歌ものこされている。
袋田の滝の成因は、この付近の男体山火山角礫岩層の硬い岩石に対し、滝の上流と下流が浸食されやすい凝灰質の砂岩や頁岩であったため、硬質の火山岩が造滝岩となり、岩層中の四本の大きな節理と断層面への水の流れ込み、滝川の浸食作用により四段の滝が形成されたといわれる。
滝およびその周辺は景勝の地であるばかりでなく、またこの地特有の植物も生育しており、種類も豊富である。
主な草本植物には、袋田萱(ふくろだがや)、深山透百合(みやますかしゆり)、行者忍辱(ぎょうじゃにんにく)、岩団扇(いわうちわ)、岩煙草(いわたばこ)、岩擬宝珠(いわぎほうし)、熊谷草(くまがいそう)、雛蘭(ひならん)、羽蝶蘭(うちょうらん)、山芍薬(やましゃくやく)、日光黄萱(にっこうきすげ)、岩面高(いわおもだか)、岩檜葉(いわひば)などがある。
大子町教育委員会
● 袋田自然研究路
この研究路は袋田の自然と仲の良いお友達になっていただくようつくられたものです。延長は1.8kmで約1時間30分かかります。遠路の植物・岩石等もお友達です。とったり、いじめたりしないようにしましょう。
茨城県
(1) 袋田の地質は堆積岩です
このあたりの地質は火山の噴出物や海へ流れ込んだ土砂が長い間に積み重なってできあがった堆積岩と言われるものです。奥久慈地方も昔(500万年以上前)は海の中でしたが、海底火山の噴火や大きな地殻変動により持ち上がり陸地となりました。
堆積岩は砂岩、礫岩、凝灰岩などに区分されますが袋田の滝周辺のものは海底火山の溶岩からできた集塊岩と呼ばれるものです。
(2) 天狗岩の伝説
天狗の鼻のような形をしていて天狗が滝見をしたところといわれています。夜な夜な天狗の大きな羽ばたきがしました。ところが、実はこのあたりにたくさん住んでいるムササビのはばたきであったといわれています。
科学の発達した現代では笑い話のようなことが、真実として伝えられている伝説が多いですね。
ムササビ:リス科のほ乳類でネコくらいの大きさ。足と足の間に皮膜があり木から木へと滑空することができる。
(3) 袋田の滝
袋田の滝は幅73m、高さ120mあり日本三大瀑布の一つとなっています。西行法師が秋の季節に訪れ「この滝は四季に一度づつ来てみなければ本当のよさは味わえない」といって春、夏、冬と三度の季節にも滝を見に来たので別名「四度の滝」とも呼ばれています。
また一説では滝が四段になっているので、その呼び名が出たともいわれています。
「花紅葉 よこたてにして 山姫の 錦織りなす 袋田の滝」 西行法師
(4) カジカガエルの声
春から秋にかけて川から鈴をふるような美しい鳴き声が聞こえてくるでしょう。俳句などにもよくよまれるその声はオスのカジカガエルです。体の大きさはオスが3〜4cm、メスが5〜7cmで指先にはアマガエルと同じような吸盤があります。河原の大きい石の間やコケの生えた岩の上などで生活し、周囲の物と見分けにくい色をしています。6〜8月頃よどみの石の下や草の根もとなどに寒天質の卵を生みます。
「かじか鳴いて 石ころ多き 小川なり」 正岡子規
(5) 鳥の声
ちょっと耳をすまして下さい。小鳥の声が聞こえませんか。鳥の鳴き声には仲間同士の合図の「地鳴き」、メスを呼ぶ「さえずり」などがあります。昔から「ききなし」といって鳥の声をおぼえやすい文句にする方法があります。たとえばメジロは「長兵衛、忠兵衛、長忠兵衛」、ホトトギスは「てっぺんかけたか」、キジバトは「人取って喰う喰う」、ホオジロは「一筆啓上つかまつりそうろう」などです。
ただし、「ききなし」には決まった形があるわけではありません。さて、今鳴いている鳥の声はあなたにはなんときこえますか?
(6) 森林の鳥(秋から冬)
晩秋かさこそと落葉を踏んでこの研究路に入ると北海道やウスリー、アムール、シベリアで夏を過ごしたルリビタキ、ミヤマホオジロ、ジョウビタキ、ツグミ、マヒワなどが渡ってきます。これらの冬鳥たちは、木や草の実、落葉の中で越冬している昆虫などを食べて冬を過ごします。一般に小鳥類は、繁殖期にはつがいでいるのに対して越冬期には大きな群れになることが多いようです。
(7) 森林の鳥(初夏)
初夏の朝、新緑の森は鳥の声でいっぱいです。この森で一年中生活しているヒヨドリ、シジュウカラ、ヤマガラ、メジロ、ホオジロなどと南から渡ってきたオオルリ、センダイムシクイ、ヤブサメなどがのどをきそいます。またシジュウカラ、ヤマガラ、モズなどがせっせとヒナにえさをはこんでいる姿がみられます。鳥たちにとっても一番楽しく忙しい季節なのです。
(8) 月居観音
正しくは月居山光明寺観音堂といいます。宗派は天台宗で大同二年(807年)に建てられたといわれています。このお堂の中には運慶の作と伝えられる高さ6尺(約1.8m)の聖観世音菩薩が安置されています。永保三年(1083年)源義家が奥州征伐の時、このお堂の中に一夜おこもりして戦勝を祈願したと伝えられています。
(9) 月居古城の歴史
月居城は佐竹家の家臣、袋田定義の築いた城で代々佐竹の家臣が城主となっておりました。佐竹家が秋田に移封されたとき月居城は廃城となりました。
「尋ねれば 人は昔の名のみにて 雲井の月ぞ すみ渡りける」徳川斉昭
天保5年(1834年)斉昭がこのあたりを探勝し月居山に登ると折しも三日月が雲間にかかっておりこの月を眺めて、はるか秋田の空に思いを寄せてよんだ名歌です。
(10) 月居峠のたたかい
月居峠は元治甲子の変(1864年)で天狗党と諸生党が戦ったところです。
月居峠側:水戸藩諸生党
家老 市川三佐衛門 新発田勢2千人
大子側:水戸藩天狗党
藤田小四郎 武田耕雲斉 1千人
天狗党側が破れ西上の途について、後に敦賀(福井県)にて処刑されました。
(11) 森林内の日陰植物
植物の中には日陰を好んで生活している植物があります。ニワトコ、ヤツデ、アオキなどの樹木、シダ植物のベニシダ、ヤブソテツなどです。また芽を出したときすでに田の植物がはえていたので、その下でがまんして次の時代を待っている植物などもあります。ちょっと見たところのんびりしたように見える植物の社会も、大変きびしくたがいに競争しながらせいいっぱい生きているようです。
(12) 水害を防ぐ森林
雨が降ると、雨水は森林のやわらかい土中にどんどんしみこみ、しみこんだ水は土の中をゆっくりとおってすこしづつ川へ流れ出たり地下水になったりします。しかし、木のないはだか地ではいっきに水が地表を流れ、川が増水し洪水を起こすこともあります。
豊かな森林は洪水を防いだり、山くずれを防ぐ働きをしているので「緑のダム」と呼ぶことができるでしょう。
【備考】
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