2014年 11月 第133回 LET 関東支部研究大会(群馬・高崎)
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ミント音声教育研究所は、外国語教育メディア学会(LET)第133回 LET 関東支部研究大会(群馬・高崎)において、3つの研究発表をおこなう。
- 映画で使われる単語出現頻度とリーダビリティの原理
- 読解問題のリーダビリティと学習者の読みの速さ・理解度との関係
- 共同研究発表 (公募プロジェクト中間報告)
- 山口 高嶺 (早稲田大学)
- 神田 明延 (首都大学東京)
- 田淵 龍二 (ミント音声教育研究所)
- 湯舟 英一 (東洋大学)
- 鈴木 政浩 (西武文理大学)
- 英文フレージング能力が読解得点に与える影響
- 共同研究発表
- 鈴木 政浩 (西武文理大学)
- 神田 明延 (首都大学東京)
- 湯舟 英一 (東洋大学)
- 山口 高嶺 (早稲田大学)
- 田淵 龍二 (ミント音声教育研究所)
- 池山 和子 (恵泉女学園大学)
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もくじ |
- 映画で使われる単語出現頻度とリーダビリティの原理
- 読解問題のリーダビリティと学習者の読みの速さ・理解度との関係
- 英文フレージング能力が読解得点に与える影響
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表題 | : | 映画で使われる単語出現頻度とリーダビリティの原理 |
| | word frequency in dialogue from movies |
| | and the principle of readability |
発表者 | : | 田淵 龍二 (ミント音声教育研究所) |
時所 | : | 11月 15日(土) 10:00〜10:30 |
キーワード | : | 映画、単語出現頻度、リーダビリティ、会話、単語リスト |
| | movie、word frequency、readability、dialogue、word list |
- 英語テキストの読みやすさを測定するリーダビリティ公式(readability formula; RF)は1920年代に現れて以来、有用な道具として使われ続けている。しかしそこにはいくつかの問題が指摘され続けてきた。「なぜいろいろなRFが存在し、同じテキストなのにRFによって値が異なるのか?」「語長や文長だけを数えて、読みやすさが分かるはずがない!」などである。
- こうした問題を解き明かす過程で、筆者が直面したのが単語の取り扱いである。従来のRFでは単語を主に2方面から解析していた。ひとつは語長である。「長い単語ほど難しい」と言う経験則だ。もうひとつは親密度である。「知らない単語が多い文ほど難しい」と言う理屈だ。
- 読みやすさにおける単語の扱いを見極めるために、筆者は、映画における単語の利用状況を調査し出現頻度を調べた。出現頻度は、のべ出現数・見出し語出現数(以下語彙数)・レベル別単語リスト・品詞・語長を因子として統計処理した。この種の研究は書き言葉では行われてきたが、会話ではあまり見かけなかった。
- 解析結果は従来の内容を支持するとともに、会話文の特徴も明確になった。主目的である読みやすさとの関係では重要なヒントをいくつか得ることができた。
- もっとも重要なヒントのひとつは品詞による出現特性である。出現特性は、名詞、機能語、その他に明確に3分化された。名詞の出現頻度は全体の約4分の1だが、語彙数では過半を占めた。逆に機能語の出現頻度は3分の1と最大だが語彙数では2%に過ぎない。機能語は小学校と中学校でほとんど出尽くすが、名詞は小中高一般と進むにつれてどんどん種類を増していく。
- こうした品詞ごと出現特性を観察すると、単語は「読める」ことと「分かる」ことを分離してRFで扱うことが妥当ではないかと考えられる。また出現頻度と親密度とは必ずしも一致しないことも明らかとなった。これらは読みやすさを図る際に単語を扱うヒントとなる。
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表題 | : | 読解問題のリーダビリティと |
| | 学習者の読みの速さ・理解度との関係 |
| | Relationship between text readability, reading speed |
| | and comprehension |
| | (公募プロジェクト中間報告) |
発表者 | : | 山口 高嶺 (早稲田大学) |
| | 神田 明延 (首都大学東京) |
| | 田淵 龍二 (ミント音声教育研究所) |
| | 湯舟 英一 (東洋大学) |
| | 鈴木 政浩 (西武文理大学) |
時所 | : | 11月 15日(土) 13:30〜14:00 |
キーワード | : | 読解、理解度、WPM、リーダビリティ、読みの流暢性 |
| | reading; comprehension; WPM; readability; reading fluency |
- 本発表は、日本人大学生が、正確さと速さの双方が問われる環境下で読解問題に取り組んだデータをもとに、リーダビリティ・読解の正確さ・読解の速さといった3要因がどのような関係にあるか、学習者の読みについてなんらかの類型化が認められるかについて、明らかにしようと試みる。
- 先行研究として、田淵・湯舟(2013)が、82名の日本人大学生に対して、4つの時期で測定したデータを分析した結果がある。それによれば、テキストの難易度(読みやすさ、readability)は、理解度よりもWPMとの相関が高いという傾向が見られた。
- また、田淵・湯舟(2014)は、読みの正確さと速さを測定する読解問題のありかたとして、読解対象の文章については、読解方略に左右されるような長すぎない文章であること、および、読解の正確さを測る読解問題のありかたとして、重箱の隅をつつくような些細な内容を問うてはならないことを提案している。
- 本発表で対象とする読解問題は、こうした統制に加えて、リーダビリティの異なる文章を組み込んだ読解問題の2つのセットから得られたデータを対象とする。
- その結果の1つとして、リーダビリティとWPMの相関は、英語力上位群では高かったが、英語力下位群では、リーダビリティの変化に対応したWPMの変化を示さないという結果が得られた。つまり、英語力上位群の学習者は、難易度の低い文章だと速く読み、難易度の高い文章だと遅く読むといった調整を行うことができるが、英語力下位群の学習者は、そうした調整ができない学習者が増えるということが判明した。
- さらに、決定木(decision tree)分析や重回帰分析の結果も合わせて、提示する。
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表題 | : | 英文フレージング能力が読解得点に与える影響 |
| | An Influence of Phrasing Skill on Reading Score. |
| | パイロットスタディー |
発表者 | : | 鈴木 政浩 (西武文理大学) |
| | 神田 明延 (首都大学東京) |
| | 湯舟 英一 (東洋大学) |
| | 田淵 龍二 (ミント音声教育研究所) |
| | 山口 高嶺 (早稲田大学) |
| | 池山 和子 (恵泉女学園大学) |
時所 | : | 11月 15日(土) 14:05〜14:35 |
キーワード | : | ・・・ |
- 英文を区切る能力(フレージング能力)が読解能力に寄与するという経験的な知見がある。しかし、フレージング能力に関する評価方法を示した研究は数が限られ、読解能力にどの程度寄与するのかを実証的に示したものも少ない。本研究は学習者が区切るフレーズの長さ(フレージング長)とその精度(フレージング精度)を評価の尺度とし、この2つが読解得点にどのような影響を与えているかを分析することを目的とする。実験実施期間は2014年7月、対象者は埼玉県内の大学1年生30名であった。英検準2級の長文問題を対象者に提示し、意味を考えながら読む場合を想定し、英文に区切り/(スラッシュ)を入れさせた。日本人評価者が、スラッシュ間の語数を数えその平均値を算出しフレージング長得点とした。また、日本人評価者が想定したセンスグループごとの区切れの数を満点とし、明らかな誤りがあった場合その数を減点しフレーズ精度得点とした。
- 重回帰分析の結果、フレージング長得点が読解得点に有意に影響を与えていたが、フレージング精度得点は有意な影響を与えていなかった。2つの変数が読解得点を説明する寄与率(R2)は.22であった。学習者は主部と述部の間などにも頻繁にスラッシュを入れており、一見して訳読的な視点で読みを進めているように思われた。この結果は、フレーズ精度得点は高くとも、短いフレーズで切り過ぎるため、これが読解を阻害している可能性を示唆した。読解得点上位群と下位群を比較すると、上位群の方が若干フレーズ長得点が高かった。このことは、読解能力が高い学習者は、そうでない学習者に比べフレーズ長がより長い可能性を示した。当日はさらに対象者を増やし、音読速度も変数に加えた上で分析を行う。フレージング能力の評価方法についてはより精緻に検討する余地があり、この点についても議論を進めたい。
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