説明
10年間蓄積してきた英語音声教材の全フレーズ(4万7千項目、30時間余、無音区間や吸気によって区切られた一連の音列 Intonational Phrase, Tone Unit, Breath Group などと呼ばれている)の解析を行ったところ、呼気段落長の特性として、「2秒の壁」と「3秒の制約」を見出した。時間別フレーズ度数分布のピークは1.2-1.8秒にあり、3秒以下のフレーズが9割であった。これは、作動記憶・音韻ループの2−3秒(Baddeley 1996)と重なり、また、音調句(Intonational Phrase)3秒制限(Jackendof 2002)とも符合した。
このことから、人の発話は、脳(ワーキングメモリ)が処理し易いように音のまとまり=意味のまとまり=チャンクを形成していることが推察された。こうした研究結果に踏まえ、チャンクごとに区切った視聴覚情報を統合的に提示して行うシャドーイングや音読を提案する。