ついに帰国する日が来てしまった。2度もお世話になったシィリルに言葉にならないお礼を言い、朝に空港まで送ってもらった。
午前9時のフライト。すがすがしい朝日の中、シィリルの車は快調にハイウェイを飛ばす。空港には、朝早くからたくさんの人がいる。シィリルに、写真を送ることそして今度は日本で会うことを約束して車を見送った。
とうとう帰国だ。飛行機の中は同じように旅をしていた日本人と隣になるが、少し話しをして、後ろの空いている席を2つ使って、ずっと感傷に浸っていた。やがて、飛行機が着陸態勢に入り、止まった。「あぁ、着いちゃった」思わずそんな声が出た。正直に言うと、まだまだ向こうに居たかった。あと何ヶ月でも、何年でもいれるような気がした。これでぼくの旅は終ってしまい。今からは現実というものが待っている。何故か怖かった。
いろいろな人と知り会って、たくさんの話を聞き、言葉では言い表せないすばらしい景色をこの目で見て、普段の生活では体験出来ないような事をたくさん経験してきた。いい事も悪い事も、今となっては全てがいい思い出となっている。何か変わったか?と聞かれれば、何も変わってないような気がする。ただ今までよりも家でのんびりする時間が増えたことくらいだろうか。確かに言えることは、この旅が終ったということだけだった。