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写真伝心 17  トリミング 前ページ 次ページ  

 写真は撮影した後で、トリミングを行って、構図を変えたりいらないものをカットしたりすることができますが、私はほとんどトリミングをしません。プリントするときもノートリミングでプリントします。それは撮影時にファインダーをよく見て、無駄のない、画面をフルに生かした写真を撮るように長年教わってきたせいかもしれません。


 私とは逆に、常にトリミングすることを前提に写真を撮っている人もいます。 ブローニーの6*6版は正方形なのでトリミングもやむを得ませんが、645や 35mmのような長方形の画像は、やはりトリミングしなくていいような撮り方が望ましいのではないでしょうか。

 撮影時にトリミングを意識すると集中力を欠き、主題を絞りきらずに漠然と広い範囲を撮影することになります。例えば公園の写真を撮って、後からそこに写っている花が気に入ってトリミングするのと、はじめから花を撮ろうとして花に近づき、花の雰囲気を感じながら撮影するのとでは結果に大きな違いがあります。

 写真は自分の感動したものを明確に表現することが大切だと思います。「トリミングしない写真」を撮ろうとすることによって、主題となる被写体をしっかりと見るようになるのではないかと思います。トリミングした写真は構図はまとまっていますが、撮影時の感動を十分伝えているとは言えないように思います。なぜなら撮影時に何に感動したかを心の中で十分整理し、熟成させていないからです。

 またフィルムでもデジカメでもトリミングによって有効画面が小さくなり、引き伸ばしたときに画質が低下するのも、もったいないと思います。

 そんなわけで私は「トリミングしない写真」で、より多くの感動を伝えたいと願っています。