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写真伝心 7  写真を選ぶ 前ページ 次ページ 
 絵画の展覧会では審査会場で審査の直前まで絵筆を入れている人がいる、という話を聞いたことがあります。

 絵は描きながらでも、描いた後でも手直しをすることができますが、写真はそれができません。そのかわり構図、露出などの条件を変えて、複数枚の写真を撮り、あとで自分のイメージに合ったものを選ぶことになります。


 人によっては同じ被写体でフィルムを何本も撮る人もいます。写真はあとから修正できないから、その一瞬のチャンスを逃したらお仕舞いなのです。

 (デジタル写真なら修正できるという人がいるかも知れませんが、それはデジタル写真を素材とした別の作品であり、写真とは異なるジャンルに入るものと思います。)

 旅行等で私が何枚も写真を撮っていると、そばで不思議そうな顔をする人がいます。一般の人は写真は一枚撮ればいいと思っている人が多いようです。そのような時には絵筆の話をすることにしています。

 私はシャターを押したときが終わりではなく、ようやく仕事半分だと思っています。あと、どの写真を自分の作品として選ぶか、大事な仕事が待っているのです。作品にできるのは100枚に1枚ぐらいでしょうか。

 沢山写真を撮ったがどれを選んだら良いか悩んでいる人をよく見かけます。いい写真を見分ける目を養い、経験を積む事が大切と思います。デジタルカメラが増え、容易に多数の写真を撮れるようになって、「選ぶ」という事がますます重要になってきています。

 何年やっても、いつも「いい写真を見落としたのではないか」という不安がつきまとうものです。後は思い切りしかありません。