クロールスペース 米 1986年 85分 |
「殺人屋敷」というとなにやらB級ホラーの匂いがするが、現実に存在していたのだから驚きだ。 |
以上の二人をモデルにしたと思われるのが本作の主人公、ガンターである。ナチス強制収容所の処刑用具設計者を父に持つ彼は、敗戦後にアルゼンチンに亡命。そこで医師の資格を得て、ドクター・キリコのようにせっせと安楽死の研究に励むうちに、父同様に「殺しの悦び」に取りつかれる。かくして合衆国に渡ったガンターは「殺人アパート」を建築。若い美人だけを投宿させて、父譲りの独創的な処刑用具で一人また一人と血祭りに上げていくのであった。 ガンターを演じるのはクラウス・キンスキー。彼が演じることで初めて成立する映画といっても過言ではない。 前半は凄まじく面白い(キンスキーのファンなら大満足)。後半の盛り上がりもなかなかだ。しかし、ラストの呆気無さはなんたることか。これだけお膳立てしたのだから、もっとうまいオチがつけられた筈だ。誠に残念な作品である。 なお、タイトルの「クロールスペース」とは、キチガイ親父がノゾキに利用していた「這う場所」のこと。ラストのここでの追いかけっこをもっと工夫していれば、本作は大傑作になったかも知れない。 |
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