デビルズ・ゾーン 米 1979年 92分 |
後にスティーヴン・キングが絶賛したために一躍カルト化した本作、公開当初の評価は芳しくなかった。『悪魔のいけにえ』の亜流作だと思われていたからだ。だから、私も気にも止めずに未見のままだったのだが、DVD化されたのを機に見て驚いた。マネキンのグロテスクを描くことのみを追求した実験映画だったのだ。無節操な若者が旅先で一人また一人と殺されて…というスラッシャー・フィルム定石の物語なんぞに監督は興味がない。にも拘わらず、商業映画として成立させるために、已むなくスラッシャー・フィルムに仕立てている。そんな印象だ。『悪魔のいけにえ』のような手に汗を握る恐怖はここにはない。しかし、不気味さにおいては比肩する出来栄である。 |
バカンスに出掛けた5人の男女、ふとした切っ掛けで立ち寄ったロウ人形館で不気味な館主と出会う…というところまでは定石通りだが、ここから趣きを異にする。飾られているロウ人形やマネキンの眼が動き、口が開き、遂には歩き出すのだ。なんと館主は超能力者で、念力でマネキンを動かして若者たちを血祭りに上げていたのである。 なお、デヴィッド・シュモーラーはこの後、同様にフェティッシュな『クロールスペース』を撮っているが、やはりストーリー展開に失敗している。発想はいいのだが、いつも詰めが甘い。彼に必要なのは優れたストーリー・アドバイザーなのだと思う。 |
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