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血みどろの入江
BAY OF BLOOD

伊 1970年 86分
製作: ジュゼッペ・ザッカリエーロ
監督 マリオ・バーヴァ
脚本 マリオ・バーヴァ
   ジョセフ・マクニー
出演 クローディーヌ・オージェ
   ルイジ・ピスティッリ
   イザ・ミランダ
   クリス・アヴラム
   ラウラ・ベッティ
   クラウディオ・ヴォロンテ


 巨匠マリオ・バーヴァの後期代表作にして『13日の金曜日』シリーズの元ネタとして知られる本作、私はついつい見そびれてしまっていた。このたびDVD化されたのを機に見てみたら、なるほど、スプラッター描写が『13金』シリーズに丸パクリされている。斧で顔面をザックリやったり、おセックスしている男女を槍で串刺しにしたりと、あたかもリメイクであるかの如くそっくりである。
 どうしてこれほどまでにそっくりなのだろうか?。
 本作は実は、アメリカでは『鮮血の美学2(LAST HOUSE ON THE LEFT PART II)』として公開されたのである。ショーン・S・カニンガムが製作した『
鮮血の美学』の続編という体裁である。
 で、そのカニンガムが後に監督したのが『
13日の金曜日』。
 そこで思うに、カニンガムは本作が勝手に自作の続編として公開されたことをよろしく思っていなかったのではないだろうか?。それでこれ仕返しとばかりにパクリ返したのである。そして『13金』は大ヒットして、カニンガムは「マスター・オブ・ホラー」に名を列ねることになる。彼の仕返しは大成功に終わったわけだが、しかし、それにしても偉大なる先人バーヴァに対して随分と不遜な行為である。


 さて、本作の中身であるが、正直云ってしっちゃかめっちゃか。いわゆる「ジャーロ」はミステリーの体裁を取っていながらミステリーになっていないものが多いが、本作もまたしかりだ。「誰が犯人か?」のミステリーかと思ったら「みんな犯人」だったのである。
 要するに、或る入江のレジャー開発を巡るドロドロとした遺産相続の物語。欲にかられた人々が己れの欲に忠実にいろいろと殺し、そして互いに殺し合う。
 で、殺人トーナメントで生き残って「やれやれ、どうやら遺産を相続した」と喜んでいた夫婦(カミさんは『サンダーボール作戦』のボンド・ガール、クローディーヌ・オージェ)も、お子たちが暴発させたショットガンで絶命。欲にかられた人々がすべて死んで終わる。
「業」というものを描き切った傑作である(と私は思う)。


関連人物

マリオ・バーヴァ(MARIO BAVA)


関連作品

鮮血の美学(LAST HOUSE ON THE LEFT)


 

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