●○● 過去のごはんコラム ●○●
 
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 ごはんコラム11【俺を悩ますウスター&タル】

 フライものを食べる時、いっつも悩んでしまうのが、なにをかけるかっていうことです。まあ基本的に楽しい悩みなので、顔は笑っているんですけど。

 例えばエビフライ。これを街の洋食屋さんなんかで食べる時、普通のウスターソースかタルタルソースでいくのか楽しくも真剣な二者択一を迫られますよね。ごはんと一緒に食べる時は、味の強さでウスターソースに部があるかなあ。いやいや、ちょっと酸っぱくてコクの強いタルだって負けちゃいない。むむーん。なんて悩むわけです。

 結局は毎回どちらもしっかり使い、オカワリも的確に頼み「あ〜うまかった〜」と幸せに終わるんですけどね。

 どちらもウマさに甲乙つけがたし! あ、でもカリカリのしっぽをパクリと食べる時には、しっかりとのっかってくれるタルくんがちょっと有利かなあ。あ、でも……、う〜ん、悩ましいぜまったく! もちろん顔は笑っているんですけどね。



 ごはんコラム10【見よ、煮こごりの躍動感!】

 カレイの煮付けは美味しいですよね〜。
 まあボクもたまに作るんですけど、素人料理ですからなかなか上手にできません。でもまあいいんです。本当のお楽しみは次の日にあるわけですから。

 鍋に残っている煮汁に、食べ終わったカレイの骨を(うまくなってね)とそっとつぶやきつつ投入。このときに入れるカレイの骨には、二口分くらいの身を残しておきます。いつもなら骨まで食べかねないボク(カリカリに焼くとうまいですね)なのですが、この時ばかりはガマンです。耐えるのです。忍耐です。

 で、骨入り煮汁を一煮たちさせたら骨を取り除き、熱をとって冷蔵庫にレッツゴー! この時に(たのむぞ)と強く念じてもいいかもしれません。すると翌日には冷蔵庫に入れた鍋底に、プリンプリンの煮こごりができているっていう寸法です。

 さあもう次の日の朝食の楽しいことったらないですね。鍋からお玉でカポンとすくい取られたプリプリの煮こごりの、おおこの躍動感を見よ! 熱っいごはんにツルンとかけてかき込めば、煮こごりのプリンとした食感、それがごはんの熱でじゅわっと溶ける感覚、最後に爆発的に広がるカレイの煮汁の甘辛いうまさ! 

 ハフハフハフと、ものすごいスピードでお茶わん1杯目は楽々クリア。さあ2杯目に突入だ!



 ごはんコラム9【熱きギョウザの魂!】

 ギョウザでごはんを食べるのは、こりゃもうこたえられない。

 まず色がいい。

 鉄鍋に押し付けられたところの魅惑的なコゲ色。蒸気で蒸されてムッチりツヤツヤ輝く白い部分。そして醤油と酢とラー油の赤い点々が浮かぶタレのコントラスト。

 箸でギョウザを持ち、タレにちょんとつけ、まずはごはんの上にワンクッションさせてからパクリだ。

 カリッとした食感。焼けた皮の香ばしい味。その後に合体する具の汁とタレのうまさったら、もう! この味の強さに白いごはんがあうあう。パクパク食べられちゃう。

 ヤケドしそうなのは重々承知なんだけど、口の皮がペロリとむけたって、このうまさは止められない。

 誰か! 誰か俺の箸を止めてくれ! いや、止めないでくれ! アチ〜! ウメ〜! とこうなること請け合いです。

 さて、ここでお楽しみがもうひとつ。具からたれた汁と、タレが落ちて色が染み込んだごはん。これが最高! 白いごはんで味のついたごはん部分を包み込むように箸にのせて、勢いをつけてパクリだ。

 ああ、またもや誰か! 誰か俺の箸を止めてくれ! いや、止めないでくれ! とまあギョウザで食べるごはんのうまさは加速する一方なのだ。



 ごはんコラム8【登場!サバ軍曹】

 整列! 気をつけ〜〜っ! 敬礼! 直れ! 休め!

 私がキサマらの教官、サバ軍曹である。キサマらには本日よりサバの素晴らしさ、そして恐ろしさをビシビシたたき込む。私についてこい!

 おい、そこのキサマ。好きな食べ物を言ってみろ!

 「サバ味噌煮であります!」 よろしい! 次!
 「しめサバであります!」  けっこう! 次!
 「ハンバーガーで……」   なに〜〜〜!

 バシッ! バシッ! バシッ!
 (軍曹にサバで殴られる訓練生)

 キサマ、サバをあなどるな! そしてサバを愛せ! よし、全員駆け足。私に続け!!

【塩サバ訓練歌】
※映画『愛と青春旅立ち』の、あの訓練歌のメロディでお楽しみ下さい。

俺たちゃ塩サバ大好きだ〜
(俺たちゃ塩サバ大好きだ〜)
アジにもサケにも負けはせぬ〜
(アジにもサケにも負けはせぬ〜)
塩サバLOVE!!
(塩サバLOVE!!)
塩サバLOVE!!
(塩サバLOVE!!)


 よ〜し、本日の訓練はここまで。
 全員就寝までに塩サバでドンブリ5杯のノルマを忘れるな! 解散!



 ごはんコラム7【平和の使者・卵豆腐】

 じつにじつに下品な食べかたなのです。
 でもうまくてヒックリかえりそうな食べ方です。
 人にどーこー言われようとやめられないもの。それが“卵豆腐 on the ごはん”ですなあ。

 あっついごはんの上に、フルフルの卵豆腐をそっと着地させ、一口分のごはんの上に乗せます。で、そっとそっと食べるわけです。
 この食べ方にスピード第一主義は禁物です。あせって食べると、ごはんの上の卵豆腐のみがスルッと落ちてしまうのです。
 
 これはなんとも言えず哀愁ただよいますね。
 「俺が悪かった……」
 と肩を落とすことになりかねません。
 え?! あなたはならない? なってしまうボクがおかしいのでしょうか……。

 いやいや、そのことはさておき、この食べ方の尋常ならざるおいしさはどうしたことでしょう。

 ごはん一粒一粒の間に、あたかも平和親善大使のようにやってくる卵豆腐の優しいヌメりと食感。うーん、口の中が楽しい! ああ、それになんと言ってもこの食べ方のポイントは、あのちょっと甘くめで味の濃いタレにあるのですねえ。

 このタレがなかったら、平和の使者・卵豆腐といえども実力半減。
 何度も自作にチャレンジしたのですが、うまくいかないんですよねえ。ぜひもうワンサイズ大きくならないかな〜、と今日も思うボクなのでした。



 ごはんコラム6【ダイコンの葉の非運】

 万能野菜ってありますよね。生でよし、煮てよし、炒めてよし。まるでイチローみたいに何拍子もそろっちゃっている、そんなグレイトなお野菜くん。

 その双璧はなんといってもキャベツとタマネギでしょう。この二人の素晴らしさ、そしてコストパフォーマンスの高さは、そりゃもうカンペキといってもいい感じ。うん、うん。ボクもなんにも文句はないですよ。その通り!

 が、そこ行くあなた。な〜んか忘れていませんか。そう! 隠れた万能選手! それがダイコンの葉っぱくんなのですよ!!

 彼の実力は、そりゃすごい。ちょっと塩漬けにすればホロホロの苦味がごはんにスーパーマッチだし、炒めればダイコン特有のうま味と辛味が楽しめる。
 それになんと言っても彼が驚異の活躍を見せるのが、生のまま細かく刻み、業師・ナットウに混ぜた時だ! どうだ!

 彼とナットウのコンビこそ、まさにおかわり界の4割バッター!

 スーパーなんかでダイコンを丸ごと1本買うときは、万能選手の葉っぱくんの隅々まで楽しめます。でも上半分、下半分の分け売りの時は葉っぱナシ。
 下半分の時は無くてもしょうがないですけど、一本買ったのに葉っぱ無しって時も多い。金返せと、叫びたい〜トゥナイトゥ!(アニメ・あしたのジョー風に)

 どうしても付けられないっていうんなら、葉っぱだけでも売ってくれよ、おい!



 ごはんコラム5【俺の小悪魔(カラシです)】

 外で白いごはんを食べる時、その圧倒的な存在感で迫ってくるのが“トンカツ屋のごはん”じゃないでしょうか? おかわり自由のところ多いですしね。

 トンカツでごはんを食べるというのはヘビーなようでいて、じつはスイスイとごはんが胃の中に入っていってしまうものです。これはひとえにトンカツにつき従う、ソース(完璧なる執事)、キャベツの千切り(名バイプレイヤー)とのコンビネーションのなせる技。

 ここで忘れてはならないのが刺激的、かつ小悪魔的な女豹(カラシ)の存在です。

 そして彼女(カラシですよ)の処遇をどうするかで味の強さが決まり、ごはんを食べるペース配分がガラリと変わってしまうのだから、これは奥深い。

 それはつまり、トンカツ一切れに含まれる肉部分と脂身部分のどの上方に彼女(しつこいようですがカラシです)を乗せるかということなんです。脂身の上に乗せれば、食べる時に辛みはいち早くに脂肪に包まれ比較的おとなしくなり、肉部分の上に設置すれば刺激は直接口蓋にふれることにより強くなる。

 ごはんを大量に食べるのなら、マイスイートハニー(語感は正反対ですがカラシです)をおくべきは、辛辣なパンチ力が最大限に発揮できる肉部分の上でしょう。

 ああ、君はごはんを虜にする魔性の女(もうお分かりですね)さ。



 ごはんコラム4【塩ザケ順序理論】

 “順序”も時には大切だ、って思うんですよ。

 まあなにかを食べる時で言えば、クライマックスをどこに持ってくるかということですね。

 お寿司なんかは、まずは無難なコハダあたりから食べていき、徐々に味の濃いものを食べ、クライマックスに中トロ、最後にカッパでしめるのが“通”っていうのがあるじゃないですか。なんだかクラシック音楽のように。

 通っていう言葉自体は、あんまり好きなじゃないんですけど、う〜ん、なんだかこう理詰めで攻められるのも悪くないかも、ってな感じ。

 順序がメチャクチャになると、世の中わりと台なしだ。それは例えるなら、番組の最初に印籠を出し、そのあと延々と45分道中を旅する黄門さま御一行。
 あ……これはこれでちょっと見たいかも。

 いやいや、やっぱり順序は大切だ。
 だって塩ザケを食べる時は、ボクはキッチリパッキリ順序を守りますからね。はい。

 そう、背中側のふんわりした所から、皮はカリカリ、塩気十分、脂じっとりのお腹方面へ。味の強いほうへの順序っていうのは崩したことはありません。かならず味の強いほうへ、強いほうへと食べ進めていくんです。これぞ塩ザケのクレッシェンド(だんだん強く)の喜び!

 生まれてこれまで、何百切れ、何千切れの塩ザケを食べてきたか憶えていませんが、この順序だけは常に普遍。

 一途だな〜、俺。



 ごはんコラム4【ハムエッグの重大犯罪】

 ハムエッグの罪は、それはもう計り知れない。

 罪状は「ごはんへのユスリ・タカリ」だ。単品の目玉焼き、ハムだけでも相当の実力者であるというのに、二人揃ってごはんに襲いかかる。

 当然の正当防衛として、ごはんサイドとしても通常よりより多くの量をもたざるを得ない。

 ここで被害者の声に耳を傾けてみよう。

 「ボクが襲われたのは白身のフチがカリっとし、ハムもやや厚め、しかも黄身が半熟というものでした・・・」(飲酒隊隊長さん・千葉県)

 証言はさらに続く。

 「そうです。あの黄身のツヤにやられました。熱の加わったトロトロの黄身と、それがかかったハムのうまさに襲われた私は、やむを得ずおかわりをしてしまったのです」。

恐るべきことに、同氏への被害はそれだけではなかった。

「あらかた食べ終わったにもかかわらず、、ハムエッグは、新しいごはんのおかわりを要求してきました。そして白身、黄身、ハムの小片がごはんに乗り、その上に醤油までかけられて。ううっ……わ、私は3杯目のおかわりに手をのばしてしまったのです!」

 ハムエッグの罪は、まことに深いと言わざるを得ない。



 ごはんコラム3【大根オロシ】

 ハンドルネームを見ていただけば分かりますが、ボクはやたらと酒の好きな男です。

 毎夜毎夜酒を飲み、かつヘロヘロになるという、とにかくだらしない人生を生きているのです。この10数年、一滴のアルコールも入らなかった日は三日もないというテイタラク。まあ今もこのコラムはジンのロックを呑みながらこれを書いています。

 で、そうすると次の朝はほとんど持病のように二日酔いです。つらいです。泣きたいです。もう酒はやめようと思います。やめないんですけど。意志が弱いので。

 そんな時、ボクをオーバーハングの奥底から助けてくれるのが大根オロシごはんなんですね。はい。

 まず二日酔いの体に鞭打ち、大根を飯茶碗に半分ほどオロシます。今の時期なら、辛み100点満点の汁気たっぷりの大根オロシができます。
 そうしたら飯茶碗にごはん(冷や飯がいいですよ)を盛り、大根オロシをおもむろにザッパとかけましょう。そうすると大根の汁が冷や飯の間を通るときに、米のうま味をこそげ取りながら底にたまってくれるんです。ありがとうごはん。そして大根くん!

 さ、ここでお醤油をかけ回します。
この汁がダメダメ人間のボクを、なんとか社会人として復活させてくれる救世主。ああ、君こそメシアって感じです。

 胃に刺さる刺激。米の甘みと醤油の塩気の打撃。

 ザクザクとオロシとごはんをかっこめば、なんとか今日一日もやっていけるってもんです。大根のパンチ力で胃も強制的にリ・スタートしちゃいますし。

 家賃の振り込み忘れをよくするボクも、大根の買い置きだけは切らしたことありません。

 酒呑みのみなさん。二日酔いの朝には、汁気たっぷりの大根オロシごはんです。
 効きますよ。


 ごはんコラム2【ニューコンビーフ】

 前回のビンボくささにヘキエキしてしまったそこのあなた。 今回のごはんコラムは肉ですよ。肉! 肉! お肉です!

 ニューコンビーフですが。

 ご存知でしょうが、これはビーフ100%ではなくお馬さんの肉が入っているために、ググっとお安い缶づめです。一缶100円くらいでしょうか?

 「そんなもんでごはんが美味しいはずない」というあなた!
 いけませんよ先入観は。もっと巨大な心とフニャフニャの柔軟性を持とうではないですか。けっこういけるんですから、これ。

 ニューとはついても缶の形はコンビーフと同じですから、まずあの不思議な金具で周辺の金属帯をクルクルクルリと巻き取ります。
これって何故か楽しいですね。

 で、上部むきだしの台形にして、白い脂肪で固められた細かいお肉繊維を箸でひとほじり。これを熱いご飯にのせます。

 あっ、待って! まだ食べないで!
 ここでほんのちょっと約10秒ほどのインターバルを置くことが、ニュー君のポテンシャルを最大限に引き出すんです。

 ごはんの熱で脂肪が溶けて、脂肪が白から半透明に変わる瞬間。・・・この瞬間にパクって食べて下さい。箸の上のごはん一粒一粒にコーティングされた脂肪の甘さが、ごはんのうまさにターボをかけるんです。
 さらにですね、ここにお醤油を1滴かけると、肉からも独特の香りきわだって、う〜ん、うまい!

 ごはんの上のインターバル・・・ここはきっとテストにでますよ! 



 
ごはんコラム1【ゴマしお】

『ゴマしお』でごはんを食べる喜びっていうのがあるわけです。この世の中には。

 「コラムの1回目からゴマしおかよ〜。ビンボくさ〜」というそこの人。まあ、待ちなさい。座りなさい。

 確かにゴマしおは安い。ファミリーマートのおにぎりなら88円でぶっちぎりの廉価王ですよ。
 でもねえ、優雅なんだなあ、ゴマしおって。そのワケを今から言いますから、座ったままでいいから聞いて下さいね。

 ごはんにかけるでしょ、ゴマしおを。で、ごはんといっしょに口にいれると来るね。塩が。うーん、塩けのせいでごはんが甘い!
 で、モグモグしていると、ゴマが潰れて風味が広がるんだなあ。
 しかもただでさえ香ばしいゴマの風味が、ごはんの湯気と熱気に乗って、加速して鼻腔をコチョコチョする!

 塩気を和らげるごはんがうまい。
 ゴマの風味を加速させる湯気がうまい。
味が収まったころに出てくる塩がうまい。

 ゴマしお+ごはんは、この三拍子。つまりワルツなんです。
 ゴマしお優雅説の根拠はここにあり! ですよ。


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