宇宙戦士バルディオス全話レビュー
第32話「破滅への序曲(前編)」
ストーリー
亜空間要塞アルゴル内の亜空間エネルギーの残量が少なくなり、その影響のためか、要塞の一部が三次元に復帰してしまう。この件に対して、アルデバロンとしての対策会議が行われるが、話し合われた内容から、ガットラーは自ら作戦指揮を取ると宣言する。
一方、ブルーフィクサー側も亜空間要塞の一部が三次元復帰したことから、敵も後がなく、近々、総攻撃をかけてくるだろうと予想する。月影長官は、まともに正面から戦ってはバルディオスでも勝つのは無理ということで、クインシュタイン博士にお願いして、密かにミニパルサバーンの開発を依頼していた。それは、マリン達、若者をこれ以上、死なせないための悲壮な決意のあらわれでもあった。
ガットラーは地球人のほとんどを一気に抹殺するために人工太陽を開発し、それを地球の北極と南極に向けて発信させた。ブルーフィクサーも亜空間レーダーにより、これを察知、ただちにバルディオスを出動させる。月影長官はこれを、地球側の戦力を分断させる作戦ととり、あくまでも偵察に徹し、こちらから戦闘をしかけるなとの指示を出す(この指示が取り返しのつかない事態に発展していく。)。
やがて、人工太陽の一つは北極に到着。そして、発熱を開始した。月影長官はここで、ようやく敵の狙いが氷にあることに気づき、バルディオスに攻撃命令を出すが、人工太陽はバルディオスのあらゆる攻撃を吸収し、衰える気配をみせない。月影長官は北極をあきらめ、もう一方の人工太陽が南極に到着する前に破壊せよとバルディオスに指示する。バルディオスも急いで、もう一方の人工太陽のもとへかけつげるが、あと一歩のところで南極に到着されてしまう。
月影長官は自分の判断ミスを悔やむが、その間にも北極と南極の氷は溶け、水蒸気になって大地に大雨をもたらしたり、あるいは海に直接流れ込んで水位を上昇させ、大津波を発生させる。世界連盟のモーガン代表は、今から救出活動をしても時遅し、それよりもわずかに生き残った人のためにも戦力温存すべきとブルーフィクサーに指示する。
マリンは何もできないのか。予想される死者は30億人。
感想
・月影長官
今回ほど、月影長官に失望した話はありません。「北極と南極と言ったら、膨大な氷を狙っているに決まっているだろうが!!。」と叫びたくなります。もっとも、この事に関しては、誰も月影長官に進言できなかったのも不思議です。あのクインシュタイン博士さえも。
思いっきり批判してしまいましたが、マリン達を救うために、ミニパルサバーンで死を覚悟して出撃する決意を固めたシーンは、さすが月影長官と思いました。あの判断ミスさえなければなあ。
・北極
北極は海に浮かぶ巨大な氷です。したがって、北極の氷自体が溶けても海の水位は上昇しません。しかし、あれだけの巨大な氷が一気に水蒸気になるのですから、誰も体験したこともない恐ろしい大雨が降るでしょう。また、北極の氷を一気に溶かすほどの熱が発生すると、周辺の地域の気温も大分上昇すると思われます。そうなると、グリーンランドの永久凍土にも影響がでる可能性大です。陸地の上の氷が溶けると、海の水位が上がるので大変です。
・南極
南極は北極と違い、南極大陸の上に膨大な氷が存在します。したがって、これらの氷がすべて溶けると、クインシュタイン博士が劇中でおっしゃる通り、海の水位が60〜70m上昇します。私が現在住んでいる千葉は一部を除いて水没します。もし、こんな攻撃を受けたらマザー牧場あたりに避難でしょうか?。まあ、無理ですね。千葉県は高い山があまりないので、千葉県民全員が県内で避難するのは無理でしょう。避難できるだけの時間があれば、山梨か長野で難民生活でしょうか。おっと、話が脱線してしまいました。
・人工太陽
ガットラーが地球人のほとんどを抹殺するために製造された恐ろしい兵器です。これを見るに、核兵器を使わずとも、地球人の多くの命を奪えるという証明でしょうか。劇中では発熱開始すると、バルディオスのあらゆる兵器のエネルギーを吸収しまうそうですが、その前の段階で攻撃を受けたら?。劇中では描かれてはいませんが、たぶん、その対策もしてあるでしょう。でなければ、月影長官の判断ミスがなければ、バルディオスにさっさと撃ち落されてしまい、あまりにもお間抜けな作戦となってしまうからです。
・ガットラー
地球上の占領地で築いた基地も平気で犠牲にする作戦をたてたガットラー。それだけ、あとがない、つまり追い詰められたということですね。亜空間エネルギーの残りがあと1ヶ月。そして、その後に人工太陽の製造に約1週間。無事、人工太陽が北極、南極で作動しても、天変地異で少しの間、戦闘不能。う〜ん、ずいぶんとぎりぎりな作戦だなあ。
あと、アフロディアに女に戻れと言うシーンがありますが、それを言うなら最初から司令官に任命するなよですね。アフロディアの目の前で女に司令官はむかないとはっきりと言うし。こんなことだから、アフロディアを失いたくないと思いながら、結局、失うはめになったのではないかと思うのです。
・アフロディア
最近のアフロディアも変わりましたね。ガットラーに「お前を変えたのはマリンか?」というような質問に反論しませんでしたから。以前でしたら、「弟の仇を討つまでは〜」というようなセリフを間髪いれずガットラーに言ったでしょうから。でも、彼女も死の覚悟は既にできているみたいですね。女に戻る時は死ぬときのような発言をしていますので。
ところで、ガットラーが今までに占領地で築いた基地の犠牲も厭わない発言をした後のアフロディアの表情ですが、ガットラーを恐れているのか(「総統、あなたっていう人は」というようなセリフから)、それとも慕っているんだか(顔の表情では)わからないです。
・女の意味
ガットラーとアフロディアの会話で女に戻るうんぬんの話がでますが、この女の定義は?。男女平等化が進む今、バルディオス本放送放映当時と、今ではまた感じ方など違うかと思いますが。ただガットラーがいうと、俺の女になれと言ってるような気がします。
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