宇宙戦士バルディオス全話レビュー


第30話「地球不毛の日」

ストーリー

 地球の穀倉地帯は、まだアルデバロンの攻撃を受けていなかった。それは、侵略後もアルデバロンにとっては、食料確保のために重要な地帯であると判断されていたためであった。ところが、ある日、その穀倉地帯を謎の飛行物体が特殊な薬を散布していった。すると、たちまち、農作物は枯れていったのであった。
 世界中の農作物の収穫が絶望視されたためか、食料をめぐって、暴動が各地で起こる。世界連盟は暴徒を鎮圧するため、やむを得ず暴徒を射殺することもあった。

 食料難はブルーフィクサー基地内でも深刻な問題となっていた。月影長官は世界連盟との協議の中で、食料の備蓄が1年分しかないことを知り、ブルーフィクサー用の備蓄食料の半分を寄付してしまったのだ。そのため、隊員達に割り当てられる食事もわずかなものとなり、隊員の中にはケンカを始める者まで出てしまった。
 雷太は不満な隊員達を代表して、月影長官に掛け合おうとするが、月影長官自身も食事の量を大幅に減らしていることを知り、その場は退いてしまう。そんな雷太を見て、マリンやジェミー等は自分の分の食事も雷太に与える。雷太は喜ぶが、スラム育ちで食べるものがなくて困った生活をおくったことのあるオリバーには雷太の態度が許せず、雷太に怒りをぶつける。

 再び、アルデバロンの飛行メカが現れたとの連絡がブルーフィクサーに入り、バルディオスが出撃するが、敵メカ「ジョラー」の攻撃を受け敗退してしまう。

 ブルーフィクサー基地に戻った3人は、クインシュタイン博士や月影長官に今回の敗北の原因が食糧問題に関係した精神的なものではないかと指摘される。そんな時、世界連盟のモーガン代表より、世界連盟の食料倉庫が暴徒に襲われたため、鎮圧に乗り出したとの連絡が入る。オリバーは世界連盟のやり方にカッとなり、バルディプライズで出撃し、暴徒の手助けをしてしまう。

 オリバーは勝手な行動をしたことにより処刑されることを覚悟していたが、牢を訪ねてきたマリンとハーマンの話で、世界連盟とブルーフィクサー最後の食料倉庫を開放してしまったことをする。自分のしてしまった事の重大さに悔やむオリバーだが、ハーマンの励ましもあり、再び現れた敵メカ「ジョラー」を倒すため、マリンと共に出撃する。
 雷太はキャタレンジャーで孤軍奮闘でアルデバロンを迎え撃つ。だが、さすがにキャタレンジャーだけでは迎撃しきれない。しだいにピンチに陥るが、マリンとオリバーがようやく合流し、バルディオスにチャージアップ。激しい戦いの末、ついに敵メカ「ジョラーを撃破する。

 基地に戻ったオリバーは、自分のしたことを悔やむが、クインシュタイン博士の口から人口栄養の開発に成功したことを聞かせられると、地球の皆が飢えから解放されるとばかりに喜ぶのであった。

感想

・オリバー
 今回はオリバーのスラムでの少年時代が紹介されます。我々は食事に関しては非常に恵まれていますので、オリバーの気持ちを本当の意味で理解はできないと思います。体調を崩して一日半ぐらい飲まず食わずしたことはあるのですが、何日も満足な食事にありつけなかったオリバーは次元が違いますね(食料を手に入れても、妹のエミリーを優先させていたんだろうな)。
 ところで、食料庫を襲った暴徒を助けるためとはいえ、オリバーはやりすぎですね。世界連盟の兵士を何人殺したんでしょうか?。理想論で言えば、民間人も兵士も差別はないはず。処刑を覚悟していたのなら、両者の間に割って入った方が良かったのでは。それにオリバーが死んだ場合、代わりにバルディプライズを操縦できる人はいるんでしょうか?一時の感情に左右することが許されない立場なんですね。

・ハーマン
 今回は第12話のように憎まれ役ではありません。画面では語られませんが罪を犯したオリバーを救うために、世界連盟上層部に必死に掛け合っていたのではないでしょうか。ハーマンはこの後、レギュラー化します。

・腹が減っては戦はできぬ
 今回の雷太は食料不足でたいぶ困っていました。食料不足なので、一度の食事の量を減らすのは仕方のないことですが、長期戦にでもなれば圧倒的に不利ですね。短期間なら気合でカバーできると思いますが。クインシュタイン博士が人工栄養を完成させていなければ、栄養失調で倒れる人もでますね。

・地球不毛作戦
 S1星の方々は元々、人工栄養で作られた食事で生活していたのだから、穀倉地帯を襲ってもあまり影響ないと思うのですが。もしかすると、S1星にいた時から一部の人間は人工物ではなく、わずかに取れていたかもしれない自然の物を食べていて、そのおいしさに惹かれていたのかもしれませんね。だから穀倉地帯を襲うのをためらったのかも。中和剤が完成したので、今回の作戦に踏み切ったということかな。
 しかし、前回の地球氷河期作戦も穀倉地帯にダメージを与えるのだし、地球を元の温暖な気候に戻したり、中和剤を蒔いたりしても、肝心の種籾は?。土地だけあっても仕方ないだろうに。地球侵略に成功しても、しばらくは人工栄養生活ですね。

・クインシュタイン博士
 今回は人工栄養の開発に成功のクインシュタイン博士。いったい、あなたはいくつの得意分野をお持ちで。
 ところで、地球=S1星と考えると、アルゴル内で製造されている人工食料は、元はクインシュタイン博士が開発したものなんでしょうか?。

・ガットラーとアフロディア
 今回の作戦の発案はガットラーですね。この後の第32話でも人工太陽作戦をガットラーが指揮しています。もうアフロディアばかりに任せておけないというのでしょうか。でも、アフロディアはかわいい奴というのは変わらないでしょう。いっしょにワイン(?)で勝利の前祝をしてますし。

・ジョラー
 普段は農作物を枯らす薬を空中散布する飛行機ですが、バルディオスが現れると変形して巨大ロボに。アルデバロンのメカでも、アクーダイカン等と並んで善戦した方では。


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