宇宙戦士バルディオス全話レビュー


第19話「亜空間に架ける橋」

ストーリー

 スイスラー国の人々がアルデバロンの空母によって連れ去られていった。その中には亜空間研究の権威であるクラン博士が含まれていた。時を同じくして、太陽系第10惑星が発見される。ブルーフィクサーは、スイスラー国での事件と第10惑星が関連ありとみて、バルディオスチームに第10惑星の調査を命ずる。

 マリン達は海王星到着すると同時に第10惑星の調査を開始した。それは、アルデバロンが開発中の人工惑星であった。そして、スイスラー国でさらわれた人々はここで強制労働をさせられていたのであった。マリン達はアルデバロンの基地に潜入し、クラン博士と接触することに成功する。そこで、クラン博士の口から出た言葉は、ある彗星が地球に向かっていて衝突の恐れがあるということであった。そのため、巨大な重力場を宇宙空間に発生させて、それを彗星にぶつけ、最後に亜空間に送り込むしかない。人工惑星はそのためのものであった。マリン達はとりあえず、クラン博士やスイスラー国の人々を救出しようとするが、クラン博士は地球を救うための人工惑星建設を邪魔はさせまいと、アルデバロン兵士にマリン達が潜入していることを知らせることによって追い返してしまう。

 彗星が海王星付近を通過するまでに、残りはわずかな時間。マリンは彗星を亜空間に送り込むのと同時に、さらわれた人々を救うには、人工惑星建設に協力するしかないと判断する。アルデバロンの追手であるメカの巨大エイを倒し、バルディオスは人工惑星に進入し、人工惑星の建設を手伝う。やがて、人工惑星が完成するが彗星は目前に迫っていた。急いで人々とともにバルディオスで脱出するマリン達。クラン博士は、バルディオスが人工惑星から脱出するのを確認すると、重力場装置を発生させた。間一髪、彗星は大爆発の末、亜空間へ。

 マリンは、クラン博士のことが気になり、単身、クラン博士がいる海王星基地に向かう。そこで、マリンが見たものは、バルディオス脱出を待ったために、爆発の影響で破壊された海王星基地内で柱の下敷きとなって死んでいたクラン博士であった。マリンは博士の亡骸を抱いてバルディオスへと戻っていくのであった。

感想

・アルデバロンの科学力
 短時間で完成できる人工惑星もすごいですが(普通は何年もかかるのでは?)、冒頭で、アルデバロンは空母を使ってスイスラー国の人々をさらうシーンがありますが、あのしくみはどうなっているのでしょうか?家の中にいる人間だけが空母に吸い込まれていきましたから。もっと、いろんな物もいっしょに吸い込んでもよさそうですが。それだけの科学力があるなら、放射能濾過システムの研究に力を・・・。

・彗星
 彗星だけを見てしまうと、某宇宙戦艦が出てくるアニメを思い出してしまって・・・。TVでの本放送の時期も時期なんで。よけいに。でも、アルデバロンが指摘するまで彗星に気づかないなんて。ハレー彗星と違って、コースを特定できなかったのだろうか?

・クラン博士
 亜空間研究の権威で、その方面ではクインシュタイン博士の恩師でもある。アルデバロンに強制(?)されてた面もあるとはいえ、最後までスイスラー国の人々ともに地球を守るためにがんばっていました。最後にマリン達にすべてを託して、自分の身を犠牲にしていく姿を見ていると、己の非力さを痛切に感じます。
 人工惑星完成のためには、マリン達、バルディオスチームが邪魔として、アフロディアにマリン達の居場所を話すシーンがありますが、クラン博士としてはかなりつらい選択だったと思います。マリン達が助けにくれば、スイスラー国の人々が助かるかもしれません。しかし、そうすれば彗星を止める手段がなくなり、地球がなくなってしまうかもしれない。我々凡人と違って、自然の脅威を科学的に知り尽くしているだけに・・・。

・アフロディア
 地球がなくなっては困るのはアルデバロンも同じ。捕らえた地球人に対して、資材を提供して、地球を救うためと称して強制労働。アフロディアが執った行動は、地球人の地球を守ろうとする心を信頼してのことだと思われます。その心を逆手にとって、自分達には犠牲のでないように、かつ、地球も無事というある意味一石二鳥を狙ったのでしょう。
 本当に地球を失いたくないのなら、人工惑星建設もアルデバロンが率先してやるべきでしょう。地球側と一時停戦ということで。そのくらいの非常時です。しかし、バルディオスを倒すことには失敗したものの、狙っていた一石二鳥は見事に成功しています。マリン出現で心を乱さない限りは、恐るべしアフロディア司令長官。

・海王星
 普通は太陽系第9惑星は冥王星なのですが、一時期だけ、海王星が太陽系で一番外側の星になるんですね。バルディオスの本放送はちょうどその時期でしたっけ?もし、これが正しければ、本放送当時の世の中の一端がわかるという番組に(ならないか)。



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