講座07>共同制作の文学(7)

パソコン通信の現状

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 ここ10数年の間に発達著しいパソコン・ワープロを電話回線に繋いで通信するというパソコン通信は、その意味で最先端の技術によって実現された通信方法ですが、実はそのパソコン通信で出来ることというのは、ある意味でかなり原始的であるとも言えます。

 つまり、マスメディアは新聞・ラジオ・テレビと進んで来て、その間に活字・音声・映像、それも動く映像が扱えるようになって来たわけですけど、パソコン通信なんて基本的に文字情報をやりとりできるだけでしょ?

 音声も画像もバイナリファイルを送受信するプロトコルによって一応伝達可能だけど、手間はかかるしそれによって伝達できる画像や音声なんて、ラジオやテレビに較べたら子供だましみたいなもんですからね。

 ただパソコン通信がそういう原始的な情報しか交換出来ないものであることが、これもある意味でパソコン通信のメリットでもあると思う。音声や映像の氾濫に慣らされて文字を読み書きすることから遠ざかりつつあった現代人が、改めて文字を読み書きしなければならなくなってしまった。

 それによって文章の難しさも面白さも、改めて味わわされつつあるというのが現状ではないでしょうか。

 それと使う道具の問題ね。パソコンもワープロも、まだラジオやテレビほど安くて誰でも扱えるというものになっていない。ただこれは技術的な問題だから、いずれ遠からず改善されるだろうという希望的観測を、持っていいでしょうね?

 画像や音声も、いずれもっと簡単に扱えるようになるのでしょう。こうして今テレビやラジオを持っている人と同じくらいの数の人達がパソコン通信に参加出来るようになれば、その時点でまた問題はいくつも出て来るとは思うけど、ともかくマスメディア全盛の現代に較べて、個人の孤独は解消されるだろうし、一方的な価値観の押し付けも減少するだろうと、とりあえずパソコン通信の前途は明るいわけであります。

キョン太

※パソコン通信の前途は明るいなんて書いてますけど、これはとんでもない予想でしたね。とはいえパソコン通信が発展してインターネットになったと思えば、やっぱり発展したと言っていいのかもしれないですが。(2001/06/10)

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