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時の話題2006-10
LAST UPDATE 2006-11-13
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◇印は《日々雑感新掲示板》より転載
大阪・京都・奈良〜誰がずるいか誰が痛いか〜(06/10/30) ◇奈良出会いウィーク2006(06/10/28) ◇高校の必修単位不足問題(06/10/26) ◇人権教育映画鑑賞会2006(06/10/24) ◇奈高総研研究集会2006(06/10/21) ◇ケータイリテラシー教育(06/10/18) ◇放射性物質検出?(06/10/14) ◇映画「マダガスカル」差別表現(06/10/1)

【大阪・京都・奈良〜誰がずるいか誰が痛いか〜】vol.345《日々雑感より》
◆大阪・京都に続き、奈良県でも部落解放同盟幹部の不正行為を摘発する報道が続いている。組織的関与だったのかどうかも含め、徹底究明を求めたいのだが、少々疑念が感じられる。
 まず、すでにオールロマンス事件当時、行政依存の堕落を懸念する内部批判があったらしいが、それでも何故同和施策が求められ推進されてきたのかを同対審答申に立ち返り再確認することから、同和行政を振り返らねばならないという点だ。ずるい奴がいるという報道が、同和行政はずるい施策だったという偏見にすり替わりかねないからだ。
 次に、エセ同和団体の脅迫行為と同様、被差別部落民による「差別を食い物にする行為」もまた、徹底糾弾すべきであるが、それは部落解放同盟そのものの否定にはつながらないと考える。この間の解放同盟の対応は後手に回り過ぎとは思うが、一連の不正に対する、真に解放運動をしている者の怒りや解放同盟の対応をマスコミが充分に報じているとは思えない。まずは敵意ありきの報道では、人々の差別意識を問うことなく、それを安易に増長させるばかりではないかと心配される点だ。個々の解放同盟員には問題のある者もいるだろうが、組織や運動そのものを全否定するのは過ちだ。
 さらに、行政側の問題だ。ある国会議員の後援会事務局員と論争したことがあるが、行政側に「差別を無くそう」というスタンスがしっかりとあるかどうかもまた問われねばならない。安易な予算措置が行政のアリバイとしてなされてきたなら、「要求に応えて」だの「批判されて」だのという言い訳は許されないという点だ。したたかに生きてこざるを得なかった被差別民の訴えを表面的な予算措置でやり過ごしていれば、やがては歪んだ利権とねたみをもたらす。行政の主体的責務を問い返す必要もあるのだ。
 最後に、何故今次々とこうした不正が続けて暴かれているのかということにも不審さを感じる。単に連鎖的に摘発されているだけなのか、何らかの政治的意図で演出された情報操作なのか、kurochanには分からないが、強権的な国家作りへの布石として、反権力封じ込めに仕組まれた、または利用されるとしたら、それこそ悪質な利益誘導だ。一連の報道で暴かれた不正の数々には弁解の余地がないものが多いと思うのだが、「誰がずるいか」を暴く一方で、「誰が痛いか」を明らかにしなければ、差別への怒りが、怒りへの反感にすり替えられてしまうと思うのだ。その点が一番心配だ。
 誰がずるいか、誰が痛みを 背負わされているのかを見極めなければならない。(860、06/10/30)[→10月目次]


【奈良出会いウィーク2006】vol.344《日々雑感より》
◆奈良の大仏すぐ近くに東大寺学園旧校舎があるが、今年も恒例の「奈良出会いウィーク」が開催されている(10/28〜29)。明日は「奈良サンウリム」も兼ねているのが、今年は初日をのぞきに行った。映画『蟻の兵隊』を観たかったのだが、子どもを5人もつれていたので諦めたが、岩波ジュニア新書『私は「蟻の兵隊」だった』を買い、ついつい読み入る。日本軍が敗戦時に中国に残留を命じた兵士たちが26000人もいたが、どうやらそれは軍閥との密約で売却された、世界史上類のない「売兵」らしいのだ。今も健在の元兵士が、自らを翻弄したその「隠された歴史」を明らかにしようと奮闘されている。映画も本もお薦めである。イラク市民の生活破壊を写真や子どもの絵で伝える展示室もあった。その実態を現地からのテレビ電波で伝えようとするプロジェクトがあるという。これにも協力したい。(858、06/10/28)[→10月目次]

【高校の必修単位不足問題】vol.343《日々雑感より》
◆カリキュラムの恣意的運用で卒業に必要な必修単位数が不足している高校が全国的に多数発覚し、来春の卒業に向けて数十時間もの補習を必要とする高校生が大量に発生している。文科省が明日調査結果を発表するはずだが、どうも不可解な点がある。なぜ今、そうした問題が急に提起されたのかだ。省令にすぎない学習指導要領がどれほどの法的拘束力を持つのかという論争が昔からあるが、上位の学校教育法のさらに上位にある教育基本法を改悪しようという動き、特に「教育行政が不当な支配にならないように」規定されたはずの教育基本法第10条をすり替える同法改悪案とタイアップさせて、強権的教育行政を目論んでいるのではないかと思われるのだ。教育基本法改悪と、文科省による学習指導要領の恣意的運用こそが、隠された狙いではないか。高校生を苦しめているのは各高校のカリキュラムの恣意的運用だとされるのだが、学習指導要領が示すカリキュラム条件にも問題があったはずだ。教育(文科)行政の責任のがれと強権化を許してはならないと考える。(856、06/10/26)[→10月目次]

【人権教育映画鑑賞会2006】vol.342《日々雑感より》
◆勤務校では午後から人権教育映画鑑賞会があり、人権啓発映画「メール」(東映・2001年)を全校生徒と観た。kurochanはインターネットステーションの研修会で昨年春にすでに観ていたが、偽のHPを作られた女子高生の苦悩とHPを閉鎖に追い込んだ友人たちの闘いが描かれている。啓発映画としては良質な作品だろう。部落差別に関する描き方に薄さがあるが、一般的な啓発映画ではネット上に横行する差別表現を紹介するわけにはいかないだろう。また、首尾よく解決するのは現実的ではないという見方があるが、生徒たちの感想文を読むと、解決のモデルとして理解してくれているようだ。kurochan的には、偽HPの開設者と思われる人物の屈折からの解放を展望できる内容が欲しかったところだが、それをドラマチックに描くのは難しいのだろうな。(855、06/10/24)[→10月目次]

【奈高総研研究集会2006】vol.341《日々雑感より》
◆奈良市内で行われた奈良県高等学校教育文化総合研究所(奈高総研)教育研究集会に参加。午前中の全体会では、オペラ歌手渡辺千賀子さんの『小さな手のひらコンサート』があり、最前列でその歌声と人権への思いを聞かせてもらった。ベトナム反戦焼身自殺をしたパリ女性を歌った「フランシーヌの場合は」や、部落差別による結婚差別を歌った岡林信康の「手紙」などの数々の歌を聞いているうちに、社会にいかに関わるかということを基本に、人物史学習 (テーマ学習)・表現活動・子育てに取り組みたいという具体的イメージがぐんぐんと湧いてきた。午後は去年に引き続き第三分科会の記録を担当。在日外国人生徒に関して、昼間定時制高校の意義・自主夜間中学の取組・在日外国人青年の会の活動と帰国生徒特例枠高校入試制度についての3本のレポートがあり、 kurochanはひたすらキーボードを打ち続けたのだが、さまざまな意義ある実践に改めて気持ちを奮い立たせつつ、若い教員の活動家をもっと育てないとという焦りも覚えた。まだまだすべきことはたくさんあるのだ。(852、06/10/21)[→10月目次]

【ケータイリテラシー教育】vol.340《日々雑感より》
◆奈良県内のある中学生が、同じ中学の生徒たちからの悪質なケータイメールに打ちのめされ、抑鬱状態となり不登校になっていると、約10日前に新聞報道された。ケータイリテラシーを人権教育にしっかりと位置付ける必要があると考えていたところ、そうした教育に取り組むための資料を提供してほしいと、今日、その市内にある中学から問い合わせがあり、人推担当の教員が早速来校された。この間、kurochanが作った講演資料や教材、生徒へのアンケートやその集約、職員研修資料などを提供し、いろいろと話し合った。報道された中学に限らず、友達とのトラブルやいじめが、メールやBBS(電子掲示板)投稿という形で、あっという間に広められ恐怖の闇に突き落とされるという事例が増えていることと、教育課題として取り上げる際に手口の手引きにならぬようにすることや保護者や教員の問題意識を高める方法についてなど、いろいろと話し合った。ケータイリテラシー教育についての資料や教材等をまとめ、いろいろな学校で参考にしてもらえるように編集した教材集を作る必要がありそうだ。(849、06/10/18)[→10月目次]

【放射性物質検出?】vol.339《日々雑感新掲示板レスより》
◆NPT(核拡散防止条約)は核保有国の優位が崩れることを防止するための条約だと思います。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核保有については、地政的環境からしても、そうした主張が出てくるのはやむを得ないと思います。核保有に限らず、軍事演習だって北朝鮮が行えばことさら大騒ぎになりますが、そうした不公平な評論や報道に加えて、軍事力格差を考え合わせれば、もっとヤバイ動きが他にあるじゃないかと思います。しかし、今の北朝鮮政府は、60数年前の日本にも似て危険な匂いが付き纏います。人権を抑圧する独裁者への崇拝がもたらす悲劇を繰り返してはなりません。北朝鮮の人民をも含めた平和な東アジア世界の構築を外交によって実現させたいですね。(ようちゃん・eatyhiroさんへの新掲示板レス、06/10/7)
◆北朝鮮の地下核実験に関して、アメリカが微量の放射性物質を検出したと発表したが、その直前に韓国と日本が検出できなかったと発表したことを打消すための情報操作ではないかという気がしてならない。株に詳しい知人が、この間の平均株価が何ら変動していないのは、本当は誰も心配していない証拠だと笑い飛ばしているが、手の込んだ情報戦略が煽る不安が民意を覆い、最悪の悲劇をもたらすことのないことを祈る。(846、06/10/14)[→10月目次]


【映画「マダガスカル」差別表現】vol.338《日々雑感より》
◆今日は一日家でのんびり。レンタルビデオで映画『マダガスカル』を観るが、随所に気掛かりな表現があった。クリントン批判はともかく、とくに知的もしくは精神障害者施設を引き合いに出して悪態をつく部分は、日本語訳では薄めたつもりなのだろうが、まだまだ差別表現であると言わざるをえない。また、『ハリーポッター賢者の石』と同じく、悪いイメージの人物描写にターバンが使われているのも欧米の表現物にありがちなイスラム系への侮蔑表現である。仮にクリントン政権を暗に批判するための映画だったとしても、克服すべき差別感情を助長することは許されないと考える。(837、06/10/1)[→10月目次]



























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