時の話題2001-10
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2002-03-18
総目次 タイトル索引 テーマ別索引 2001-7
今月の目次 ◇印は《日々雑感》より転載
【狭山事件】vol.17《日々雑感より》
◆今日は「10.31狭山デー」です。1963年に埼玉県で起こった女子高生殺害事件、いわゆる「狭山事件」の第2審判決が1974年出された日ですが、1審の死刑判決が無期懲役に減刑されました。しかし、部落解放運動関係者のみならず、各界からも冤罪の疑惑が数多く指摘され、裁判経過に対して国連等からも問題点か指摘されています。石川一雄被告は服役態度良好ということで仮釈放されましたが、無罪を訴えて今も全国行脚されています。東京オリンピックを控え、吉展ちゃん事件の失態による治安当局のメンツ回復のために、被差別部落への偏見を悪用して、官民マスコミが作り上げた差別・冤罪事件であると思います。(42、01/10/31)[→10月目次]
【国民栄誉賞】vol.16《日々雑感より》
◆イチローが国民栄誉賞辞退。kurochanは喝采を送りたいね。でも国民栄誉賞ってなんなんだ?元ジャイアンツの王選手は在日中国人と公表しているが、「国民」体育大会に出場させて貰えなかったのに、「国民」栄誉賞を授与されている。中国人差別者の石原知事は王選手の受賞をどう思っているのか?サッカーの中田選手は最後まで受賞しないだろうね。単に「君が代」嫌いだけじゃなしに。(38、01/10/28)[→10月目次]
【多文化共生】vol.15《日々雑感より》
◆中国残留日本人孤児について人権ホームルームでとりあげました。多文化共生社会をめざして、多様な在日・滞日外国人について知るべきこと・学ぶべき態度はたくさんあります。(33、01/10/24)
◆ただ今、解放研のチャングパートでヨンダムノンア(プンムルノリ)の練習中。文化祭での発表に向けて、約二週間で生徒達にマスターさせようと思っています。あとプク役がいればサムルノリになるんだけれど。朝鮮人に対する差別はきわめて日本人の意識の問題です。国籍条項等の法制改革(時の話題に解説あり)や多文化共生教育が課題です。異文化との豊かな出会いが果たす役割は、同質が強要されがちな日本ではとりわけ貴重です。(35、01/10/26)
◆文化祭一日目。解放研のサムルノリは大成功!二週間足らずの練習でよくぞあそこまで上達してくれました。ケンガリ・チャング・チン・プクの四種の楽器で奏でる朝鮮の民族音楽です。朝鮮との豊かな出会いを意図した反差別の楽しい取り組みです。(50、01/11/8)[→10月目次]
【遺伝子科学】vol.14《日々雑感より》
◆ヒト遺伝子情報が競売にかけられるなんて、司法は何を守りたいんだ?命がモノ扱いされる世に立派な人間形成なんて白々しく映るのも無理ないじゃないか。(34、01/10/25)[→10月目次]
【殺人遺棄事件】vol.13《日々雑感より》
◆知人の夫が奈良県吉野山中で遺体で発見されました。8月に通りすがりの暴力団員ともめて、殺されて埋められたようです。ショックです。(30、01/10/22)
◆掲示板に詳しく書いた、知人の夫が通りがかりの暴力団員に殺され山中に埋められていた事件はテレビのニュースでも取り上げられていましたが、あっさりしたものです。今まで何気なく眺めていたニュースの一つ一つにも、はかり知れない悲しみや苦しみや怒りや願いがあったんだ。アフガン難民の一人一人にも、炭そ菌被害者にも。正に、炭焼き人の苦労を思えだ。(31、01/10/23)[→10月目次]
【張学了の死】vol.12《日々雑感より》
◆張学了が亡くなりました。ハワイ在住100歳だったとのことです。老いも若きも有名人も無名人も、歴史の証人は時とともに消えていきます。(20、01/10/16)[→10月目次]
【テロ対策と反戦】vol.11《日々雑感より》
◆「ついにアメリカがアフガン攻撃に出たよ。これもまたテロじゃないのか!」「いや、軍産複合体の景気対策だよ」
「高橋尚子にも、希望していたシカゴマラソンを走らせてやりたかったなぁ。」「戦わずして記録が破られたもんなぁ。こういう戦いこそして欲しかったよ」(2、01/10/8)
◆みみさんの仰るように、小泉さんは多少の犠牲に孝太郎くんをあわせる気があるのかと思いますね。仮に孝太郎くん自身が出征を希望しても、俺は行かせたくないし、俺の子どもも行かせたくない、もちろん俺も行かない。(6、01/10/9)
◆奈良県内でも海外修学旅行の取りやめが続いてます。ドルが急落し、ドルに替えた小遣いが大幅に目減りということです。(11、01/10/11)
◆自衛隊法「改正」案新設第96条2項に、防衛秘密の指定と罰則が規定されようとしている。どさくさまぎれの「国家機密法案部分復活」である。防衛庁調達実施本部とNECとの不正取引事件の真相は本当に解明されたのか?1本5000円のボルト・約200万円もする小型冷蔵庫など、「機密」と「いい値」をいいことに時価の約100倍で取引されているということも、完全封印されてしまうのか?米軍の取引詳細目録「ペンタゴンカタログ」の日本版を作らなければならないのに。(18、01/10/14)
◆通称テロ対策特別措置法案が可決されれば、シビリアンコントロールはふっとんでしまう。軍部の独走が可能となってしまっていいのか!11月の明日は中尾さんが阪急園田駅南富田公園での反戦集会にライブ出演。明日は奈良JR駅前では反戦集会とデモ行進もあります。(23、01/10/17)
◆昨夜は、奈良平和フォーラムに集う、労組や教祖・被爆者の会・沖縄の会など、僕の実感では約400名が、JR奈良駅前でアピール・連帯挨拶・集会決議「テロ・軍事報復・自衛隊海外派兵」の採択を行い、奈良県庁前までシュプレヒコールを連呼しながら、デモ行進をしました。肉離れも背中の痛みもかなりましになっていたので、Kurochanもしっかり歩いてきました。特に、国際反戦デーの10.21には、各地で集会が行われます。関西のいくつかの集会・署名活動等について、掲示板で中尾さんが紹介してくださっています。奈良でも、「2001.10.21ピースアクションINなら」の集会が午後1時からあります。祈り・歩き・語り・歌い・踊って表現する集会だとのことです。(25、01/10/19)
◆21日は国際反戦デー。ベトナム反戦に端を発し、今年はテロ行為・英米のアフガン攻撃・自衛隊の海外派兵反対の集会が各地で行われたようです。中尾さん、ライブお疲れ様でした。(30、01/10/22)
◆職員会議で配布された資料をよく見ると、イスラム原理主義をひとくくりにしてカルト集団と言わんかのような記述がありました。ムスリム一般と区別すべきという趣旨の資料でしたが、これもまた偏見であると指摘しておきました。(33、01/10/24)
◆炭そ菌事件はビンラディンに共感する米国内極右勢力が関与との報道。どちらにせよ「殺すな」。(38、10/28)
◆テロ対策特別措置法案が可決された。内容も2年の時限立法だということも大いに疑問だが。(40、01/10/30)[→10月目次]
【アメリカ同時多発テロ事件】vol.10
9月11日午前9時前(日本時間同日午後10時前)、米ニューヨークの世界貿易センタービルに民間航空機が突入。ついで2機目が突入。まもなくワシントンのペンタゴン(国防総省)に3機目が、ペンシルバニア郊外に4機目が墜落した。死者は6000人を越えるとみられ、懸命の救出作業が続けられた。1機目の突入直後からCNNがテレビ中継を開始し、世界が注目する中、ブッシュ大統領は軍事的「報復」の決意を表明し、証拠を明らかにせぬまま、アフガニスタンに潜入しているとされるオサマ=ビンラーディン氏を黒幕と名指し、10月7日午後9時(日本時間午前2時半)頃、アフガニスタンのタリバン政権をテロ支援勢力として、米英が攻撃を開始した。(以上、kurochanまとめ)
【1】敵意の拡大再生産からの解放を(中尾さん筆)
今回のテロに関して
・イスラム教とイスラム原理主義の一部過激派は明らかに違う宗教である事
イスラム原理主義の一部過激派は所謂時代の要請に応じたカルトであり、そこには明らかにマインドコントロールが存在します。ジハードにより他人を攻撃し殉教したものは次の世で救済されるという教義は、ワッハーブ派の中にさえ異論を唱えるものもいる、まさに狭義で曲解である。
オウムのポアと同じ次元。世界3大宗教と呼ばれるものが、民族や人種を越え幅広く1000年以上も支持されてきた背景は絶対的な平和主義でありかつ個人の弱き痛みを共有するものだからです。
・世界史上、純粋な宗教戦争は存在しないと考えます。 宗教戦争とされるものでも、例えば十字軍やレコンキスタでさえも、そこには必ず利害闘争や権力闘争が介在し、犠牲になるのはいつの時代も若く狂信的な信者。宗教が巧みに利用され、洗脳されたもの達が闘いの最前線に駆り出されるのです。
・イスラム社会対西欧社会の対立の空気を作った方が分かり易いし民衆も納得する。 イスラムをステレオタイプに世界の敵と(とりあえず)したいアメリカ、NATOの包囲網がさらに民衆の怨嗟を深める事になると、結局は10年リバウンド(今回も湾岸戦争から10年)のような様相が永遠に続く。
これは敵意の再生産であり、敵意という誘惑を恣意的に醸成しているものです。 圧倒的な武力の差、を放置し恣意的に操るクリントン、ブッシュ政権の政策こそがアラブの難民を大量に作り、敵意を作り、イスラム世界の反米反イスラエルを怨嗟や怨念にまで作り上げた温度上昇が、大量の人的物的資本を持つものの登場で起こるべくして起こったものが今回のテロではないか。
・敵意の誘惑からの解放これに尽きる 情報錯綜、情報の操作、宗教上のカルトセクト利用、敵意の誘惑、武力行使、戦争。幾度も幾度も繰り返された悲劇にまた突入しようとしている。
この連環状を断ち切るには、集団的自衛権の行使でなく、違う考えを持つものを受け入れ(もちろんテロを擁護するものでなく)共存でき認めあえる、人としての優しさや柔軟さが求められているのではないかと思います。
国家やセクトが熱狂的になる程、強固な意志決定を持つべくして持つ。 燃えさかる国民感情があるからこそいっそうに自由社会民主社会の持つ、厄介でややこしく時間のかかる事であるが、きちんと手続きを踏んで法的に理性的な対応をする事が大事。
思いつくままの乱文失礼します。
最後に被害に遭われた方に心からご冥福をお祈りします。合掌。(2001-9-15、中尾さん筆、掲示板への投稿)
【2】武力行使で相手を封じ込める事が真の平和に繋がるとは思えない(中尾さん筆)
イスラム原理主義はイスラム教の現代化、西欧化を宗教的堕落と見なしコーラン原点の根本主義に還ろうとする考え方で、部族的な要素も多く政教分離も未分化であるといわれています。そしてこういう地域は未だ世界に数多く存在します。
このテロは、テロを起こした本人達にとってはアメリカを典型とする西側文明、社会に突きつけたテロであり私たち日本も日本人も直面する当事者と認識しています。さらに次(比較的近い将来、明日かもしれない・・・)、刃が自分たちに向けられるであろう事は想像に難くないしその時がこのままでは必ずやってくる。そして今人類を滅亡に導くに足るツールが有り余る程そろっているのです。今やソ連崩壊、冷戦終了後ブラックマーケットではプルトニウムやウランやいろんなものが売買され広島型の原爆ぐらいすぐに簡単に作れます。攻撃目標は米軍基地、自衛隊の基地ですか?西欧型社会を甘受している米国盟邦、日本の市民、国民なのです。西側の市民であり住民である私たちへの差し迫った脅威でもあるのです。
そして20世紀まではそれを使用できても、しなかった。しかし次は使用される事が考えられます。エスカレートしパンドラの箱をこじ開けてしまった「狂信派」はさらにエスカレートした兵器(ABC兵器と呼ばれるような・・・)使用も考えられます。そして信じられない災厄をもたらしてしまうのです。阪神大震災どころではありません。
どうしてエスカレートするのか?。
Time magazineの終面記事には「今必要なのは、アメリカ国民が団結すること。パールハーバーの時と同じように、紫色に燃える怒り。一週間やそこらで消えたりしない、容赦のない憤り。」とあります。テロリストにはどんな主張をも正当化できません。イスラムの民衆を巻き添えにしたとしてもこの報復は容認されるべきという論調に、アメリカ市民の7割近くが同調しています。これだけの物的、人的被害を受けたのだからそれ以上の災厄を敵側に与えるのは当然であるし、気が済まない。肉親が被害に遭われた方は特にそう思うに違いない。
しかしネットワークを張り巡らすラディン一派を武力殲滅したところでイスラム民衆の怨嗟、怨念が募る一方ではないでしょうか。それはイスラム原理主義思想とは違う次元の組織風土的な話です。話し合いのテーブルに着かない訳のわからないテロ集団だから、すべてなかったようにこの世から殲滅するのが世界を統治するリーダー国家の役目だし、私たちが受けた傷はこんなにも深い。この正しい世界的正義「世界政策」が世界の他の場所(とりわけ部族的な地域といわれるところ)からどのように見られているかを、けっして解ろうとしないのもまた事実です。
今回のテロでも西側諸国の代表として威信をかけて犯人と犯人組織を引きずり出し法的、合理的に裁く。日本もそれに協力するのは当然です。しかしそれと「報復」行動とは別だ。必ず大局的にはさらに将来信じられない程多くの犠牲者を増やす行為だと考えます。市民を巻き込むような報復攻撃によって、人間と人間のまたは民族と民族の敵意、憎悪、怨嗟を増幅し、第2、第3、第4のラディンを醸成し、テロを必ず誘発する。ただでさえ多くの民衆が貧困と難民状況に苛まれているアフガンの民、市民を巻き込む報復は決してしてはならないと考えます。
これは10数年後の私たちに降り注ぐカタストロフィーを約束してしまうものだと考えます。(2001-9-16、中尾さん筆、掲示板への投稿)[10/9、若干の校正]
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