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ついんLEAVES

第五回 4






「ただいまー」


 玄関を閉じてしっかり鍵をかけると、俺はその場にへたりこんだ。


 今日はヤバかった・・・・・・・・・・・・・


 いつもの雨どい直滑降でスタートした逃走劇だけど、だんだん連中も知恵がついてきて、一筋縄じゃいかなくなってる。

 今日も二度ほど、かなりきわどい展開になった。

 まぁ、連中には遊びでも俺は捕まったら袋叩きだから、気合いの差でクリアしたけど。


「お兄ちゃん、お帰りなさ〜い!

夕ゴハンは石焼ビビンバと冷たいキムチスープだよ〜♪」


 キッチンからつばさが出てきた。

 水色の上下揃いにピーチピンクのエプロンをかけてる。美乃里さんを手伝ってるんだろう。



 つばさは俺の横にとことこ来ると、うな垂れてる顔をのぞきこんだ。


「どしたの?」


「いや・・・・・・・・・・・・ちょっと、疲れた。

 (嫉妬に狂った野獣どもと)追いかけっこして」


「え〜っ、つばさを仲間ハズレにして鬼ゴッコするなんて、ずる〜い!

 こんど遊ぶ時はつばさも混ぜてね!」


「飢えた狼の口に飛び込む気かよ」


「おーかみ?」


「いや、何でもない・・・・・・

 機会があったら混ぜてやる」


「きっとだよっ」


 どう考えても囮というか、捨て駒にしかならないけどな。


 機会が来ないことを祈ろう。


「さくらまるは?」


 つばさの表情が曇った。


「やっぱり、調子悪いのか」


「うん・・・・・・・・・・・・・・・

 美乃里ママも心配してる」


「そっか・・・・・今はなにしてる?」


「二階の奥の部屋で、お片付け」


 つばさは眉をひそめて二階を見上げた。


「お兄ちゃん・・・・・・・・」


「わかってる。休むように言っとく」


 これでも一応"ごしゅじんさま"だからな。


「・・・・・ウン」


 キッチンに戻るつばさを見送り、俺も自室に向かった。


 やれやれ・・・・・・・・

 神様なんて供物もらって遊び呆けてばかりと思ってたけど、さくらまるはワーカホリックだ。


 カバンを小脇に抱えて階段に足をかける。

 そして何の気なしに顔を上げ−

 俺は硬直した。


 一番上。


 艶のある深緑が階段を流れていた。


 ぴくりとも動かないソレは・・・・・・・・




「さくらまる!!!」








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