「もしもし、こちら北(ほく)758。定時連絡。異常なし」
『ご苦労様です、北758。一斉送信メールの着信確認を行っていませんね。ただちに確認を』
「了解」
ピッ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ピッ・・・ピッ。
「なんだ、この写メは」
♪〜♪〜〜♪〜♪〜♪♪〜♪
「・・・・・はい、北758」
『新入りか。私だ、春日だ』
「新入りではなく北758の石間(いしま)です、支部長。最重要マークのメールに添付されてる画像ですが・・・・この少年は誰ですか?」
『メールにある通りだ、新入り』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
『いいか、その少年が管轄内にいても、決して手を出すな』
「この少年に? 危険なんですか」
『とてつもなく、な』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
『少年に近づくな。何があってもだ』
「何があっても、ですか」
『そうだ。少年の周囲でどんな災厄が起きようと、観客に徹しろ』
「しかしそれでは我らの義務が・・・・」
『義務? そんなもの物置にでも放り込んでおけ、新入り』
「支部長。私は新入りではなく、北758の−」
『写真を目に焼き付けろ。指示を守れ。以上』
「・・・・・・・了解」
ピッ。
「馬鹿な・・・・・・それほど危険な存在を野放しにしろというのか。人々の守護と邪悪の排除こそ、何物にも勝る我らの義務のはずだ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「ふん。デスクワークで弛みきった管理職ならいざ知らず、こっちは奥道場で鍛え上げてきた身だ。モノノケなど恐れはしない」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「それなりの相手でなければ、力試しにもならないしな・・・・・強敵ならば、かえって好都合」
モノノケの力いかほどのものか、お手並み拝見といこうじゃないか。
・・・・そして−
物覚えの悪い支部長に、私の力を見せつけてやる。
「くっくっくっくっ」
「んみゃーっ! つまんにゃ〜い!」
「珠緒さん。せめて夜はお静かに」
「つまんない、つまんない! リョーがいないとつまんなーい!」
「それは・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・タマや」
「タマじゃなくて珠緒! んで、何よ、ふみっち」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あそんで」
「いいけど・・・・・ロープなんか持って来て、なにすんの」
「・・・・・・・・・・・・・・・・うらにわで、ばんじーじゃんぷ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ただの逆さ吊りじゃん!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たのしい?」
「楽しくにゃーい!」