コミティア62 レポート 02/11/17(日) |
最終更新 02/11/23
あいにくの曇天下で行われたコミティア62でしたが、同時開催のイベントから回ってきた方が多いらしく、けっこうな人の入り。
とか言ってたら、”入場者が少ない”と仰るサークル様がちらほら....う〜ん?(−−;
往来の激しい中、某サークル様のスペースに、キャラフェスで販売された特大サイズのキャラ商品が三つも確保してあったのが印象に残りました("絆箱"発売おめでとうございます(^^)。
それでは神有屋的ベスト3の発表に移るとしましょう。
「」内が誌名、()内がサークル名と同人作家さんのお名前です。
また、金賞該当作の作家様には勝手にイラストを進呈することにしています。
(イラストのアップロードはVIPルーム内なので、見る見ないは先方様の自由という事で)
今回の金賞
残念ながら金賞はありませんでした。
「君がいないだけ」...初版2002/5 コピー44P、表紙モノクロ+α
「三人揃って花火をしよう」...初版2002/11/17 オフセット36P、表紙特別カラー
はじめサークル様のスペースを覗いた時、首を傾げました。
"同じ本なのに、どうしてずらっと並べて展示するんだろう?"って...
で、よく見てビックリ、
このコピー誌の表紙絵、手書き!?
オフセのカラーも手塗りだ!!
製本工程のみならず、創案、作画工程にまで省力化が進むこの時代、1冊1冊に鉛筆やマーカーをのせた作家様の心意気にまず感動。これは買わねばなりますまい...
売り子さんの「強く擦ると線がボヤけますから...」というお言葉も半ば楽しく、作品をバックパックに収めました。
・"君がいないだけ"は、ほろ苦い青春ラブストーリー。少(わか)い恋人達のひたむきな生き方が心を打ちます。
想いが通じ合うのが嬉しくて、
でも言いたい事があるのに言えなくて、
懸命に「いつまでもずっと」を演じながら、
それでも終局は避けられず・・・・・
たとえ「何もかも終わった」と思っても、
時は止まることなく、
新たな風と雲を運び来る・・・
客観的に見ればめちゃくちゃ暗いお話なんでしょうけど、終幕での主人公の仕草と台詞に"強い"未来を感じられて、神有屋は満足して本を閉じました。
・"三人揃って花火をしよう"は前作と逆に、大人ぶらざる得なかった少女の解放の物語です。
幼くして母を亡くし、今また弟が同じ病を得てしまったヒロインは、数年ぶりに母の実家に戻って来ました。幼い弟の優しい姉として、また母代わりとして、自分を抑えて人を尊重する考え方が染み付いています。
そんな、誰もが認める"良い子"のヒロインですが、実は心の中に、誰にも言えない恐ろしい記憶を抱えていました・・・
ヒロインの設定などは中学生向け、作者様も"活劇っぽい少年漫画を目指した"との事ですが、シャープな描線と緊迫感のある展開のため、ジャンル分けが難しくなっています。
物語のからくりは伝統的なものですが、アレの正体がバ○スとは気付きませなんだー!←違う(^^;
冗談はともかく、ほんと、こういう出会いがあるから同人誌はやめられません(^^
銅賞はこちらです。
残念ながら銅賞はありませんでした。
・・・・・・・と、以上が今回のベスト3でした。
ベスト3になってないですけど(^^;
神有屋から皆様にお願い。
この評価は神有屋のインスピレーションと作品のインパクトに依拠しています。要は神有屋の好みかどうかという、とっても身勝手な基準に基づくものです。作品本来の価値とは全く無関係である事を、ここに明記しておきます。
またインパクトに比重を置いている事により、初見の同人作家さんほど有利であり、いつも買っている作家さんは不利な判定になります。まぁ、こんな辺地で金だ銀だと言った所で、誰も気にしないですが(^^)
ともかく「ベスト3じゃないから良くない」とだけはお考えにならないで下さい。
創作者の一人として真剣で真面目にお願いします。
さて、次に今コミティアの注目作品に行きましょう。誌名の五十音順です。
・"イノセンス 〜凪の季節編〜"(オオツカマヒロ様)...心に傷を負い、南洋の楽園に逃れついた男の癒しの物語。原稿はほぼ完全にデジタル製作されており、表紙の美麗さは特筆ものです。
・"鬼と捨て猫の姫"(神無月十三様、突撃工房)...戦国時代日本風の世界で、"赤鬼"と仇名される凄腕剣士と、亡国の姫君が出会います。ページ数に押されてしまったか、心の結びつきに関しては説得力が弱いように思いましたが、口達者で真っ直ぐなお姫様と、非情に徹しきれない剣士の掛け合いが印象深かったです。
・"座布団係、下足番、妖精群"(無脊椎まだる様、phase gregaria)..."座布団係"第三巻は、ふかふか座布団な(笑)ショートストーリー。すでに4コマ物という範疇に入らなくなっていますが、一段ずつオチがきちんと付いており、メリハリもあって読みやすい作品です。
どんどんキャラが...というか人外が増えてます(^^
・"十年後の午後に"(Lazy8様,FuniFuniFesta!)..."ふにふに"で"ほのぼの"な絵柄の、Lazy8様の短編集。神有屋としては絵よりも、詩的で素敵で印象的な台詞とナレーションが心に残りました。
・"ダンくん"(世多様、サークルENKO)...前作"バコちゃん"の続きです。旧作のキャラが格好良くなって再登場! 嬉しいビックリでした(^^
ストーリーについては、"何を言うべきか"をキャラと作家様が一緒になって考えている("悩んでいる"ではなく)という印象を受けました。その結果として、物語の最後に主人公は、自分が壊してしまった友情を取り戻すため、前向きに動き始めます。
これがストーリーテリングとしての結末なのか、それ以上のものかは計りかねますが、少なくとも神有屋には、前向きなハッピーエンドで嬉しかったです。
蛇足ですけどあまり見ない事なので一言。表紙と裏表紙で紙を変えてありました。珍しいです。
・"悠怪事報"(毬木弓冬(まりき きゅうと)様、極糖十字軍)...ウルトラジャンプ誌に同系作品を掲載された毬木弓冬様のコミカルホラー。つねづね思うのですが、商業誌に発表されている方の作品は、やはり線が違います。人の眼を引き寄せるのです。
ストーリーは業の深い、ブラックな味わいになっています。
一口メモ
(作家名で五十音順)
・砂虫様(乱痴気事務所)...「悪夢のせいで落ちた」というか「落ちたのが悪夢」というか...(^^;
・とみたひさよし様(あとりえそもれ)...予告通り、HP掲載済みの4コマ集を出されてました。コピー誌ではなく"バブルジェット誌"、しかもリバーシブル。手間がかかってます(^^
新作も楽しみにしております。
・水 清十朗様(NICE LANDING)...残念ながら新刊がコミケ待ちになってしまわれた"撃林弾雨"シリーズ。イベントにはフルカラーのコピー誌を出品されていました。巫女万歳!(^o^
・ろーらす様(JYD)...輝也ひろ様の作品"SUNFLOWER"の二次創作コピー誌がとても面白かったです。
レポートはここまでです。
今回は入場が遅めだったため、会場を回り終わる頃には閉場時間が迫ってしまい、すでに撤収されたサークル様が目立ちました。眼鏡を忘れた上に急ぎ足だった事もあり、見逃した作品も少なくありません。
とても残念ですが、"並(な)べて同人誌は運と縁"、次回に期待するとしましょう。
足をひきずって巡回する警備さんの脇をすり抜け、退場。
少し冷たい風の中を駅まで向かいます。
薄くなった財布を取り出し、あらかじめ買っておいた切符(←イベントの基本)に手を伸ば.......
あれ。
切符落としちゃった。
↑オチ
おしまい