イラストの進呈は売名か媚か

 ギャラリーを見ればわかるが、神有屋は色々な方にイラストを進呈している。つい先日、知人から、それについてチクリとくる一言をもらった。題名に出ているように、「売名行為もほどほどにしておけ」という忠告だった。

 彼によれば、
「名の売れたサイトに絵を送って、トップに貼ってもらえばいい宣伝になるだだろうけど、やり方があざといんじゃないか」
という事だ。

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 自分では売名行為のつもりはなかったと思いたい(本当に名を売りたければコチラ様とかに送ってるって)が、他人がどう思うかは別問題。ここでは、神有屋がイラストを進呈する理由について、一応の説明をしておく。

 ネットを始めてからしばらくして、ある雑誌のエッセイを読んだ。それは野口悠紀雄氏のもので、ネット内での人間関係のあり方について述べていた。今では詳しい内容など覚えていないが、その中で一つだけ、心に刻み付けた言葉がある。

「インターネットの基本理念は奉仕(サービス)と感謝である」(うろおぼえだが)

・・・というものだった。
 ネット内の情報(データ)収集にかかる費用は、基本的に電気代と通信費だけだ。そしてそれは、維持管理者に払われるものであって、個々のサイト管理人に支払われるものではない。だからサイト管理人は、その活動理由はどうあれ、常に無償奉仕を強いられている(企業や団体の広報、広告サイトを除く)。あるサイトから情報を取り出す利用者は、事実上無料で情報を入手しているわけだ。
 そこで前述の野口氏は述べている。サイト管理人は無償で情報を提供し、利用者はその情報を得た事について管理人に感謝することで、両者のコミュニケーションが成り立つ、と。

 この意見は、あくまで意見であって義務でも法律でもない。ただ、ネット越しとはいえ相手も人間である以上、「自己主張と情報取捨」だけの関係より「サービスと感謝」の関係があると考えるほうが、神有屋として納得しやすかった。だから神有屋は、「サービスと感謝」の考え方に従って行動することにした。

 楽しませてもらったら感謝を表そう、と。

 感謝の手段は人それぞれだと思う。メールでも、掲示板へのカキコでも、常に感謝の念を抱いてコンテンツを拝見するのでもいい。神有屋の場合は、下手だが少しは絵が描けるから、時間が許せばイラストなどを描いて進呈している。そういうことだ。進呈した管理人さんの負担になるのは嫌だから、進呈は自分のサイト内で行い、それを拾ってもらえるかどうかは先方さんにお任せしている。

 これが、神有屋の方法。

 繰り返すが、「サービスと感謝」というのは考え方の一つにすぎず、義務でもなんでもない。ただ神有屋が好きだから、こういう方法を選んだのだ。

 それを売名行為と呼びたいなら、お好きどうぞ。

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 士郎正宗ではないが、「ネットは広大」だ。すでに億を超えるサイトが存在し、毎日千単位でさらに増え続けている。これだけ巨大なコミュニティー(共同体)を持ったのは、人類史上初めての事である。水が低きに流れるように、人も低きに流れるものだから、この巨大なコミュニティーが低俗化していくのは避けられない。
 しかし自分の属する共同体が低俗になるのと、自分自身が低劣に落ちるのとは別問題だ。神有屋は他人に倫理云々を強要できるような存在ではないが、少なくとも最低限の義理は守りたい。感謝の念を忘れないのは、本当に最低限の礼儀だと思う。

 だから、あざといと言われようと媚と言われようと、神有屋はこれからも自分なりの方法でやっていく。

 以上

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