校長のためのコンピュータ入門(その2)

インターネットは使えるか

2001年までにすべての学校がインターネットに接続!

 前回、文部省の平成11年度までに中学校42台、小学校22台のコンピュータ設置するという新整備計画を紹介し、学校へのインターネット接続について郵政省の審議会の報告を紹介したが、その後調べてみたら「閣議決定」があった。
 平成9年5月16日の閣議決定、「経済構造の変革と創造のための行動計画」(平成13年(2001年)頃までを念頭にした計画)では、教育分野の情報化として、「学校におけるインターネットの有効活用等に関する実践的な研究
の成果を踏まえつつ、学校におけるネットワークの計画的整備を進め、近い将来全国の学校がインターネットに接続されることを目指す」ことが組み入れられている。 すでに、中教審1次答申、「教育改革プログラム」などでは、全国のすべての学校をインターネットで接続する計画が提唱されているが、閣議決定として時期が明示されたのはこれが始めてのようだ。
 いずれにしても、学校のコンピュータをインターネットつなげようとする計画が今、国の段階では、熱心に推進されようとしていることには間違いない。インターネットとはどんなものか、実際に学校経営・教育に使えるものなのかどうか検討してみたい。

インターネットには簡単につなげる

 通常、個人(法人も同じ)のパソコンをインターネットに繋ぐには、電話回線(できればISDNというNTTのデジタル回線)で「プロバイダー」に接続する。「プロバイダー」とういうのは特定の回線で24時間世界中のコンピュータとつながっている商用ネットワークで、これにつなぐことでホームページをみたり、ホームページを作ったり、「電子メール」のやりとりをしたりすることができる。政府各省庁や大学、研究機関、なかには自治体でも「プロバイダー」と同じ機能の「公共」のネットワークコンピュータを持っているところもある。
 生徒の使う20台、もしくは40台のコンピュータの端末一台一台からインターネットにつなぐにはかなりきちんとした設備が必要だが、とりあえず学校のコンピュータ1台をインターネットにつなぐことは簡単にできる。特に性能の良いパソコンは必要はない。パソコンを含む設備費で50万円程度。電話料金、商用のプロバイダーに払う費用など年間の維持費は、使い方にもよるが、ホームページを開設したり、かなり利用度が高くても70万円程度でできる。区市町村など自治体、または教育センターなどにプロバイダーを設ければ学校単位としては大幅に経費は節減できると思われる。
 個人では二の足を踏む金額だが、必ずしも自治体単位で新たな予算の計上は必要なく、学校配当予算の中で、他の経費を節約したり、工夫をすればすぐにでも接続できる経費の範囲だと思う。
 ところが、閣議決定で学校のコンピュータのインターネットへの接続が決定され、費用についてもべらぼうにかかるわけでもないのに、自治体によって積極的に推進するところとそうでないところの差があまりにも大きすぎる。

インターネットで何ができるか

 校長として学校経営の上で理解しておかなくてはならない問題の核心は、学校にインターネットをつないで何ができるかということだろう。
 まずインターネットにつなげば情報の収集ができることだ。
 この連載の私の拙文で引用されているほとんどの文書はインターネット上からいただいている。
 行政改革委員会「規制緩和の推進に関する意見」(その2)は首相官邸のホームページ。文部省からは「教育改革プログラム」、児童生徒の問題行動等に関する調査研究協力者会議・報告「いじめの問題に関する総合的な取組について」、公立学校の教育用コンピュータ新整備計画。郵政省から「通信・放送の融合と展開を考える懇談会」の中間まとめ。この文の冒頭の閣議決定、「経済構造の変革と創造のための行動計画」は首相官邸のホームページといった具合だ。
 これらの資料を、普通は新聞報道や政府刊行物、教育関係の雑誌などに掲載され、紙に印刷された印刷物として我々は目にすることができる。しかし、新聞や雑誌をまめに目を通していても、その「原典」を探すのはわざわざ大きな書店に行かなくてはならない。また、新聞の切り抜きや、資料をきちんと整理しておけばいいのだがそれでも、後でその文書を探すのは結構やっかいだ。
 通学区域の規制緩和について述べるときには少し苦労した。行政改革委員会の報告の一部は新聞や、教育関係雑誌に掲載されていたが、全文についてはどんなものか知らなかった。首相官邸のホームページから探したときは、正直言ってうれしかった。このように居ながらにして、ファイルや資料を引っぱり出す必要もなく、自分のコンピュータから必要な情報が瞬時に収集できるわけだ。
 余談だが、文部省を始め政府の各省庁のホームページは実にありがたい。私のようなものが言うのもおこがましいが、我が国の政府が日々インターネット上で意欲的に国民に開かれていく姿に誇りさえ感ずる。