ちゅうこくとゆびわ
忠告と指輪
朔と望−月下奇談(陽の巻)/因縁ロゴ
 望の翌。月齢第十六日の穏やかな夜。
 寧奈(ねいな)と雪平(ゆきひら)を前にして、榊(さかき)は自室で深々と溜息を吐いた。
「今度と言う今度は、さぞや懲りたであろう。のぅ、雪平?」
 言われた当人は全く顔色も変えず、いつも通りの無表情で答える。
「はて。如何なる事か、お婆」
 寧奈は黙って二人を交互に見比べていた。先程から延々とこんな調子だ。
「何度聞けばわかるのじゃ。女遊びも大概にせいと申しておる」
「これは異な事を。お婆にしては下世話ではないか。何ゆえ、そのような邪推をなされるのやら」
「邪推ではない。この度の一件は、多分にそなたの日頃の行いが招いた結果ではないか。彩夜祢(あやね)の件然り、何処ぞの女子(おなご)の件然り。女子なんぞの罠にそなたが嵌るとは随分不覚な事よのぅ。それもこれも、普段から女子の恨みを買うような行いをしておるから些細な綻びが重大事に発展するのじゃ。痛いほど身に染みたであろうが。若いからと言っていつまでも目を離しては置かんぞ。少しは慎むが良い」
「お婆。人付き合いは大切にせねばならんぞ。孤高は己の為にはならん」
「痴れ者。言うに事欠いて何とした。人と女子は別物じゃ」
「なるほど。女は人にあらずと仰せ賜うか。では、お婆もか」
「屁理屈を捏ねるな。婆を引き合いに出すでない」
 そこで寧奈が吹き出した。二人の会話の、余りのテンポの良さに。
「笑い事ではない!」
 同時に窘められた。雪平と榊は妙なところで実に息が合う。慌てて首を竦めると小さくなった。
 正直な話、寧奈はかなりゲンナリとしていたのだ。何しろ榊の部屋へ呼ばれてからと言うもの、事後処理の簡単な報告があった後、果てしなくこの話題が続いていたからだ。しかも堂々巡りをしている。
 昨夜、と言うよりは今朝。二人はやはりこの部屋で榊に全てを詳らかに話した。寧奈は彩夜祢のことを。雪平は彩夜祢と、付き合っているらしい彼女の話を。身近な女たちが魔に深く関わったがために、望ましくない結末を迎えてしまったのは変えようのない事実。榊は黙って聞いていた。寧奈の気持ちが昂ぶって、涙が止まらず話せなくなるまでは。
 魔封じの事後処理は寧奈と雪平以外の者が行った。その間、二人は一つ部屋の中、寧奈の気持ちが治まるまで雪平が側で慰めていた。相変わらず無表情で口数の少ない彼。でも、側にいるだけで不思議なくらい心が満たされた。朝から晩まで共にいながら交わした会話はほんの僅かだが、確実に、彩夜祢を失った寧奈の心は癒されたのだ。
 雪平は言った。人は必ず心に魔を持っているのだと。それは本人の全部ではなく、たった一面に過ぎないのだと。何かの弾みに魔の部分を覗いたがために人生を踏み外す場合だってある。それを「魔が差す」と言うのだと、寧奈を見つめて寂しげに呟いた。
 彩夜祢も例外ではない。彼女が告げた言葉は単なる一面でしかない。それ以外の大部分を信じてあげるべきだ。それが唯一、残された者にできることだ。何よりも、寧奈に接してきた彩夜祢の姿を忘れてはならないと、雪平は強い眼差しで繰り返した。
 彼自身も後悔していた。彩夜祢に求められた時、応えるべきだったのではないかと。幼い頃から身近にいて、それが当たり前だったから、少しも彼女の心に気づかなかった。彩夜祢の心に魔が差したのは己がきっかけだったのだ。だから寧奈が自分を責める必要はないと、本音を語って俯く姿は、今までに見たこともない雪平だった。
 寧奈は思う。
 彩夜祢は決して誰も憎んでいたのではない。むしろ愛していたからこそ、自分の中に生まれた魔を嫌悪し、罪悪を感じて封じ込めようとしたのではないか。彼女はそういう人だった。謙虚で慈しみ深い、寧奈の知っている彩夜祢。無理に封じようとしたために感情が鬱屈して逆に育ってしまったのかも知れない。本人も気がつかないうちに。それを利用したのは闇の者だ。
 雪平が生きているのを知った時、彩夜祢は奇妙な笑いを浮かべていた。あれは彼女の一部の失望と、大部分の安堵から来る微笑みだったのではないか。信じたい。彩夜祢は愛する人を傷つけることのできる人間ではないと、たとえ願望でも信じたいのだ。同じ想いを抱いている女として。
 報われない想いに泣くのは寧奈も同じ。掟は絶対だ。変えられはしない。けれど、自分は生まれに恵まれたお蔭で雪平の側にいられるのだ。彩夜祢より不遇なところなど何一つない。彼女に比べれば寧奈はずっと幸せだと言えるだろう。不幸を感じる資格はないのだと思う。
 夜になり、ここに呼ばれ、真っ先に事後処理の報告を受けた。彩夜祢の亡骸はすぐに運ばれ修行堂に安置されている。穢れを落とし、神の浄化を受けるために。その後で手厚く葬られるのだ。話の途中から彩夜祢の笑顔がまざまざと浮かんできて、胸が熱くて仕方がなかった。あの儚げで暖かい笑顔。
(彩夜祢……私も同じ、見ているだけ。だから、これからも二人で一緒に、雪平を見守って行きましょうね……)
 心で語りかけながら雪平の横顔を見た。彼の瞳に哀しげな色が浮かんだのは、あながち見間違いではなかっただろう――
 と、知らず知らず意識が飛んでしまった。どのくらいの間が空いていたのかは定かではないが、ずっと沈黙が続いていたようだ。
 いつもながらの巫女装束に海老茶の打掛で、仏頂面に腕組みをする榊。濃茶の着流しの袖に腕を入れ、目を閉じて正座をしている雪平。紅葉模様の小袖に帯の簡易な和服姿で、為す術もなく二人を見比べている寧奈。手持ち無沙汰の余り左手の指輪を弄ぶ。
 理沙(りさ)と買った銀の指輪。何だかんだで、結局あれ以来こっそり嵌めていた。もちろん雪平に渡してなどいない。常に袱紗(ふくさ)に包んで持ち歩いてはいたが。雅で小さな布に包み、今も帯の胸元に挟んでいる。
 まだ終わらないのかと、そっと溜息を吐く。自分が説教をされているのではないが、何故だか居たたまれないのだ。叱られた子供のように俯いて上目で正面を見たとたん、不意に大きく咳払いをして再び榊が話し出した。
「のぅ。そろそろ腹を括ってはどうじゃ? 雪平」
 思いの外、穏やかな声音に、彼は怪訝に眉を顰める。だが、すぐに答えを返した。
「腹を括る? 俺に、嫁を貰えと?」
 怖れていた事態がやって来た、と寧奈は思った。雪平だっていつまでも独り身ではいられない。特に一族は押し並べて早婚だから、大学生だからと結婚を避けるわけにも行かないだろう。彼の末弟は十八だが既に妻帯者だ。寧奈も腹を括る時が来たのかも知れない。
「随分、早急な結論じゃな。誰も嫁取りの話などしておらぬ。それとも、そなたには嫁にしたい女子でもおるのか?」
 考え込む雪平の横顔を、思わず寧奈は見つめた。全く往生際が悪い自分をひしひしと感じながら。
「おると言えばおる。おらぬと言えばおらぬ」
 彼は真顔で飄々とした答を返す。榊は余裕の笑みで突っ込みを入れた。
「ほほぅ。相手の心がわからぬか、己の心がわからぬか。どちらにせよ、その者で良いぞ。雪平」
 それまで無表情だった顔が明らかに変化した。一瞬だが、ぽかんとした驚きとも呆れともつかない表情を浮かべ、彼は言葉に詰まった。すぐに元の無表情に戻りはしたが。
「お婆。その者で良い、とは?」
 気を取り直した雪平が尋ねる。
「うむ。そなたの心に他の女子とは別格の娘がおるのであれば、潔くその者に決めれば良いと言う事じゃ。その者を大切に思うのなら、そなたの悪い病気もやがては治るであろうぞ」
 心なしか彼が僅かに狼狽えている風に見えるが。返す言葉にも何処かキレがない。
「少々無責任ではあるまいか、お婆。そのように単純な問題ではないと思うが」
 早口の呟きが、失望に近い、安堵にも似た、諦めも入り混じった妙な気持ちを掻き立てた。寧奈が前々から予想していた通り、彼には多分想う人がいるのだ。それは今朝の話に登場した大学の後輩とやらだろうか。
「物事を複雑にするのは己の心持ちじゃ。答えは二つに一つしかなかろう。例えば相手が道ならぬ立場の者であろうと、互いの想いが真実なのであれば何を恐れる事がある? 思い切って、単純な考え方をしてみても罰は当たらぬと思うがのぅ」
 榊は雪平の想い人に心当たりでもあるのか。まるで彼が許されない相手と恋仲にでもあるような口振りだが。
「言うておくが、歳を食っておるからと言って婆を頭の固い連中と同じに括るでないぞ。こう見えても古臭い考えは好まぬ。そなたたちのような無限の可能性を持つ若者が、黴の生えた因習や常識に捕らわれる必要などない。一族の誰が反対しようとも婆だけはそなたたちの味方を止めはせぬ」
 いつの間にか説教の矛先は寧奈にも向けられていた。しかも、余りにも彼女の心境に相応する内容を含んでいる。榊の当て推量なのかも知れないが、雪平も障害のある想いを抱いているのだろうか。それは不倫だとかの世間的な障害なのか、分が違うとかの因習的な障害なのか。まかり間違っても、思慮深い彼が寧奈のように禁忌に触れているとは思えないが、万が一、彼の想い人が梓川(あずさがわ)の家系に関わる者だとしたら、実に複雑な気分だ。彼の相手が明るみに出た時、平静を保っていられるか不安になる。
「お婆。先走りすぎるのではあるまいか。何を根拠にそのような……」
「さて、のぅ。そなたの胸に訊くが良い」
 雪平の言葉が間髪を入れずに遮られた。
 寧奈は顔を上げ、榊を見る、雪平を見る。信じられない。通常、その掴みどころのなさから会話で微妙に優位に立つ彼が、今は明らかに言い負かされていた。おまけに彼はまたもや言葉を失ってしまったのだ。もしかして、榊は何もかもお見通しなのか。寧奈の気持ちも含めて。だとしたら、雪平の想い人とは、いったい……
「お婆の意図するところが何かは存じ上げぬが、この場で早急な返答は致しかねる。事は人生に関わる問題だ。俺だけならともかく、迷惑を被る者もおるやも知れん」
 遂に雪平は観念した。これ以上の堂々巡りに嫌気が差していたのも事実だが、榊が何を示唆しているのか彼には良くわかっていたからだ。
 十中八九、寧奈の話に間違いない。儀式を取り仕切っていた榊は、当然、寧奈の気持ちに気づいていた。直後はさすがに否定的だったが、彼女の心情を改めて思い計ったのだろう。術師としては大物でも性格は小物な愛弟子を見るに見かねたのか、普段は鬼と称されるほど厳しい師匠が何とも甘い態度に出たものだ。おそらく、少女の憧れを卒業して真実愛する将来の伴侶を彼女が見つけるまで、雪平を側に置いておこうという魂胆だろう。それまで彼女が心の拠り所を失わないためにも。
「無理に返答を要求しておる訳ではない。そなたが自粛し、本分を弁えるのであれば何も言わぬぞ。心に留め置くが良い」
 仏頂面で榊が終止符を打つ。心中でほくそ笑んでいたことは、二人の知るところではなかった。
「心得まして」
 雪平の一言で、長々と続いた売り言葉に買い言葉が終了した。
 
 
 本屋敷に続く渡り廊下は少しばかり長い。先に行くのは雪平。一歩遅れて寧奈。庭の燈篭と十六夜の月明かりが二人を照らしていた。
 俯いて、寧奈は物思いに耽る。気にしてはならないと思いつつ気になって仕方がなかった。
 雪平の思い人――もしや本当に梓川の者なのか。呼び止めて聞き出したい衝動を必死に抑えながらも、渇望が強すぎて無意識に口から洩れてしまっていた。
「雪平……もしかして……」
 すぐに気がつき思い留まる。立ち止まり、顔を上げると、彼も立ち止まって物問いたげに視線を据えていた。寧奈は狼狽える。何とかはぐらかそうと当り障りのない言葉を口にした。
「あ、あの……雪平が無事で良かった、と……」
 彼は答えもせずに寧奈をしげしげと見つめている。重苦しい沈黙。刺さる視線が怖くて慌てて俯いた。
 雪平は寧奈を見つめ続ける。彼の心にほんの僅か、心境の変化が表れた。自分を案じる寧奈に、妹としてではない何か別の感情を抱いたのだ。それが一時的な思いなのか、不変なのかは、今の彼には言えない。ただ、明らかに榊の言葉がきっかけになっていることだけは確かだった。
 考えてみれば、屈折しているとはいえ寧奈とは一線を越えた仲ではないか。無理に妹だと位置付けようとして、心が発展してはならないとひたすら避けてきた。今更それが何になる。彼女が将来誰と結婚しようが儀式は続けられるのだ。半月に一度、二人が契りを交わす事実に変わりはない。それならば、今感じた気持ちを抑える必要など何処にある。
 俄かに蒙昧とした感情を明確にしてみたくなる。湧き上がる気持ちを真摯に追求してみたくなったのだ。彼女の心を弄ぶつもりは毛頭ない。望まれれば従うし、拒まれれば身を引く覚悟は幾らでもある。元々一族の因習など彼には塵ほどの価値もなかった。結局は、榊の言葉に左右されてしまうのだなと、密かに苦笑する。
 雪平が一歩近づいた。寧奈の顎に手が添えられた。顔が上がるのと唇が重なるのは同時だった。彼女は反射的に目を閉じ、身を硬くする。
 それは一瞬だったが、心臓が爆発するのではないかと思えるほど彼女には衝撃的な瞬間だった。だってそうだろう。寧奈は儀式も含めて今まで、女として雪平に触れられたことは一度もなかったのだ。
 唇が離れるや否や、寧奈はよろめき、二・三歩後退りした。顔が燃えるように熱く、汗が噴き出しているような気がする。
 拭おうと、覚束ない手で胸元を探った。帯の間のハンカチを取り出す際、うっかり袱紗も一緒に引っ張ってしまった。
「あっ!」
 布より先に落下する金属の重み。廊下に跳ね転がると、雪平の足に当たって止まった。それを拾い上げ、彼が見つめている。信じられない光景。絶体絶命の危機に晒された思いで寧奈はハンカチを握り締め、両手を口元に持っていった。力を入れていないと泣き出しそうだったので。
 彼女の指を見て雪平は微笑する。左手の薬指に嵌る指輪は、彼が今、手にしている物と同じだ。全く少女趣味だと思いながら、寧奈の年齢から言ってもそれが当たり前なのかと考え直す。付き合ってやるのも悪くはない。と、徐に指輪を薬指に通した。少し眉を顰め、改めて小指に嵌める。指輪のサイズは彼の小指で精一杯だった。
 その動作は寧奈を仰天させるのに充分すぎるほどだ。余りに雪平らしからぬ態度。冗談なのか、悪乗りなのか。どう解釈していいのやら戸惑っているところに、追い討ちをかける彼の言葉。
「おまえ、俺の指のサイズも知らんのか。小指でぴったりだぞ」
 決定打が相当効いたらしい。寧奈は鳩が豆鉄砲を食らった顔で固まってしまった。本当は、
「俺はおまえの指のサイズくらい知っている」
 と言ってしまいそうになったが、彼女の心を縛ることになると思い、敢えて言わずにおいた。今、寧奈が抱いている感情は恋か憧れか定かではない。それに将来、彼女が別の男と歩む人生があるのなら、今は無責任なセリフは避けた方が良い。
「今夜は俺と共にいろ」
 雪平が言った。現実が理解の範疇を超えている、と寧奈は思わずにはいられない。いったい今夜の彼はどうしてしまったのだろうか。
「望の儀式をすっぽかした代わりだ」
 思考が混乱して答えられない。ハンカチを握る寧奈の手が震えていた。
「聞こえているのか? 俺と朝まで過ごせと言ったんだぞ」
 漸く寧奈が呪縛から解かれた。相変わらず震える手でハンカチを握り、恐る恐る問う。
「あ、あの……それは、どういう……?」
 上手く言葉を紡げなかった。
「何も不信がる事はない。このところ、毎晩共に過ごしてきたではないか」
 ああ。何だ、そういう意味か。また誇大妄想をするところだった。改めて自分を戒め、はたと寧奈は気づく。では、さっきのキスは何のつもりだったのだろう。
「朝まで語り尽くすのも悪くはないぞ。俺と寝るか?」
 自分で嵌めた左手の指輪を眺めて雪平が言う。
「あ……ええ……側で休めと言う事なら私は構いませんよ、雪平」
 何とか平静を保って言い切った。彼は目線を寧奈に寄せ、意味深に口の端を上げる。
「俺はさっき、望の儀式の代わりだと言ったぞ。それに、俺は戦士である前に男だからな。おまえのような可愛い女が側で寝ていたら、どうなるか保証はできん」
 一気に思考が焼き切れた。予期しない雪平の態度が続きすぎて、もはや寧奈には対抗する術などなかった。酸欠状態で空いた口が塞がらず、立っているのもやっとなくらいだ。
 呆然と立ち尽くす彼女に容赦ない質問が浴びせられる。
「今夜はどちらの部屋で寝る? 俺はどちらでも良い。おまえが決めろ」
 声にならず、口をぱくぱくとさせた。焦れったく、彼が少々強い口調になる。
「俺と寝るのは嫌か? 来るのか来ないのかはっきりしろ。どっちだ?」
「わっ……私の部屋は困りますっ!」
 雪平が、してやったりと笑った。
「来るんだな? では、このまま俺の部屋へ来い」
 そうして差し出された彼の手に、寧奈は暫し視線を据える。大きな手。大きくて、暖かい……
 決して男と女として触れてはいけないと思っていた。戦士と術師、兄と妹。それ以外は有り得ない、あってはいけないと思っていたのに。今だって、本当はまだ男と女にまでは到達していないのかも知れないが。それでも、雪平が望むことを寧奈が拒めるわけがなかった。
 差し出された手に、そっと手を重ねる。大きな掌が華奢な手を包み込んだ。
 
 
 朔と望。月は祝福する。最強の封魔術師と守護戦士を――
−Fin−
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