27-2権利  虚偽表示
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【問 2】Aは、その所有する甲土地を譲渡する意思がないのに、Bと通謀して、Aを売主、Bを買主とする甲土地の仮装の売買契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、この問において「善意」又は「悪意」とは、虚偽表示の事実についての善意又は悪意とする。

1 善意のCがBから甲土地を買い受けた場合、Cがいまだ登記を備えていなくても、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない。

2 善意のCが、Bとの間で、Bが甲土地上に建てた乙建物の賃貸借契約(貸主B、借主C)を締結した場合、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない。

3 Bの債権者である善意のCが、甲土地を差し押さえた場合、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない。

4. 甲土地がBから悪意のCへ、Cから善意のDへと譲渡された場合、AはAB間の売買契約の無効をDに主張することができない。

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解答解説 正解 2
 虚偽表示無効は、虚偽表示によって作り出された虚偽の法律関係に利害関係をもった、善意の第三者には対抗できないが、虚偽の法律関係に利害関係をもったとは言えない第三者には、対抗できる。肢2のCは、虚偽の法律関係に利害関係をもった第三者となるのか微妙なところであるが、判例はこれを否定した。

解答解説
1○ 通謀虚偽表示による契約の無効は、虚偽表示に利害関係を持った善意の第三者に主張することができない
(民法94条2項)。
この第三者は善意であればよく、登記を得ている必要はない。つまり、Cが善意である以上、たとえ未登記であったとしても、Aは、Cに対して売買契約の無効を主張することができない。虚偽表示をした者は、世間を欺く大変悪い行為をした
ものだから、第三者が善意である限り、登記がなくても保護するのである。
 なお、第三者は善意であれば、登記がなくても保護されるということは、平成20年・12年・5年にも出題されている。
2× 土地の仮装譲受人(B)がその土地上に建物を建築してこれを他人(C)に賃貸した場合、Cは、仮装譲渡された土地については法律上の利害関係を有するものとは認められないから、民法94条2項所定の第三者にはあたらない(最判昭57年6月8日)。よって、虚偽表示者Aは、AB間の売買契約の無効をCに主張することができる。
  類似の問題は、https://www.youtube.com/watch?v=g74a9CnH8yk裏技解答術・11分頃、で紹介した、平成24年問1である。
3 ○虚偽表示の目的物を差し押さえた債権者は、利害関係を有する「第三者」に該当する(大判昭12.02.09)。
したがって、Aは、Cに対して売買契約の無効を主張することができない。
4 ○虚偽表示無効を対抗できない第三者には、目的物の転売を受けたCからさらに転売を受けたDも含む。利害関係を持った第三者であることには変わらないからである。そして、第三者Dは、AB間の通謀虚偽表示について善意である。したがって、Aは、Dに対して所有権を主張することができない。
 間に入った直接の第三者Cが悪意である場合でも、結論は異ならない。
類似問題
24-1