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<近畿自然歩道・日本海沿岸ルート >

 前 編 ・・・鳥取・鳥取駅から福井・高浜駅
期 間:平成16年3月9日から3月22日

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        ・・・・・ 天 橋 立 の 御 来 光 ・・・・
 
 
1 はじめに
 雪解けを待ちきれず「もう大丈夫だろう・・」と近畿自然歩道のトレースに出かける。本コースは本州で最後に整備された長距離自然歩道で、延長総距離は約3,300km。2府7県にまたがる複数のコースがあるので選択に迷う。
 奈良・和歌山県内の吉野・熊野古道も魅力があるが、昨年の中国自然歩道の続きで代表的な「日本海沿岸ルート」を島根・兵庫・京都そして福井県内を歩くことにする。
 今回は、鳥取市から京都府まで約300kmを歩き、次回に京都内陸部の「丹後大阪ルート」を東海自然歩道の起点・箕面公園から北上して近畿自然歩道の終点・敦賀市を目指したい。
 残雪に悩まされないことを祈りながら、浜松町から夜行高速バスで鳥取駅へ向った。
 
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  2 行動の記録   概略総距離275Km ― 総行動76時間30分(実績値)
 第1日目 3月10日(天気快晴):大岩駅から浜坂町
                      (距離19Km)行動5時間30分。
 夜明け前、バスの窓越しに眼をこらして山肌を見ると、期待に反して残雪がかなり残っているが「山間部だから多いのだろう・・」と平野では消えていることを期待する。しかし、下車した鳥取駅の周辺も舗装道こそ雪はないが、日陰には白いものがあるし、遠景の山肌には大分雪残っている。
 幸い今日のトレイルは海沿いの公道だから心配ないが、後半の山道のコースが案じられる。遠回りでも山中で途方に暮れるよいマシだから雪があれば迂回しよう。
 昨年通過した山陰線・大岩駅で下車してそのまま歩き始める。強風注意報が出ていて、強い南風に煽られながら北上する。やがて海岸沿いの国道178号に出る。
 JR山陰本線と国道178号線は日本海の主要な交通網で今回のトレイルで頻繁に出会うことになる。
年度末のせいか道路工事が多く、交通整理の係員が「寒いのに大変ネ」と労ってくれた。
 国道を2時間半ほど歩いて兵庫県との県境・浦富海岸に着く。予定の半分ほど過ぎたが平坦路は歩き易く海岸の風景を眺めてルンルン気分。
 宿泊予定地の浜坂温泉は、岸田川河口に位置するこの周辺の中心地で「日本の白砂青松100選」とか。
 今夜は雨の予報だからテントは屋根下にしたい。幸い案内所で町営の自炊温泉施設を紹介してもらい「町営レクセンター・松の湯」に投宿する。入浴料金含み1,690円と中途半端な金額だが泉温76度の温泉に満足。


 第2日目 3月11日(天気時々雨):浜坂町から香住町
                        (距離28Km)行動8時間30分。
 初日は思わぬ温泉泊で寝坊してしまい1時間遅れで出発。明るくなった浜坂の町中の通り国道を1時間ほど進むと予報通り雨になる「今夜も屋根付きのテント地を捜そう」と思案して歩いているうちに雨が止みホッとする。
 3時間ほどで三尾集落に着く。ここから先は、人家のない7kmのモデルコースで天然記念物・但馬御火浦になる。崖下100mほどの海面には白波が複雑な岩礁を洗っている。しかし舗装路のトレイルは、途中までしか除雪されておらず残雪歩きを強いられる。雪面には獣の足跡があるだけで人が歩いた痕跡はなく心細くなるが4m幅の公道でガイドレールが道案内をしてくれる。
 途中数ヶ所「不審船やゴムボート、又は不審者を見たら通報のこと」との警告板に拉致事件を連想する。

 但馬御火浦の終端・御埼灯台まで進むと灯台へ来た人の足跡がありホッと一息、今日は腐った雪に足を取られて疲れがドット出た。 
西浜集落で国道に出て雪道から開放され2時間進んで今夜の宿泊地・香住町に着く。今夜は雨の心配はないので野外にテントを張ろうと空き地を探すと、町外れの岬の台地に岡見公園があり見晴らしも良いので「ここにしょう」とテントを張る。
 しばらくして、地元の青年が来て「オジサン泊まるの?」「ここは夜オバケが出るので、地元の人はあまり来ない所ヨ」と注意してくれた。難破船の魂が集まるのかも知れない。「1kmほど進めばテントを張れる公園ある」と紹介してもらい早々に場所変えをする。そう云われてみれば隣に神社があり良い雰囲気ではない、妖精ならまだしも妖怪は御免だ。


 第3日目 3月12日(天気曇り):香住町・今子から竹野町
                     (距離22Km)行動5時間。 
 天気予報では、当分雨はないので「心配の種」が消えて気分が楽だ。案じていた根雪も海岸沿いの公道にはないし、変化に富んだ山陰海岸の風景を眺めて進む。左方の海ばかり見て歩くので首が痛くなってくる。
 今夜のテント地は「北前船の日本海側の寄港地」だった竹野町のキャンプ場にする。シーズンオフで弁天浜キャンプ場は閉鎖していたが水道が使えるので、テントを張らしてもらう。
 夏の竹野浜海水場は賑わうようで、北前船航路の文化遺産をベースに観光化した町並みが印象的だ。市場を覗くと「松葉ガニ」のシーズンで1匹1万円もする見事なカニが店頭に鎮座している。蒸し場からは蒸気と共にカニの甘い香りが食欲をそそる。
 モデルコースは兵庫県最北端の猫崎半島岬まで2km弱だが途中「お風呂優先」と温泉宿・北前館まで来て¥400円也の温泉に入浴する。


 第4日目 3月13日(天気快晴):竹野町から兜山
                      (距離30Km)行動8時間。 
 いつも夜明け前の1時間ほどは車の音もなく静かだ。舗装道を除けば海岸沿いの景観は昔と変わらないだろう。遠方の半島が薄明かりに浮かび、波の音が幻想の世界へと誘う。
 出発して1時間ほどで田久日と云う小さな入江の集落に着く。案内板に「平家の落人の里」とある。更に5時間歩いて京都府との県境・三原峠を越える。
 京都府に入ると新しい道標が完備されている。京都府発行のガイドブック¥2000円を出して購入した甲斐があった。雪中歩きで違和感があった左足首も昨夜の温泉で痛みが消えて今日は随分歩いた。
テント予定地の兜山キャンプ場で利用料金を聞いたら「1泊・¥3000円」との返事。オートキャンプを主体しにした施設だからこの値段になるのだろう。いずれにしても泊まる気はしない。炊事用水を貰い身体を洗って退散して5分ほど離れた雑木林内にテントを張る。
           

 第5日目 3月14日(天気晴):兜山から網野町
                    (距離20Km)行動6時間20分。 
 「古都京都」の影響は山陰地方にもおよび、随所に歴史の足跡がある。完備された道標板があちこちにそれらを案内している。中国・朝鮮との交易跡や文化遺産が残されて自然歩道はそうした見所にしたがって未舗装路の古道のコースに設定さている。
 悲劇の英雄・源義経の愛妻「静御前」を祀る静神社や東経135度の日本の最北子午線にシンボル塔が立っている。天気が安定しているので案内を辿ってテント予定地の網野町に到着。
 町の入口の淺茂川温泉にはヘルスセンター「静の里」があり早速入浴。泉温44度の弱アルカリ性温泉で入浴料¥500円はありがたい。遥かに広がる日本海を望みながら柔らかな湯に心身の疲れが癒される。
 湯から出て八丁浜沿いに20分ほど進み小さな広場があったのでテントを設営する。夏シーズンであれば管理が煩いようだが今は無人で閑散としている。

 第6日目 3月15日(天気晴):網野町から上山寺
                     (距離27Km)行動7時間10分。 
 昨日と同様にハイキングロードのトレイルになるが琴引浜コースは「工事中」で通れず公道を進む。
出発して3時間歩くと間人(たいざ)と云う難しい地名の町を通る。ガイドによると、聖徳太子の母・間人皇后がこの地に滞在したことに由来するとか。浜辺の公園に母子像がある。
 海沿いのトレイルは丹後半島の頭部・久憎集落からいよいよ半島の内陸部へ南下する。山間部に残雪が案じられるが山道以外の公道は通れるだろうから、明日のトレイルは迂回しよう。海岸から3km入った上山寺集落で水を補給して朽ちた山荘のベランダ下にテント設営。

   
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