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<中国自然歩道・西から東へ >  

 後 編 ・・・鳥取・米子から鳥取・若杉峠

期 間:平成15年11月9日から11月23日

関 連 資 料・・・・  <概念図&タイム&写真へ>   <会計&資料へ> 
     
   ・・・ 晩 秋 の 鳥 取 砂 丘 ・・・
 
 
1 はじめに
 JR米子駅から鳥取駅までの路線距離は93Km。鳥取駅から因美線で南下して粟倉温泉駅までを合計しても133kmだが、この間の自然歩道のトレイル距離は約2、2倍の300kmになっている。
 その理由は、ガイドブックによれば「22ケ所のモデル的な探勝コースを結ぶトレイル」のためコースがS字やU字状にループしているせいだ。
 現代社会の常識からすれば「最短距離を!より早く!」となるのだが「効率や生産性を忘れ」出来るだけトレイルを忠実に辿り、この国の歴史と自然の息吹きに触れてみよう。
 前回と同じく道中には温泉郷も多いようだから、晩秋の因幡路を楽しみにして品川のバスタ−ミナルから夜行・高速バスで米子駅へ向かった。

                        ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
  2 行動の記録   概略総距離 287Km ― 総行動85時間30分(実績値)
  第1日目 11月10日(天気 曇り):JR米子駅から赤松集落
                         (距離18Km)行動4時間30分。 
 早朝JR米子駅でパッキングをして日野川沿いのトレイルに入るべく東進する。幸い降雨はないがドンヨリとした天気だ。
 予報では午後からは雨らしいから「テント地に着くまで降らないように・・・」と気がせく。
 晴れておれば、日野川の堤防沿いからは伯耆大山が正面に聳えているのだがガスで裾野の一部しか見えない。
 堤防路を上流へ4kmほど進んで八幡橋を渡り北上すると稲刈りが終わった向冬の田園風景が広がる。
 「昨夜は寝不足だったから早めにテント地を見つけよう」と思案しつつ歩き、尾高集落から大山へ向けて少しずつ高度を上げて東進し赤松集落に着く。集落にバスの停留所があり便数も少なく利用者も少なようなのでテント地にする。
 予報通り午後から雨になり停留所の屋根で大助かりだが「アレー テントだ!」と下校の小学生達の見世物になり閉口した。


 第2日目 11月11日(天気 雨):赤松集落から大休峠
                      (距離18Km)行動6時間。
 好天であれば「トレイルから外れて伯耆大山に登ろう」と予定していたのに終日雨のようで諦める。停留所からバスに乗れば15分程度で登山口の大山口に行けるのだが、トレイルは迂回して赤松池経由で距離も2倍ほど長いので2時間は歩くだろう<・・雨だしバス路を行う>の誘惑を押さえて赤松池へのトレイルに従う。
 富士山の吉田口から登り出すような長く単純な直線路を2時間半歩いて大山口のバス停に着く。古来信仰の山として崇められてきた伯耆大山は、山麓に大山寺と大神山神社の門前街を形成しており歴史を伺わせる。

 標高1000mの風雨は冷たい。大規模なスキー場を横切り川床と云う所から山道になり大休峠への登りが始まる。雨中でズブ濡れになって西日本で最大級のブナ林帯を2時間歩き大休峠・避難小屋に到着。
 清潔に整頓された小屋はゴザや毛布も用意され外の雨とは別世界だ。昼過ぎに2名の登山者が小休止しただけで小屋は貸切になった。
 

 第3日目 11月12日(天気 雨後曇り):大休峠から大山池
                          (距離19Km)行動5時間40分。
 峠から大山参詣の古道を偲ばせる山道を下ると東方の大山登山の拠点・一向ケ平キャンプ場に到着。昨日の川床からここまで9kmのモデルコースは理想的なトレイルだった。
 キャンプ場に隣接した牧場では、放牧牛と馬数頭が場違いなトレッカーを珍しがり道路の柵沿いにゾロゾロと追いかけて来た。
 昨日までの雨も上がり山裾のたなびくモヤを眺めながら一路東進して今日のテント予定地・大山池に向かう。予報では「夕方から所によっては雨」とか、長旅だからテントを濡らしたくないので大山池の展望台の屋根下を期待する。
 大山池まで30分位手前から降り出し雨具を装着。期待した通り展望台は大きな屋根付でホッと一安心。池には水はなく単なる窪み地でしかないがトレイル沿いにこのような施設があると助かる。


 第4日目 11月13日(天気 曇り後雨):大山池から西倉吉町
                    (距離21Km)行動5時間30分。
 舗装路は夜明け前でも白線を頼りにライトなしで歩けるので助かる。今日は関金温泉を通るので楽しみだ。この温泉は弘法大師が見つけたとの伝説があり作州街道の宿場町・湯治場として古くから栄えたそうだ。トレイルは温泉手前の滝川集落から滝川山観音堂へ片道2kmの往復路になるので集落に荷物を置いて空身で往復した。
 待望の関金温泉・共同浴場で朝湯を浴びる。テント設営地に湯治場があれば「云うことなし」だが途中でも疲れを取れるので、40分休憩して単純放射能泉で源泉46度の熱々の温泉に満足。

 湯上りのフヤケタ身体で荷物を担ぐのは少々酷な気もするが「2時間しか歩いていないし、雨でもないのでテントを張るのは甘い!」と云い聞かせて10km先の倉吉へ向けて出発。
 1時間程歩くと降雨で「テント地の屋根付を探そう・・・」と周囲の風景もそこそこに歩く。幸い倉吉市街の手前に小さな公園があり休憩所が見つかり一段落。
 しかし、近くの中学生達の溜まり場になっていて「こんな所にテントだ!」と珍しがられて、下校時から夜中まで賑やかだった。


 第5日目 11月14日(天気 快晴):西倉吉町から西尾
                   (距離25Km)行動7時間40分。
 新聞配達のバイクがライトを灯して市内を廻っているだけの商店街を通り抜けて、天神川の大原橋を渡る。今日は世界有数のラジウムを含む・三朝温泉を通るので楽しみだ。
 栗尾集落の先から山道に入るのだか標示が間違っていて1時間のロスにガックリ。分岐点から荒れたトレイルに踏み込むのに勇気がいるが、迂回路もないのでヤブコギを観念して進む。
 2kmほどの沢沿いの山道は踏跡が所々あるが頼りなり。やっと舗装林道に出て安心する。出た所にもヤブを指示した標示板があるが歩いた様子はない。
 トレイルは羽衣石山へ大回りしているがこの様子ではヤブコギの可能性もあるので、パスして十万寺集落から三朝温泉に下る。

 三朝温泉の共同浴場・株湯でヤブコギの疲れを癒して再び荷を担ぐ。U状のモデルコースを三朝温泉から三朝高原を登りゴルフ場を通過する。温泉から直進すれば3kmだが高原経由で7kmの迂回だ。
 今夜は雨の心配もないので三朝高原を下った農道脇にテントを設営。農作業のオバサンが「こんな所で・・寂しくないの」と呆れたような顔をして帰って行った。


 第6日目 11月15日(天気 曇り後雨):西尾から古仏谷
                           (距離29Km)行動9時間。
 満天の星空が冷え込みの厳しさを暗示させる。この付近は三朝東郷湖・県立自然公園で、奈良時代から修験者の行場として開かれた三仏寺には、急斜面に建てられた文殊堂、地蔵堂、国宝の投入堂があるも時間が早すぎて閉鎖され立ち寄ることは出来なかった。
 河内集落から安蔵峠経由で鷲が翼を広げたように見える鷲峰山へのシングルトレイルに入る。この付近ではポピュラーな山で踏み跡も良く降雨でも安心してトレイルを進めた。
 山頂に展望台があったが、吹きさらしでテント地としては不適なので諦めて下山開始。下山口の古仏谷集落に運動広場があり管理棟の屋根下が適地だ。
 ほどなく管理人が来たので「お願いします」と許可を得る。管理人から1、5km先の鹿野町に温泉ランドがある旨教えてもらい夕方買い物も兼ねて湯治に行った。
       

 第7日目 11月16日(天気 曇り):古仏谷から鳥取砂丘
                       (距離21Km)行動7時間50分。
 朝方まで雨音がしていたがテントの撤収を始めたら雨は止んだ。2時間ほど歩いて江戸時代には藩主の浴場もあった吉岡温泉郷に着いたので早速大休憩をして入浴。
 共同浴場は朝から営業していて料金も200円で助かる。常連客ばかりだろう番台のオザサンとも皆顔なじみのようだ。
 今日で4度目だから入浴の要領も得て、入浴後は汗が出ない程度にユックリ歩くと荷物も担ぎ易いので温泉様々だ。

 交通量の多い21号線を車に気をつけながら周囲16kmもある広い湖山池沿いを進むと鳥取市街はもう直ぐである。市街地の千代大橋で千代川を渡り河口へ向けてサイクリングロードを歩く。
 日本海に出て、鳥取砂丘のこどもの国・遊園地に隣設したキャンプ場に着く。今夜は久しぶりに正規のテント場に設営出来る。管理事務所でキャンプの申し込みをすると「使用料は無料」で鳥取県の太っ腹に感謝する。
 テント設営後、ループバスで帰路の夜行バスの乗車券を購入すべく鳥取駅へ行った。
 
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