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< 中国自然歩道・西から東へ  >

 前 編 ・・・山口・下関から島根・浜田
期 間:平成15年6月30日から7月13日

 ・・・・・・続 き・・・・・・ 

 第7日目 7月7日(天気 雨後曇):萩YHから長門峡・滝橋
                         (距離30Km)行動8時間20分。 
 昨夜から大雨が降り続き、30分ほど出発をしぶるが止みそうにない。
 宿の予備傘を借りて1時間ほど歩き東光寺付近でようやく小降りになる。町並みを過ぎて松本峠への登りは、シングルトレイルになり道は夏草で被われ「この道か?」と不安になってくる。
 こんなに荒れたトレイルは初めてで峠を越えて少し道らしくなり、しばらく進んで舗装道に出てヤレヤレである。
 今日は民家が少ないトレイルで道を尋ねる訳にもいかず、地図と磁石だけが頼りになる。生野、高坂、長坂、そして田代集落と現在地を確認して田代川沿いに東方へ進む。
 やがて阿武川ダムに出てダムを跨ぐ赤い大橋で対岸へ渡る。この辺でテントを設営したが、屋根らしきものがないので先へ進み、1時間よけいに歩いてやっと長門峡・滝橋で無人のお寺の深い軒下の廊下にテントを張る。水は寺裏の湧き水を使用した。


 第8日目 7月8日(天気 雨後曇):滝橋から吉部野バス停
                    (距離26Km)行動7時間30分。
 出発して30分ほど歩くと湯の瀬温泉に着く。ここから峠越えの県道があるがトレイルはUターン状に南下して龍宮、生雲渓を経て天子下集落に出るので、3kmほど遠回りだがトレイルに従って進む。
 龍宮から2kmの渓谷路になると昨夜からの大雨で増水して台風の後の様にゴオーゴオーとトレイルの直ぐ下を濁流が流れている。

 生雲渓の近くでトレイルは濁流に喰われ水没して手摺だけが見える。水没距離は3mほどだが渓谷内で高巻も出来ないので手摺を頼りに渡渉するが以外に深くバンドまで水没した。
 ゴルジュを廻り込むと再びトレイルが水没しており今度は手摺さえ見えない。「モタモタしていると引き返せなくなる!」と前進を諦めて再度腰までの渡渉をして渓谷から逃げ帰り龍宮に着いてホッと一息。
 「最初から県道の近道を選べば良かった」と悔やみながら引き返す。

 ザックの中の濡れ具合を案じつつ生雲川沿いの県道を4時間歩く。テントが張れそうなバス停の待合所で、下草刈りをしていたオジさんに「テントを一晩張りたいのですが・・」と申し込むと心良く承知してくれた。バス停と云っても1日3便の町営福祉バスが止まるだけで、利用者は皆無に近いみたい。シュラフは二重にナイロン袋で被っていたので濡れずに済んだがテントはビショビショになっていた。


 第9日目 7月9日(天気 晴):吉部野バス停から島根県・青野山駅
                      (距離34Km)行動8時間30分。
 今日は1週間振りの好天気で星空を仰いでテントを撤収。
 出発して県道を1時間半進み嘉年下集落から林道に入り十種ケ峰への県境へ東進する。トレイルは山頂へは行かずに途中のスキー場末端部から県境の峠を経て下降。
 島根県最初の集落の徳次に出て多賀川に沿って下り石井付近から並行する山口線の1両電車が時々通る。のどかな田園風景だが各集落では廃家と休耕田が気になる。
 やがて萩から最初の町らしい町の津和野に着く。津和野は山陰の小京都とも云われ亀井藩の城下町として今も昔のも影を残し、萩市同様に観光に力をいれており名所も多いそうだ。鷲原公園には温泉併設の道の駅があるけど時間が早いせいか人の気配はしない。

 トレイルは町東の南谷渓谷からハイキングコースを進み、青野山の南面を廻り青野山駅に着く。構内でテント地を探したが適地がないので先へ進む。
 しかし、線路を渡り池倉沼への道を間違え沢沿いの林道をつめてしまい青野山集落まで引き返す。
 トレイルは山腹を巻きながら峠越えになるが取り付きが判らず近くの農作業具小屋にテントを張る。  明日のトレイルを確認して貴重な晴れの一日を終わる。


 第10日目 7月10日(天気 曇後晴):青野山駅から七村集落
                    (距離26Km)行動7時間40分。 
 出発は足元が暗いので出来るだけ山道を避けて舗装道を歩く所にテントを張ったが、今日はそうも行かず最初から山道になる。取り付きは夏草で道が塞がれていたが、樹林帯に入ると確かな道になり昨日間違えて沢を下に見て無事地倉峠に着く。
 峠から島と云う所まで山道を下り舗装道に出た。左鎧(さぶみ)集落から東進して横道川沿いの林道を6km進むと大元神社に着き小休止。
 ここは匹見峡コースの標示板があり村おこしのキャンプ場になっている。燕岳登山口まで5,5kmの標示に従い1時間ほど進むと営林所の車が止まり「何処まで行くの?」と心配してくれ「この先の山道は荒れているヨ」「少し遠回りだが尾根上の新林道が良い」と教えてくれ林道の入り口まで車で送ってくれた。入り口から5km先でトレイルに合流して30分ほど進んで数軒が廃家になった七村集落の集会所にテント設営。


 第11日目 7月11日(天気 曇後雨):七村集落から本郷・道の駅
                          (距離35Km)行動8時間。 
 今日は臼木谷断層と呼ばれる断層線に沿った匹見峡を辿り約20km北上して出合原集落で国道に191線に出る。
 この先の3つ目のトンネル・銅ケ峠トンネルの手前で旧道の堀越峠のトレイルを辿る。峠から1km下ると道が30mほど崩壊して不通になっている。幸い崩壊上部の樹林帯を高巻が出来そうなのでヤブコギをして無事クリヤーする。
 5km先で国道に合流するまで、荒れた道を崩壊を気にしながら下るがそれ以降は不通の所がなくヤレヤレである。
 今日を含め3日の予定だったが、天気の情報や残り距離から判断して明日の進み具合かで1日早く終了する可能性もある。
 美都温泉の隣に道の駅があるので今夜のテント地にして夕方温泉に入る。しばらく振りの温泉で疲れが取れ湯上りのビールは格別である。


 第12日目 7月12日(天気 曇後雨):道の駅からJR浜田駅・夜行バスで帰京
                              (距離41Km)行動12時間。 
 昨日の温泉休養ですっかり元気になったし荷物も軽くなった。また大した登りもなくガンガン距離を稼ぐ。2つのモデル・ハイキングコースを通過して冶和町で山陰本線に出るともう終着の浜田駅まで4時間程度だ。
 今日はかなり歩いたので良いキャンプ地があればもう1泊するつもりで歩を進めるが、長雨で三階山下のキャンプ場もイマイチ。
 長時間の行動で疲れが溜まっているがムリして駅へ向かう。最終日はいつも短時間の行動だが今回は珍しいパターンだこれも雨のせいか。駅に着き夜行バスの発車まで4時間ほどあるので駅案内所で近くの温泉を紹介してもらった。

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3 あとがき(教訓と所感)
 1)昨年と違い雨が多い梅雨時であった。そのため屋根付きをテント地の条件にしたので行動が制約された。やはり梅雨時期は外した方が賢明だった。

 2)両県とも自然歩道の標示板は管理され歩き易かった。しかし、ほとんど舗装道歩きで「自然歩道」から乖離している。これは時代の趨勢でしかたがないかも知れなが、舗装は車の道で未舗装道が人の道と思う。

 3)九州自然歩道と比べて山が浅く「里山歩きと文化財めぐり」が主流のように思えた。お盆前で田植えが済んで土手の下刈も終わりサッパリした田園風景だったが、虫食い状態の休耕田と廃家は立派な舗装道路と比べこの国の歪を感じた。


  1)行動について
 1−1)トレイル全長300km位までは、従来のアタック方式で良い。それ以上は別形式の方法を模索したい。1週間1バッチとして、途中の萩YHにデポを確保することで荷物の軽量化をはかり1日の行動時間は7時間程度・20kmを目安にした。

 1−2)後半は荷物が軽くなって来たので長時間行動出来た。行動のフクターに荷物の重さが大きいので重要な要因になる。

 1−3)雨天時は行動時間を短くして足のダメージを軽減した。濡れてふやけた足指は痛み易いので毎日靴下を水洗いし、行動終了後は足を洗い靴下は自家発電で乾かした。又心配な足指にはテープを巻いて初日から養生した。

 1−4)テント地について洗濯等で荷物から離れる時は食料類の管理に注意する(今回は犬に袋ごと奪われた)。

 1−5)台風並の増水で長門峡のトレイル水没により渡渉を強いられたが、ハイキングコースと言えども条件によっては厳しいことを痛感。進退の判断はこれまでの体験を生かし状況を的確に把握したい。トレイル間違時の処置や炊事のガソリン取り扱いも油断大敵。


 2)食料・装備について
 2−1)予定より2日早く帰宅してので、下記食料と装備品が残った。
ラーメン6ケ、砂糖200g、餅4ケ、カンパン1袋、飴1袋、醤油50cc、ガソリン200cc、ローソク1本(4日分)、米50g。

 2−2)主食は米160g(夕食と朝半食分)+フリカケ。昼食はラーメン1ケ+餅1ケ。通常3時頃昼食と夕食を一度に作りガソリンとメタを効果的に使用した。食べる時間だけずらした。
 2−3)試食品として、干ダイコンは半日水に浸した後で醤油味で食べた。大豆を半日水に浸して米飯に入れて炊いた。

 2−4)所轄環境課や観光課発行のガイド資料は紙質が雨天気には弱く、濡れると破れて判読出来なくなるので国土地理院の地図が必要。

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