1998年 <北米>ジョンミュア・トレール : ビショップ・峠からマンモス・レイクス
3 反省と所感
 3−1 行動・計画について
 3−2 食料について
 3−3 装備について

 
3−1 行動と計画について
  1. 異常気象で6月に曇天が多く雪が消えず、その ため8月でも例年にない残雪となった。 入山時白タクの運転手にその情報を得たがどの程度多いか行ってみないと解らない。 加えて今回のルートは全ルートの中でも難所の部分であったようだ。 そのことが少ない入山者の情報で解った。 あらかじめ解っていたら入山前に地図を十分検討し概念を頭にいれそのつもりで入山して現場であせることのなかった。 ルート探しに神経を使いその分ムダなエネルギーを消耗した。

  2. 2種類の地図を持参した。尺度が同じなのでど ちらでも良いと思っていたが、良くみると沢の渡渉 位置が違い正解の方の地図を最初から使用すべきであった。 普通は渡渉が問題になる程水量がないの でどちらでも良いようだ。 又テント地も近年クマの被害が増えて、水と平地のテント場は何処にでもあったが食料を保管する為の高い木の枝が近くにあることが第1条件で、その適地マークが入った地図が有効であった。

  3. 夜明けは5時半のため、その時間を出発時間に して朝の涼しい内に距離と高度を稼ぎ効果が上がった。 他のパーテイはほとんど8時か9時頃に出発し夕方5時頃テント地に着いているようだが、同じ時間行動するのであれば、早発早着きがゆとりも出来良いと思う。 その日の疲れはその日に除くこと

  4. 5日間行動後1日休養日を設けたが、疲れが溜 まり過ぎたようだ。 次回は3日行動後に1日休養日を入れたい。 今回両足にマメが出来た原因のひとつに連続5日行動があったと思える。 他の原因は、渡渉時又増水により道に水があふれて靴下が濡れたため。

  5. 登りに比べ下りは速度が早くなり距離が長く なると足指に負担がかかる。対策として靴底の厚いもの、良い靴下がショックを和らげトラブルを避けるようだ。 今回で靴底が剥がれ長期使用は出来ない ようなので、次回用として新品を手配する時<下りに強い靴>を条件にしたい。ちなみに最終回は距 離は長いがほとんどゆるい下りである。

  6. 現地入手のガソリンは点火時に添加物の不完 全燃焼でテント内の使用時には眼がしみた。 又早朝ホエーブスがガス欠になったので、テント内でタンクの内圧を抜きそれを忘れローソクに点火し、テント内に残っていたガスに引火し前室の網フードとベンチレータを焼いてしまった。 一歩誤ればテントを焼損する危ないところだった。 基本に忠実に<ホエーブスの内圧抜きはテント外の安全を確認後実施する>ことである。

  7. 今回は前記の通り残雪が多く、そのため沢の渡 渉で普段は飛び石を濡れることなく渡れるのに膝まであったり、通常膝までの所は股までの深さになっていて苦労した。 特に比較的浅く上面が丸い石についステップしたくなるがこれは滑り易い。 多少深くても平らな石が安全である。 また安定のために杖の棒を使い3点支持で渡渉した方が良い(初めの頃は杖なしで渉いたが非常に不安定であった。 ストックを持っているパッカーがいたが正解のようだ)。 正規の渡渉場所でもとの年により違う場所が有るので渉る前に上下の状況を確認して、他に渉る所がないか調査してみる。 案内所で入手したパンフレットには<安全な渡渉方法>の説明図があるところをみると、あまり特殊な行動でもないようた。

  8. 一度道を間違えたが、原因は分岐点の<道標> にあり、主流の表示はなく枝コースの案内表示のためついそちらは行ってしまった。 また別の分岐点では案内板が取れており、間違って主流へ入ってきたパッカーに会った。  地図上の分岐点は沢山ないので注意して確認後進むこと。地形が大きいので、間違ってしまったら気づきにくい。

  9. クマ対策は近年大きな問題となっている 。食 料をねらつてクマも大変賢くなり、正規の保管方法(10頁)にしないと取られるようだ。 現にヨセミテから来たパーテイは、「途中で食料を取られ元に戻り買い出しのため2日ムダにした」とのこと。  プラスチック製タル状の食料箱が販売または、リースされ案内所でも推薦しているがているが2Kg程の重さがハンデイである。(下山後店で現物を見たが¥1万円程度である)

  10. 今回のルートに2ケ所レインジャーの小 屋があったがいずれも不在で情報の入手はできなかった。 人数は少ないが、行き交うパーテイの情報が一番確かだ。 相手も盛んに聴いて来るので渡渉の場所、テント地等は参考になった。

  11. 足のマメ処置方: 沢の水で冷やすと同時に よく洗い、水泡を消毒した針で刺して抜く、消毒クリーム塗りテープで被う。原因となる擦れ、濡れを避けて、マメ部が出来るだけ昇温しないようにする。  靴下はスペアが必要で翌日は交換したものを使用する。

  12. 行動表の補助用として<期日毎の 距離・ 高度差表>を作った(別紙表 )。 地図と比べながら今後の行動検討に成果があった。

  13. ノートにひかえたロスアンゼルスの宿の 電話番号が間違えていたため、予約確認に手間がかかった(電話案内に問い合わせ番号を聞いた)。 番号、住所等は重さはないので、名刺かパンフ等印刷したものを持参したい。

  14. 今回予定通りのトレースが出来たので最 終地のヨセミテまでテント5泊程度で終了する見込みがついた。 トレールの概念として下降が主で大きな峠もないので、距離の割には日数が少なくて良 いと思える。 今回ヨセミテから来たパーテイの情報を基に計画をしたい。

3−2 食料について
  • 行動食のクラッカー、ソーメンに余分が出た以外、全体的に過不足なく計画通り実行できた。

  • 山で余った玉子パン、アメは下山後宿で間食とした。

  • 一度に沢山作り食べるより、少量を回数多く料理した方が面倒だが多くまたおいしく食べられる。

  • 梅干が食欲を増進させるので、味噌、醤油等同一パックに入れ毎食前に少し食べた。
  • 干魚のメザシは、塩が多過き処分した。 試食をして持参すべきだった。

  • 甘ナットオをお汁粉風にして砂糖と塩で味をつけ昼到着後、何度か食べた。 即席水分と糖分・蛋白質を補給する良い食料であった

3−3 装備について
  • ザックの自重が重いので、下山後軽合金製の背 負荷を入手したので1Kgは軽量化出来る。 パッキングも従来と変え装備重量を10Kg以下にしたい。(燃料1.5Kgを含む)

  • チューブ式メタは以外と内容量が少なく、1本 で5日間程度の量しかなかった。 3日目頃からそれに気が付き昼間は、ガソリンを点火受け皿に入れて予熱した。固形タイプのメタは火力があり量も多く 持参出来るので、次回は固形タイプにしたい。

  • ホエーブスの火力を強めるのにポンプでタン ク内圧を上げるが、そのポンプには、専用の給油口栓が必要だが、忘れてしまってポンプだけ持参して用がたせなかった。 これまで使用していたコンロと 同等品だが、メーカが違い取り扱い方法も少し違う。
  • これまでにない<蚊>に悩まされた。 途中で 蚊除けクリームを貰ったので、後半は助かった。 これは、リップクリーム同様必需品である。

  • 移動用の長ズボンは綿製のため重い、化繊の薄 ものにしたい。 また山行中のトレパンは、ニッカーズボンに比べ軽く濡れてもすぐ乾き正解だった。

  • テルモスは、熱いお茶を行動時に飲めるメリッ トがあるが重いのが難点。 朝夕の食事時にお茶を十分補給して、行動中は水で我慢することを検討したい。 沢水は豊富にあるので常時水を持つ必要はないし<冷たい水のうがいでノドの冷やす>ことで乾きは押さえられた。 水分の不足でなくノドの温度を下げることで<水の飲み過ぎによるバテ防止>にもなる。