Q:なぜツリー・オブ・ライフは枝分かれするのですか?

 A:進化が枝分かれするからです。ツリー・オブ・ライフは進化の歴史書です。進化が枝分かれするからツリー・オブ・ライフも枝分かれするのです。

 

 なるほど。ではそもそもなぜ進化は枝分かれするのでしょうか?。進化は自然淘汰で起こります。淘汰なしに進化がおきることもありますが、そういった実例はそれほどよく知られていません。ですからここでは自然淘汰による進化を考えてみましょう。

 さて、自然淘汰っていうのは場所によって違います。例えばここにある恐竜インコグニトサウルスがいるとしましょう。ちなみにインコグニトサウルスとはもちろん架空の恐竜ですよ。この恐竜には足の長いものや短いものがいます。当たり前ですね。人間にも足が短い、長いという違いがあります。それと同じ。

 さて、インコグニトサウルスの足の長いものはすばやく走り回って獲物を捕まえるのが得意です。反対に短いものはあまり速くは走れませんが、狭いところやゴミゴミした場所をくぐりぬけたりするのが得意です。

 さて、このインコグニトサウルスが草原と森にそれぞれ住んでいたとします。草原では足の速いものが有利で数を増やしていきます。反対に森のなかでは足が短くて自由に走り回るものが有利になります。有利な特徴をもったものは他の仲間よりもちょっぴり生き残りやすくなります。生き残って子供を残すのもちょっぴり多くなるでしょう。するとこういうことになるでしょう。

    ↓草原では足の長いものが有利で数を増やす

_ご先祖様_____インコグニトサウルスの足の長いものが多いグループ

  |

  |_______インコグニトサウルスの足の短いものが多いグループ

    ↑森の中では足の短いものが有利で数を増やす

こういう状態がさらに長く続くと、違いがもっと大きくなってこうなります。

_ご先祖様_____足の長いインコグニト________インコグニトサウルス・グラシリス 

  |

  |_______足の短いインコグニト________インコグニトサウルス・フェロックス

 つまり最初はインコグニトサウルスのちょっと違ったグループでしかなかったのに、違いがおおきくなっていき。やがて同じインコグニトサウルスでも、こっちはグラシリス、こっちはフェロックスと区別されるものになっていくわけです。

 さらにそうして生まれたグラシリスとフェロックスからそれぞれ違う生き物が進化することを考えてみましょう。すんでいる場所は広いのです。水辺にすんだり、海岸にすんだりする集団もいるでしょう。それにそもそも移動して山をこえて別の場所にいったり、あるいはどうかすると別の島や大陸にいってしまうグループもいるはずです。

 そしてそれぞれ違う自然淘汰が働けば、また同じことが始まります。

 例えばグラシリスからそれぞれ2つの別々の生き物が進化したとします。最初はあまり違いはありませんから、それぞれ

 インコグニトサウルス・ロンギヌス

 インコグニトサウルス・ゲルマニクス

とあらわしてみます。インコグニトサウルスは長いですから英語のI(アイ)に省略しちゃいましょう。すると、

 I・ロンギヌス

 I・ゲルマニクス

になります。同じようにフェロックスからは

 I・ギガス

 I・スプレンデス

が進化するとしましょう。するとこういう感じになります。

___ご先祖様__I・グラシリス_______I・ロンギヌス

     |         |_______I・ゲルマニクス

     |

     | __I・フェロックス______I・ギガス

               |_______I・スプレンデス

 ここからさらにさらに進化が続くとどうなるでしょう?。違いはどんどん大きくなります。しまいには同じインコグニトサウルスにはとうてい思えないものも出てくるでしょう。するとこんな感じになります。

______________________________インコグニトサウルス・ロンギヌス・ロンギヌス

     |        |       |_______インコグニトサウルス・パシフィカ

     |        |_______________インコグニトサウルス・ミラ

     |                |_______ゲルマノサウルス・テトラスピス

     |                    |___ゲルマノサウルス・カペラ

     | _______________________メガケファロテス・アシンメトリカ

              |       |_______メガケファロテス・ギガンティス

              |_______________ノンナトス・ミステリアス

                      |_______ノンナトス・キスミ

このように進化は枝分かれし、生命の樹を作り上げます。

 以上のインゴグニトサウルスうんぬんの話は例え話でしかありませんが、逆にいうと違う場所や違う環境にほとんど同じだけどちょっぴり違う生き物がいたら、それは進化が枝分かれしているところであるといえます。

 じつはティラノサウルスとタルボサウルスもこうした例です。彼らはほとんど同じ動物なのですが、住んでいる場所が違います。形もちょっと違います。ティラノサウルスは巨大で骨太、がっしりしています。彼らは森に住んでいました。時代によってはサバンナのような環境にもいたかもしれません。

 タルボサウルスはスリムできゃしゃです。なかにはティラノサウルスくらい大きなものもいますが、たいていはもっと小さい生き物です。体つきだけでなくてほんのわずかですが骨にも違いがあります。タルボが住んでいたのは乾いた半分砂漠のような場所でした。

 恐竜に限らず、私達の身の回りの自然でも、似ているのだけれども、少しづつ特徴が違う生き物の集団があります。これもまた同じ祖先から枝分かれする途中の生き物たちであると考えることができます。

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 余談:

 架空の学名ノンナトス・キスミ。このキスミという名前に分類に詳しい人は、あーあれか・・って思うかもしれません。いや、もういちいちやってられなかったもんで・・・・^^;)。