Q:進化とは何ですか?
A:進化とは生物の集団の特徴が世代を重ねるごとに変化してしまうことを言います。恐竜もそうした進化によって生まれてきました。
進化という考え方は、今から150年あまり前の生物学者チャールズ・ダーウィンによって提案されました。彼は150年も前の人物ですが、すぐれた才能と観察力、発想、運に異常なまでにめぐまれた人でした。彼は現在の進化学の基礎をほとんどひとりで打ち立てました。そして彼は恐竜についても少し重要なことをしています。
ダーウィンは鳥が他の動物とあまりにも違っていることから、鳥とほかの動物とを結び付ける、いってみれば中間的な動物がいたはずだと考えました。彼はそうした動物が絶滅してしまったために鳥が奇妙で孤立した動物に見えるのだろうと考えたのです。
彼の予想はあたっています。彼の考えた鳥と他の動物とを結び付ける生き物達、それがいわゆる恐竜なのです。
恐竜は進化の過程でうまれたものですし、進化への理解なくして恐竜を理解することはできません(注:現在、ネットや一般向けの本にある恐竜の間違った知識はそのほとんどが進化を理解していないために出て来たものです)。
もしみなさんが恐竜研究をしたいのならば進化を理解することをおすすめします。また、進化の具体的な仕組みについては以下の説明を読んで下さい。
進化とは次ぎのような仕組みで起こります。
1:生物は同じ親から産まれた子どもであってもそれぞれ特徴や性質が違う。
2:生物のすべての子どもは大人になるまで生き残れない。その多くは死んでしまう。
3:だから何かしら生き残る上で有利な特徴を持った子どもの方がより生き残りやすい。
4:すると、生き残ることにすぐれた特徴を持つ子どもがより多くの子孫を残すことになる。
5:こうしたことが何世代も続くと生物の姿は変わってしまう。
以上のダーウィンの考え方は、まず事実や観察に基づいています。彼が指摘した1番目の事柄は私達自身を見れば分かることです。2番目の事柄を確かめることも簡単です。ドングリの樹の下にいって下さい。毎年たくさんのドングリが落ちているはずです。しかしいったい幾つの芽がはえていますか?。
誕生した生物のすべてが親になれないのは明らかです。このように1と2は単純な事実です。
さて、1と2の事実から予想されること、それが3番と4番です。これは確かめることができるのでしょうか?。
答えをいうと3と4番目の事柄もすでに確かめられています。例えば暗い場所では、明るい無地の殻をもったカタツムリは、模様のある殻をもった仲間よりも鳥に見つかって食べられてしまいます。旱魃によって草が枯れたら、残った植物の堅い実を割ることに有利な太めのくちばしを持った小鳥が増えた例もあります。
ようするに3、4番目の予想も事実なわけですね。そして5は結論です。つまり生物は進化する。
このように。ダーウィンのいった進化という考えは自然界の生物の観察などに基づいていて、説得力のある確からしい仮説です。また、現在では実験などでも[進化]が確認されています。進化というのはまぎれもない事実です。
ここで注意を!!。
進化とは、生物が一直線に[より完成されたものにステップアップする]、そう考えている人がたくさんいます。
しかし、これはまったくの誤解です。ダーウィンはそんなことを主張してはいませんし、実際にそうではありません。
ダーウィンは[生き残るために有利な特徴]とは生物の住んでいる地域や環境で異なることを示しました。例えばさっきのカタツムリの例でも、同じ無地の殻であるのに暗い環境では不利ですが、明るい環境では有利になることが分かっています。つまり同じ特徴が有利になったり、あるいは不利になったりするわけです。
ですから頭がよければ有利だとか賢ければすぐれているとか、そういう単純な考え方はしないように注意しましょう。
手ごろな参考書として
現代進化学入門 岩波書店 pp96~99
現代によみがえるダーウィン 文一総合出版 pp128~130
進化のメカニズム 河出書房新社 pp94~96(<古いので手に入れにくいかもしれません・・・)