UY Scuti
たて座UY星 既知宇宙で最大の星
光度8・29〜10・56 周期688日
2019年11月9日 19:20のたて座UY星
2019年10月29日に出現したV659 Sctを観察するついでに、かの有名なたて座UY星を観察したもの。画面右の小さな円の連なりはファインダーで覗いたたて座α星、δ星周辺の様子。α星から上(方位で言うと南南東)にあるおそらく6等級の星がUY星への目印になります。
画面中央に広がる円の連なりは75倍の視野を示します。視野の左上にある一番明るい星がファインダーで見えていた目印となる6等級の星。そこから視野二つ分ほど右下(方位で言うと東)へいったところにある暗くて赤い星がUY星となります。
画面左の大きな円は150倍の視野を示し、中央の暗くて赤い星がUY星。11月になるとたて座はすでに夕暮れ、東の地平線に沈みかかっています。さらに満月近い月がうお座からおひつじ座にかけてあって、空は明るく、観測はもうぎりぎり。たて座UY星はその名の通り変光星。AAVSOの変光星チャートを見ると、UY星の右上にある星(ラ)が9.7等。2019年11月9日、19:20の時点でUY星はこの星よりやや暗く、おそらく10等でした。また、これより暗い星がほとんど見えないので、11等級の星を見るのが精一杯の明るい空だったとも言えます。
たて座UY星 その大きさ
たて座UY星は既知宇宙最大の星と言われます。推定される距離は2900パーセク(およそ9500光年)。その大きさは太陽の1700倍。目で見える最大級の星はオリオン座のベテルギウスですが、このベテルギウスの直径は太陽のおよそ1000倍。つまりたて座UY星はベテルギウスの1・7倍に達する巨大な星となります。たてUY星の半径を天文単位に換算するとおよそ8天文単位。これは木星軌道の5・2天文単位より大きく、土星軌道の9・6天文単位よりやや小さい。たて座UY星は土星軌道に迫る大きさを持つ超巨大な星であることがわかるでしょう。
太陽の1700倍。これは次のように考えることができます。地球が9センチの球体だとします。すると太陽は10メートルの球体になる。そして、たて座UY星は太陽の1700倍ですから、その直径は17キロ。9センチと10メートルに対して、圧倒的に巨大な17キロメートル。たて座UY星が怪物巨星であることが実感できるでしょう。
一方、星の大きさや距離の推定には不確実な要素が幾つもあります。これはよく研究されているベテルギウスでさえそうですし、たて座UY星も同様です。実際、最近の観測ではたて座UY星までの距離はもっと短いことが示唆されています。すると大きさの推定値も変わるでしょう。現状では、たて座UY星は人類が星の大きさを推論できる範囲内では最大級の大きさを持つ星であること、太陽の1000倍以上の大きさを持つだろうこと、ベテルギウスよりも大きいらしいこと。これを覚えておけば良いでしょう。
たて座UY星は変光星で、8・29〜10・56等まで光度が変化します。ネット上の情報では変光周期740日とありますが、AAVSOでは周期688日とあります。