Scutum

たて座

Scutum Sobiescianum

ソビエスキーのたて座

2019年11月6日 19:15のたて座

 2019年10月29日に出現した、たて座の新星V659 Sct のコンテンツを作成。そこにリンクを張るため、たて座のコンテンツも作成。しかし適当な画像がない。そこで急遽、わし座λ星からたて座の星々を描いたもの。11月になるとたて座はもう夕暮れの空、地平線低くなっています。写真では撮影できないし、肉眼でももう見えない。だから望遠鏡のファインダーで覗いた様子でたて座を描いています。連なった円は望遠鏡ファインダーの視野。本来は上下左右が反転して見えていますが、星座の紹介なので方位は本来の見た目に直しました。上の明るい星はわし座のλ星。この星はわし座の南端にある星で3.4等。たて座のどの星よりも明るいものです。市街地の明るい夜空では、わし座のλ星から辿るとたて座を観察しやすいでしょう。

 たて座で比較的目立つのは四つの星で、それが南北上下に長い菱形を作ります。上がβ星。真ん中左右にあるのがδ(デルタ)星とα星。そして南端にあるのがγ星。また、頂点のβ星の左下に変光星R Scutiが見えています。R星は2019年11月8日の時点で η Scutiとほぼ同じかやや暗い光度でした。ですからR星の光度は4.8等か5等。ほぼ極大時の明るさです。

 

たて座 

Scutum スクタム 

所有格 Scuti スクティ 略称 Sct

たて座:夏の星座で、わし座といて座の間、銀河に埋もれた星座です。たてとは盾のことで、17世紀のポーランド王ヤン・ソビエスキー(ヤン・ソビェスキ:Johon Sobieski)が持っていた盾に由来します。ソビエスキー王は1683年、オーストリア、神聖ローマ、ポーランドの連合軍を率いて、侵入してきたオスマントルコ軍をウィーン近郊で打ち破りました(第二次ウィーン包囲とこれの撃破)。

 この戦勝を記念して1690年、天文学者ヘベリウスが作ったのがたて座です。ちなみにへべリウスはポーランド人でダンツィヒ(Danzig 現グダンスク Gdansk)に住んでいました。ポーランドは少ない人口を補うために大量のドイツ人入植者を受け入れた過去があります。また、歴史的に国境線が幾度も変わり錯綜してきました。このため同じ都市がドイツ語、ポーランド語でそれぞれ別の呼び名を持っている場合があります。

 

備考:ポーランドとその周辺の歴史と概要

1386年 リトアニア大公のヤゲロー(Jagiello ヤギェウォ)がポーランドの王族ヤドヴィガと結婚する。リトアニアとポーランドが同君連合になり、ヤゲロー朝(ヤギェウォ朝)が成立する。大きい時にはフランスの2倍に達する国土を持つ一方で、人口はフランスの2分の1程度の800万。文化が黄金時代を迎える一方で、国家の中央集権化に失敗する。

1453年 オスマントルコのメフメト二世がコンスタンティノープルを攻略し、ビザンチン帝国(中世ローマ帝国)を滅ぼす。

1529年 オスマントルコのスレイマン大帝がオーストリアのウィーンを包囲する(第一次ウィーン包囲)。撤退を余儀なくされるもハンガリーに支配権を及ぼすことに成功する。

1543年 ポーランドのコペルニクスが「天球回転論」を出版する。

1572年 ポーランドのヤゲロー朝が断絶し、選挙王政となる。全会一致を原則としたため、議会が何も決められない状態が頻発する。

1674年 ポーランドに侵入したオスマントルコ軍を撃退した軍団司令官ソビエスキーがポーランド国王に選出される。

1683年 メフメト4世の治下、大宰相カラ・ムスタファ・パシャ率いるオスマントルコ軍が第二次ウィーン包囲を行う。ポーランドのソビエスキー王が連合軍を率いてこれを撃退する。

1690年 ポーランドの天文学者ヘベリウス(Hevelius)がソビエスキー王の勝利を記念してたて座を作る。

1696年 ソビエスキー王が死去。全会一致の原則と中央集権化に失敗したポーランドの内政事情から、外交的にはほとんどまったく成果をあげることができずに亡くなる。

1733〜5年 ポーランド王位継承戦争 内紛状態が常態化しているポーランドに、王位継承をめぐって周辺諸国が介入した事件。

1772年 ロシア、プロイセン、オーストリアによってポーランドが分割される。第一次ポーランド分割。

参考:「ポーランドの歴史」 イェジ・ルコフスキ 創土社 「オスマン帝国の600年史」齋藤優子 KADOKAWA

 

 たて座はすでにある星座の隙間に作られたので明るい星がありません。一番明るいα星でも3.65等です。また、星座の領域も狭くて小さいものです。その一方で銀河の濃い部分にあるので印象的な星や星団があり、新星が出現しやすい星座でもあります。

α星 3.85等

δ星 4.7~4.8等 ごく短い周期(0.19日)を持ち変更幅が小さい特異な変光星

 

その他の天体

M11 散開星団

M26 散開星団

 

たて座R星 4.5〜8.2等まで光度がやや不規則変化する変光星

たて座UY星 太陽の1700倍の大きさを誇る既知宇宙で最大級の星

V659 Sct 2019.10.29に現れた新星

 

参考:

「星の事典」鈴木駿太郎 恒星社

[Guidebook to the Constellations] Phil Simpson 2012 springer

 

 

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