V659 Sct

2019年10月29日に発見された、たて座の新星

 

2019年11月4日 20:10のV659 Sct

 

 たて座は夏の銀河に埋もれた星座で、新星が多く現れます。V659 Sctは2019年10月29日に発見された新星で、30日には8等級にまで増光したと報道されました。

 私自身は一報を聞いたのが遅く、さらに天候が悪かったので観測できたのは11月4日。スケッチの画面左上の小さな円の連なりは望遠鏡のファインダーの視野を示します。下の明るい二つの星はたて座のα星とδ星。そのやや上(方位で言うと南)に二つの星があり、さらにその脇にある7等級の星。この近くに新星が現れました。

 スケッチの画面中央の大きな円の連なりは75倍の視野を示します。ファインダーで見えた7等級の星は、こちらの視野内では一番明るい星。そのため、相対的な光度をしめすカタカナはアを割り当てています。新星はそこからやや左下にいったところにあって、光度は多分、10等級ぐらい。翌日、11月5日、19:00にも観測しましたが、光度がほんの少しだけ落ちたか、あるいはほぼ同じ。

 以下は11月15日のV659 Sctと15日までの観察をまとめた光度変化のグラフ。

 

 11月15日 17:45のV659 Sctと、それまでの光度変化をまとめたグラフ。画面上がグラフで、大きな円は150倍の視野を示します。V659周辺の星を描いたもので、4日のスケッチ下方部分の拡大に該当します。15日はたまたま空の透明度が良かったのでなんとか観察できましたが、しかしもうぎりぎり。12日、19日は快晴ではあっても透明度が厳しく、新星どころか周辺にあるクやケの星も見えませんでした。

 グラフの横軸は日付で10月29日から11月16日までを示します。縦軸は光度。便宜的にオ、カ、ク、コを割り当てた星の光度がそれぞれ1等差と仮定。さらにオの星を取り敢えず8・5等として横線を引いています。グラフ左にある二つの十字は自分が観測したものではなく、報道で伝えられた光度。他は自分が観察したもの。観察は15日が最後。

 さて、断片的な観察ではありますが、V659の光度はまず上がって落ちて横這い、落ちて横這い、そしてまた落ちて...そういう変化をしたらしいことがうかがえます。

 

 

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