R Leporis アール・レポリス 

 うさぎ座R星

うさぎ座Rはうさぎ座の星で、全天で最も赤いと言われています。別名クリムゾンスター(Crimson Star)。すなわち、血のごとき深紅の星。発見者である天文学者ハインドの名前を冠してハインズクリムゾンスター(Haind's Crimson Star )とも呼びます。

うざぎ座Rは変光星で、光度5.5~11.7等 変光周期は427日です。

資料によって変光7.3~9.8等、周期420日、あるいは変光6.0~8.5等、周期436日としているものもあります。うさぎ座Rはミラ型の変光星で、変光の光度やその周期それ自体にぶれや変化があります。

うさぎ座R星は赤色巨星で、赤く温度の低い星です。また星の表面に炭素化合物が多い炭素星(Carbon Star)でもあり、これら炭素化合物によって青い光が吸収され、赤さがより強調されていると考えられています。

 

以下は2017年12月29日 光度9.8のうさぎ座R

 2017年12月29日 1:00のうさぎ座R

連なった円は25倍の視野でうさぎ座μ星からR星までの経路を示します

上の大きな円は50倍の視野で、R星とその周辺の星を示します

ぱっと見、どこにあるか分からない明るさ。ミラ型の変光星は膨張すると温度が低くなり暗くなります。温度が低くなるとは赤みが強くなるということ。暗い上に赤いので、輝く星というよりも天球に赤い点を貼り付けたかのよう。周囲の星との光度差を考えると、多分、9.8等。

 

以下は時間を遡り2015年1月1日 22:56のうさぎ座Rで光度は5.9等

2015.01.01 22:56のうさぎ座R星

2015年1月の元旦から3日にかけて、ラブジョイ彗星(C/2014 Q2)がうさぎ座R星の近くを通過しました。ラブジョイ彗星の解説は別に行なうとして、ここではうさぎ座R星の光度について書きます。

うさぎ座R星の光度は、北西にある5.9等の星とほぼ同じであるように見えました。少なくとも西隣にある7.5等の星よりは顕著に明るくなっています。2014年12月15日にスケッチした時には、ここまで差は明瞭ではありませんでした。予報では10月25日が極大でしたが、うさぎ座R星は変光に不規則性があるので、極大がずれたのかもしれません。

画面を見た時、うさぎ座R星の右下にある星の光度は、手持ちの資料によると6.4等だそうです。この時のうさぎ座Rはそれよりも明るく、その一方で画面右上にあるβ314よりは暗い印象でした。β314の光度は5.5等だそうです。2015.01.01 22:56時におけるうさぎ座R星の光度は5.9等であったと思います。星の光度の測定は個人差があるので、これが妥当かどうか、周期がどうなっているのかは追って確認の予定。

*近隣の星の光度に関しては[Burnaham's Celestial Handbook] vol.2 と[Observing Variable Stars A guide for the beginner]を参考。

 

以下は2014年12月14日 3:00 光度は7等

2014年12月14日 2:00〜3:00にかけてスケッチしたうさぎ座R星 (画面右 x25)

および2014年12月15日1:00〜3:00にかけてスケッチしたもの(画面左 x50)

画面右の円の連なりは、うさぎ座の頭部にあたるμ(ミュー)星からうさぎ座R星までの星々を2014年12月14日に描いたもの。倍率は25倍。うさぎ座が南中をすぎ、西の地平線に傾きかかった状態で描いているので、画面左上が西、画面右上の角がほぼ南に該当します。望遠鏡で見たものなので画面は回転した状態。

画面左下のやや大きい円は15日にスケッチしたもので、倍率は50倍。うさぎ座R星が視野右に見えています。視野内左にある明るい星は資料だと5.9等であるらしく、次に続くのがうさぎ座R。そしてR星の左上(方位で言うと西側)にある暗い星が続きます。この星は資料によると7.5等。この時、うさぎ座Rは、5.9等よりも暗く、7.5等とほぼ同じだけどもやや明るいように見えました。つまりうさぎ座Rはだいたい7等ぐらいなのではないか、という感触。ただ、西空に低くなっている時に見ていること、赤い光は厚い大気を通しても比較的減衰が少ないことを考えると、周囲の星に比べて明るく見えているかもしれません。実際、時間がたつにつれてうさぎ座Rの明るさが際立つようにも感じました。

*うさぎ座Rはこのスケッチよりも前、2014年の10月25日に極大であると予報されていました。スケッチ当日の12月の14、15日は極大からそれぞれ51日目と52日目となります。

 

参考:

「星の事典」鈴木駿太郎 恒星社

[Guidebook to the Constellations ] Patrick Moore's Practical Astronomy Series 2012

[Burnaham's Celestial Handbook] vol.2

[Observing Variable Stars A guide for the beginner]

 

 

 

 

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