月
Moon
月齢20
2014年11月13日 2:00~6:00にかけてスケッチした月
日付が変る前12日の正午月齢は19.2
スケッチ時の月齢は19.8~19.95
ここでは月齢20として扱います
ほぼ半月に近い状態です。秋も終わりに近く、月は昇り始めたかに座にありました。ちょうどマレ・セレニタティス(MARE SERENITATIS)つまり晴れの海が日没を迎え始めたところです。晴れの海の南にはクレーター、ユリウス・カエサル(Julius Caesar)があります。夕暮れを迎えたところで、形が比較的よく分かります。
クレーター、ユリウス・カエサルを見ると
斜めに流れたような作りであること
北西(画面左上)の縁は比較的形を残していますが、南東(画面右下)は縁がかなり崩れて影がはっきりしないこと
近くにあるクレーター、ボスコビッチを含め、周囲も斜めに流れたような地形になっていること
流れの向きがマレ・インブリウム(MARE IMBRIUM)に向かっていること
以上が分かります。
これらは巨大クレーターである雨の海が出来た時、吹き飛ばされた放出物で埋められ、削られたものです。言い換えると、クレーター、ユリウス・カエサルは雨の海よりも古いということが分かるでしょう。
またほぼ正中線にあるクレーター、アルバテグニウス(Albategnius)の南には小さなクレーターが列になって並びますが、これは雨の海形成時に飛んできた岩石で作られた二次的なクレーターであると考えられています([The Geology of Multi-Ring Impact Basins] Spudis 1993 pp141)。なおこのアルバテグニウスの位置は二次クレーター列と共に、もうちょっと右にずらした方が 正しいようです。
以上のような破壊、浸食、埋没の作用を受けた地形と対照的に、より南の地域は小さなクレーターだらけで形を取るのも難しい複雑な地形になっています。
なおクレーター、アブールフィダ(Abulfeda)の北にあるクレーター、デカルト(Descartes)。これはその名の通り、哲学者デカルトの名を冠されたクレーターですが、このクレーターは形成後、火山によって変形を受けたと解釈されているものです([GEOLOGY OF THE MOON ] Mutch 1970 pp225)。
2017年12月9日 5:00の月
9日の正午月齢は20・6、スケッチ時の月齢は20・3
ほぼ半月。神酒の海は沈み、その縁にあるキリルスとカタリナが黒い円になって日没を迎えています。キリルスとカタリナの左上にあるのがアブールフィダ(Abulfed)、そのさらに左上にぼんやり見えているのはアルバテグニウス。
200倍の視野の円内のみを詳しく描いていますが、天気が悪く、5:00から明け方までしか時間がなかったので、興味をひかれた部分だけを描いています。目的は神酒の海にある第5のリングの観察。
第4リングであるアルタイ崖はキリルスとカタリナの左下に、黒々と影をのばしています。そのさらに左外にあるのがサクロボスコ。これは二つのクレーターが合体しているとおぼしき姿で、内部に小振りだけども形がはっきりした小クレーターが三つ並ぶ特徴的なものです。
神酒の海の第5のリングは、このサクロボスコの外側を走るようなのですが、どうもやはりよく分かりません。
スケッチ左上にある円は8:20に見た月とレグルスです。この20分ほど後、レグルス食が起こるのですが、残念ながら雲がかかってそれは見えませんでした。暗い斑点に見えているグリマルディとレグルスが200倍で同一視野に入っています。