Q:恐竜をツリー・オブ・ライフにあわせるとなんかおかしいなと思うのですけど・・・・。
A:それは私達の頭のなかにはピースからツリー・オブ・ライフを組み立てる計算方法が搭載されていないからです。かわりにまーるで別のなにかが脳に搭載されています。そのため理屈で考えた結果と頭のなかの直感が一致しないのです。当たり前ですね、違う計算方法を使っているんですから。だから理屈ではわかっていても、なんかへんだなあ・・・って思うのですよ。
人間はものをグループにまとめて整理整頓する能力を持っています。そして人間が生き物を分類したり、恐竜というグループを作ることができるのは、ツリー・オブ・ライフがあるからです。
ですから(原理的にいうと)生物のグループをつくるにはツリー・オブ・ライフを組み上げればいいのです。それにはどうすればよいか?。生物の進化の歴史を再現し、ツリー・オブ・ライフを推定する計算方法を使えばいいのです。そうすれば真のグループを構築することができます。ようするにパズルをほんらいの姿に組み立てればいいわけですね。
ところが!!
人間はもともと生物が進化するなんて知りませんでした。分類の背景にツリー・オブ・ライフというパターンがあるなどと思っていませんでした。幸か不幸か人間の脳は生物の真のグループを組み立てるようにはもともとできていません。私達の脳は進化を再現する計算方法を搭載していません。進化を再現する方法には分岐学(最節約法:さいせつやくほう)、近隣結合法(きんりんけつごうほう)、最尤法(さいゆうほう)などがありますが、このいずれも私達の頭のなかにはありません。
私達のあたまのなかにある計算方法はなにかもっと別のもの。物事を整理しやすいように整理するなにかです。
そのため、私達の脳がつくったグループと、進化を再現する計算方法が導き出したグループとは同じものにはなりません。鳥は恐竜だよって言われた時、あなたが違和感を感じたとしたら、それはあなたの脳に進化を再現する計算方法が搭載されていないからなのです。これは訓練して身につけるもので、生まれつきもっているものではありません。
だから鳥は恐竜で爬虫類だよって言われるとおかしいな??って思うし、そう思うのは自然なことなのですね(もともとそのように頭ができている)。
とはいえ、もしあなたが研究者になりたい場合、ツリー・オブ・ライフを計算する方法を理解して頭のなかにいれなくてはいけません。そうしないとあまりいい研究はできないと思います。がんばってください。
なお、ツリー・オブ・ライフを作る方法は幾つかありますが、多くのものは材料として(今のところ)遺伝子しか使えません。ただ、最節約法(さいせつやくほう)は遺伝子だけでなく骨や身体の形、行動パターンも材料にしてツリー・オブ・ライフを推定することができます。最節約法は分岐学、あるいは分岐分類学として知られていますが、その説明は次ぎのコンテンツでしましょう^^)
それにしてもなぜツリー・オブ・ライフなのか、どうしてツリー・オブ・ライフなのか、そこまでツリー・オブ・ライフなのか?????。
なぜか?。
解答はすでに書いてしまいました。
研究者のそれぞれまったく反対の意見を聞きたい人は東京大学出版会の「生物系統学」と「生物体系学」を参考にしてください。
北村がもう少し深く突っ込んでまとめた内容はこちらを参考→ツリー・オブ・ライフにこだわる理由はなにか?