タマヤスデの一種 Hyleoglomeris.sp タマヤスデ属 タマヤスデ科/Glomeridae 2006年5月4日に近所の公園(神奈川県の中央部)で撮影したタマヤスデ。体長はおよそ6~7mm。ダンゴムシにとても良く似ていて、つつくと丸まるのも同じです。ただ丸まり方が少しちがっています。それに身体の節の数も違うし、脚の数も違っています。ダンゴムシなら7対、全部で14本ですが、この動物は17対、全部で34本の脚を持っています(雄は生殖肢というものがさらに2対追加されるそうな)。
体型も違っていて頭は幅広く、お尻にかけて尻すぼみ。ちなみにダンゴムシはずんどうですね。色は、上の画像では青みがかかっていますが、実際には茶色がかかった黒い色をしています。
日本には Hyleoglomeris 属(タマヤスデ属)が10種類いると言われていますが、そこまで詳しい参考文献を持っていなかったので種までは特定できません。
さて、採集した個体で乾燥標本を作ったので、以下にそのスケッチを上げておきましょう。
35倍のルーペで見たものなのですが、せめて50倍の倍率が欲しいところです。脚の関節など、細かい構造まではさすがに分かりません。このスケッチはほとんど低倍率(というか小口径)の望遠鏡でのぞいた火星のスケッチのようなもどかしさをはらんでいます。また、身体が少し丸まっているので14〜15対程度しか脚を確認することができませんでした。とはいえ、7対、14本しか脚のないダンゴムシにくらべると、こちらのタマヤスデの脚の数がずっと多いことはあきらかです。また、脚の付き方がダンゴムシとはずいぶん違いますね。タマヤスデの場合、脚は腹の正中線から左右に出ていています。そこんところはやはりヤスデ、さすがヤスデ。
さらにいうと意外と頭が大きい。全体としては横長の長方形で平らな構造で、見た目はほとんど板。ここもダンゴムシとはずいぶん違う点でしょう。また、触角の基部が盛り上がっているらしいことや、中央にキール状の構造があるなど、表面のディテールはかなり複雑です。そしてなんというか驚いたのは(まあ北村がヤスデのことをあまり知らないからこその驚きなんですが)眼は単眼のまばらな集まりであるらしいこと。どうも長方形の頭の上の角っちょの方、片方に4つ(もしかしたら5個?)しかないようです。反対に触角は長くはないもののなかなか立派。
板状の頭部の後ろに平たいドーム状の第1背板(頚板)があり、その後、大きなフードのような第2背板が続きます。それから尻尾にあたる末端の第12番目まで体節があります。身体の末端、腹側に見える左右1対の三角の構造は肛門扉という器官かもしれませんが、よく分かりません。ちなみにフード状の大きな第2背板は参考文献の「日本産土壌検索図説」によると、もともとの第2、第3背板が融合したものなのだそうな。実際、第2背板は一枚の背板にしては不可思議な、理解に苦しむ曲線で表面が構成されています。
なお身体の表面は黒くぴかぴかした滑らかで堅い構造で、なかなか美しいものがあります。
参考「日本産土壌動物検索図説」東海大学出版会)