スギハラベッコウ

Cryptocheilus sugiharai

 2005年7月23日に公園の木道を散歩していて見つけました。良く見ると画面中央、ハチの頭の向こうにクモが見えます。これはアシダカグモ(あるいはコアシダカグモ)というかなり大きな種類で、すでに麻痺させられてぐったり状態。

 ハチは長い後ろ脚、特に腿節と呼ばれる脚の付け根の方にある節が長いことからおそらくベッコウバチだということが分かります。

 さらに2センチ前後はあろうかという大きな身体、頭と顔が黄色であること、脚の中ほどから先も黄色く、また触角の基部も黄色であること、胸の前方の肩の部分が黄色(あるいは褐色)味をおびることからスギハラベッコウの雌であると考えました(参考:「原色昆虫大図鑑」第3巻 北隆館)。

 ベッコウバチはクモを狩り立てて麻痺させ、そこに卵を産みつけて幼虫の餌にする狩人です。ようするにこの個体はお母さん。子供のために麻痺させたクモを運ぼうとクモの鋏角にかみついて”えいやっ”とばかりにふんばると持ち上げます(右の写真→)。

 じつはこの写真を撮影した数日後、公園を散歩していたらスギハラベッコウとおぼしきハチが木道の周囲を飛び回り、時々、木道の裏に潜り込むのを見ることができました。

 以前ツマアカコブベッコウと思われるベッコウバチがやはり同じことをしていて、木道の裏をのぞいたら探索するハチからアシダカグモが慌てて逃げていくのを見たことがあります。どうも公園の木道というのは彼女たちにとって絶好の狩り場であるらしい、当然、獲物になるクモにとっても住みやすい場所なのでしょう。

 このハチはかなりごっつい体つきで、見た限りでは飛ぶ時に後ろ脚などを後方へぴーんとのばしているようです。頭部の黄色と脚先の黄色があいまって飛び回る姿がなんか不思議な感じ。胴体が黒で身体の前後が鮮やかな黄色で目立つのでハチに見えないというか、飛んでいるのが一体全体なんなのか一瞬理解しにくくなる。

 このお母さんはやがて木道の上をクモをひきずりながら森の中へ消えていきました。

 運ぶ速度がとても速いのでなかなかピントがあってくれません。あげくにぶれていますがこんな感じ(シャッター速度は1/30)。頑丈そうでごつい身体、黄色の顔、肩の明るい模様、長い後ろ脚がよく分かります。ちなみに運ぶ向きはこの写真では右側。バックしながら運びます。

 

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