アシダカグモを運ぶベッコウバチ科(Pompilidae)のハチ

ツマアカコブベッコウ(Tachypompilus analis)?

2004年9月15日、神奈川県にて撮影したおそらくはベッコウバチ科のハチと思われるもの。写真だけで同定するなんて、すでに科学とはいいがたいだけでなく、どうにもしょうがないのですが、脚が細長いこと、クモをとらえて運んでいることからベッコウバチ科のハチであろうと考えました。目立つのは腹の先っちょがダイダイ色になっていること。図鑑をみると、こんな模様に該当するベッコウバチがいません(参考:「原色昆虫大図鑑 第3巻」北隆館)。

 もしかしたら最近南の方から分布を拡大しているというツマアカコブベッコウ(Tachypompilus analis)って種類かもしれません。ネットで検索かけるとツマアカコブベッコウよりはツマアカベッコウでむしろヒットします。どっちが正式な和名なのか良く知らないのですが・・・。

 いずれにしてもツマアカコブベッコウは腹先がダイダイ色で、他のベッコウバチから容易に区別できるそうです。日本での分布は南西諸島、つまり沖縄の方だったそうな。

 このハチさんが自分よりはるかにでかいアシダカグモをひっぱってブロック塀をずりずりと動いているのは壮観です。見れば分かりますがアシダカグモの鋏角をくわえています。それにしてもよくもまあこんな体格差のある相手をしとめたもんです。ハチさんは顎でくわえて脚でどんどんブロック塀をのぼっていきます。

 日陰でおまけにすでに高いところにいて、さらにかなり速く動くのでシャッター速度と露出、ピントの設定がハード。さすがにうまくは写っていません。

 この後、彼女はブロック塀の上へと消えていきました(右の写真を参考→。上の写真も含めて3枚しか撮影できませんでした、いや速いのですよ。)。ちなみにハチの仲間には子供の餌にするため、クモや昆虫を狩る種類がかなりいます。

 ベッコウバチもそうしたハチの一種。捕まえた獲物は麻痺しているだけで死んでいません。つまるところ、このアシダカグモくんはこの後、ハチのお母さんの巣に連れ込まれて、卵を産みつけられ、ハチのお子さまに生きたまま喰われるという寸法。生きているのでお肉は新鮮。子供はすくすく育つわけですね^^)。

なんでもベッコウバチも人間につかまると刺すそうで、ものすごく痛いそうな^^;)。いやびっくり、考えてみれば当たり前なのだけどてっきり人間に危険なのは毒針を持つ連中だけかと北村は思っていたので・・・。くわばらくわばら。

 追記:2005年7月の初め、公園を歩いていたらこれと良く似たハチを目撃。木道の上を触角をせわしなくひらめかせながら歩きまわっていたので見ていると、やがて木道の裏へ、身をのりだしてのぞいてみると木道の裏を動き回るベッコウバチから逃げるようにアシダカグモがささっと木材の接合部のアングルになった部分へ走り込みました。

 その時はハチはあきらめるようにいってしまいましたが、どうもこれらのことからするとアシダカグモは木道などにいる動物で、そしてベッコウバチは的確に獲物を探り当ててアシダカグモを狩りたてることができるようです。

 

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