Spinosauridae and Others

スピノサウリダエ(スピノサウルス科)とその他

トルボサウルス、バリオニクス、スコミムス、スピノサウルスなど

 

 

トルボサウルス(Torvosaurus:上)とバリオニクス(Baryonyx:下)の頭骨

および顎の骨(マキシラの部分)に共有派生形質があります

 以上のトルボサウルスとバリオニクスの頭骨は、頭骨を構成する各パーツ(premaxilla, maxilla,lachrymal,dentary,etc)を幾つかの論文や文献、写真から抜き出して北村が頭骨全体を構成して描いたものです。ですから実際の頭骨のプロポーションと、各パーツの細部の形はやや異なる、あるいはその可能性があります。

 

以上の図は北村の恐竜学講座で使用した図を使っています。

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アロサウルスと比較すると、トルボサウルス、バリオニクス、スコミムス、スピノサウルスは

 1:マキシラの前方が長い

 2:ヒューメラスのデルトペクトラル・クレストが大きい

という共通の特徴を持つことからひとつの系統と考えることができます。

 一方で、彼らはアロサウルスやティラノサウルス、鳥が持っている特徴、

 3:例えば坐骨の閉鎖孔突起が台形、あるいは三角形で開いている

を欠いています。

 以上の1と2からトルボサウルス+バリオニクス+スコミムス+スピノサウルスはひとつの系統であること、そして3の事実からこの系統はアロサウルス+ティラノサウルス+鳥の外側にあることが分かります。(Sereno et al : Science Vol.272 1996 pp986~991 Science Vol.282 1998 pp1298~1302)

 この系統にはSpinosauroidea(スピノサウロイディア:日本語に訳すとスピノサウルス上科)という名前がついています。スピノサウロイディアは上科という分類階級に特有の語尾変化を起こしていますが、まあ、そんなことはあまり気にしないで下さい。

 それにしてもこの系統、スピノサウロイディアには何か違和感を持ちませんか?。実際、トルボサウルスとバリオニクスはあまり似ていません。トルボサウルスはむしろアロサウルスに似ています。

 ですが、こうした考え方は問題をはらんでいます。似ているから系統が近いとは言えません。系統を知る手がかりになるのは共有派生形質、進化の歴史で比較して最近にうまれた特徴です。トルボサウルスとバリオニクスその他はアロサウルスと比較した場合、幾つかの特徴を共有しているのですからひとつの系統であると言うことができます。

 とはいえ・・・・・、系統を支持する特徴が少ないのでこの系統、スピノサウロイディア自体はあまり強力には支持されないことは事実です。つまりちょっと不安定な系統なんですね。

 スピノサウロイディアに束ねられる、あるいは束ねられる可能性がある動物としては以下のものがあげられます。

 エウストレプトポンディルス

 トルボサウルス

 バリオニクス  

 スコミムス

 イリテーター 

 スピノサウルス 03.08.09 画像追加

 これらの動物のうち、バリオニクス、スコミムス、イリテーター、スピノサウルスは非常に多くの特徴的な特徴で束ねられる、ひとつの系統、スピノサウリダエ(スピノサウルス科)を形成しています。

 Sereno 1998. Science Vol.282. pp1298~1302. A Long-Snouted Predatory Dinosaur from Africa and the Evolution of Spinosaurids.

 また、上に取り上げた1のような特徴はメガロサウルスやピアトニッツキーサウルスでも見ることができます。

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