ホウボウ

Chelidonichthys spinosus

 

 近所のスーパーで売られていたホウボウ。お値段は880円。全長35センチぐらい。頭部は骨がよく発達していて形は箱形というか台形。胸びれは大きく、ヒレを支える鰭条の3本が分離しています。これを使ってホウボウの仲間が海底を”歩く”のはよく知られている通りです。

 体の特徴としては

:背びれに沿って瓦のように骨質の板が背中に並んでいること

:第2背びれ(後ろの背びれ)には16本のすじがあること(上のスケッチでは最後の数本が密集しているので16本にはみえなくなっていますが)

:胸びれを体につけた時、第2背びれの中央まで達しないこと(スケッチの上にある▼は胸びれの届く位置を示しています)

:鼻先の棘があまり顕著でないこと

:胸びれの内面(ヒレを通常の姿勢にすると胴体にくっつく側の面)が濃いウグイス色で青い斑点が散在し、周辺が青色であること

が上げられます。とっまあ、以上のことからこの魚はホウボウ Chelidonichthys spinosus でいいのであろうと単純に判断しています。細かいウロコに覆われた朱色の体には薄く灰色がかかった青い線が編み目のように走っており、大きな胸びれに美しい色と模様があるのは見ての通りです。とてもきれいな魚ですね。さばいてみるとよく発達した浮き袋があり、伝統的に同じカサゴ目に束ねられているアイナメとはえらく違います。

 肉は白身で煮るとぽろっとした肉質であっさり味のとてもおいしい魚ですね。内臓を少し調べたら溶けかかった魚(ハゼかなにか?)が2匹でてきました。

 頭骨は眼の下にある骨(Infraorbitals)がとてもよく発達していて、頬の部分をほぼ完全に覆っています。ある意味、カサゴ目(もはやカサゴ類とかカサゴ群といった方がよいか?)の別名、mail-cheeked fishes (頬が装甲された魚:頬甲類)の名に恥じない姿をしています。頭骨の簡単な標本を作ったのでそれはおいおいアップの予定。

参考文献:

今村2005 「魚の形を考える」松浦啓一編著 東海大学出版会 第5章 [ 形から考えるカサゴ目の単系統性 ]

Imamura & Yabe 2002, Demise of the Scorpaeniformes (Actinopterygii: Percomorpha): An Alternative Phylogenetic Hypothesis, Bull. Fish. Sci .Hokkaido Univ 53(3) pp107~128

 

 

 

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