ありがちな誤解/勘違い:分岐学って分類学でしょ?
ミラ:分岐学ってCladisticsの日本語訳よね?。
わらし:そうずらなあ。
ミラ:・・・・
わらし:何か?
ミラ:・・・分岐学って分類学なのよね。
わらし:違うよ。
ミラ:でも分岐学って分岐分類学ともいうじゃない。
わらし:もともとは「こう分類するべきだ」っていう学問というか方法論だったからね。
ミラ:じゃあ分類学?
わらし:いや違うと思うずら。
ミラ:なんで?。
わらし:なんていうかなあ。分岐学って進化をさぐる学問だよな。
ミラ:ええっと・・、そうなの?
わらし:そうだよ。
ミラ:そうなんだ。それで?
わらし:それでもう一方の分類学の方は生物を整理整頓する学問なわけだよな。
ミラ:うん、それは分かるな。それで?
わらし:分類学にとって、進化なんていう知識は生き物を分類するのに必ずしも必要じゃないんよね。
ミラ:そうかしら?
わらし:アリストテレスって人を知ってるかね?
ミラ:知ってるよ。ず〜〜〜と昔にいた、えら〜〜〜いおじさんのことでしょ? 生き物を分類したのよね。
わらし:うんだなあ。アリストテレスさんは紀元前4世紀のギリシャにいた人だな。彼は生物を詳しく調べて、鳥類、魚類、有節類(現在で言うところの昆虫+多足類)などの分類体系を作り上げたわけよ。でもアリストレスさんは進化は当然知らないよな。
ミラ:知らなかったでしょうね。
わらし:ほら、進化を知らなくても分類ってできるのよ。つまり分類学はもともと進化なんて知識がなくてもやっていけるってわけだよね。
ミラ:じゃあ、分岐分類学はどうなのよ?
わらし:分岐学には進化って考え方が必要不可欠でしょ。
ミラ:なんで?。
わらし:分岐学って生物の進化を探る学問ずら。だったら進化が必要になるのは当然だっぺや。
ミラ:まあそうなるけどさ。じゃあ要するにどういうことになるわけ?
わらし:ようするに分類するってことと、進化を研究するってことは本質的には別物だってことよね。分岐学と分類学は同じものじゃないわけよ。だからCladisticsを分岐分類学と訳すべきでないって意見(三中 97)はもっともでしょうね。Cladisticsは分岐学でいいんじゃない? 分類学じゃないわけだし。
ミラ:つまり?
わらし:つまり分岐学は進化を探る学問です。分類学じゃあありません。分岐学と分類学の違いをもっと具体的に知りたい人は、例えば、
「生物系統学」 三中信宏 1997 東京大学出版会
を参考にしてね。
ミラ:分岐学(分岐分類学)に関する基本的な知識に関してはこのコンテンツ:分岐学とは何か?を参考にしてか。
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