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 第 七 回目は 米国 Kodak 社の 「Bantam Special」を紹介します。 (2010/5/10)
        (バンタム スペシャル)

このカメラは米国コダック社の歴史的傑作商品であると思っております。

第一回で紹介したレチナシリーズは西独の老舗カメラメーカー、を買収して発売した商品でしたが、これは米国でデザインした商品で1936年に発売されたカメラです。

ウォルター・トウィン・テーグのデザインで、カメラとしては大変珍しいアールデコ調のものです。1936年といえば昭和11年頃、モダニズム全盛の時期らしい極めて斬新なものであります。

下の写真は1930年から40年代の映画を検索して見つけた写真でありますが、この時代のモードにドンピシャとフィットします。モードを様式と捉えるならばまさに同一様式と言える、良き時代のアメリカン、レトロモダンのお洒落なカメラであります。

カメラの世界でアメリカ製の評価は性能的にもデザイン的にも高くはないのですが、このカメラは別格でしょう。この時代以降のアメリカは生産合理化の世界的旗手となって、端的に言うと「雑」になっていってしまったのです。カメラしかり自動車などなど。


Kodak Bantam Special

 
米国 コダック社

製造年:1936年〜

レンズ:コダック エクター
Ecter 40mm f2

シャッター:レンズシャッター
Kodak Compur Rapid
B〜1/500s



このカメラ、デザインもさることながら、技術的にもレチナと同じ西独カメラの血筋で機能的にもしっかりしたものであります。
 ファインダーにはツァイス コンテッサと同じドレーカイル式を採用しており撮影レンズの上に小レンズがあります。距離合せは上下2分割像の横スライド合致式で大変合せやすい方式であります。シャッターはドイツ系のCompurシャッターで、言っては悪いが、ドイツのカメラにアメリカの衣装を着せたようなものです。技術の拡散などというものは所詮こんなもので、日本のカメラ産業も同じ道を通ってきたわけで特別なこととは思いません。

 また話は衣装(意匠)のことになりますが、一見した時ケースはエボナイトというオールド合成樹脂?で出来ているのかと思ったのですがそうではなくて、アルミダイキャストに硬質エナメル仕上げで出来ておりました。装飾ラインはエナメルに塗りこめた金属線を研ぎ出したもので、日本の漆製品と同じような技法で作られたものでした。コイマリで言えばナベシマかカキエモンかという商品でしたでしょう。

 これを持ってスナップ写真撮って歩いたらカッチョエエなー、とミーハーにも企んだのですが、残念ながらフィルムが828という昔の規格で現存しておりませんでした。
フィルムは入っているんですけどねー。


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