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 第 八回目は 独国 Voigtlander 社の 「VITESSA」を紹介します。 (2010/11/15)


このカメラは世界最古のカメラメーカーと言われるフォクトレンダー社のコンパクトレンジファインダーカメラです。蛇腹で収納されるスプリングカメラのひとつです。
ビテッサシリーズのカメラは、形態の単純化と高度な機構で携帯性と速写性、確実性をコンセプトに開発された歴史的名機であります。


このカメラの特徴はニョッキリ立ち上がったプランジャーです。カメラ好きの間では”煙突”と呼ばれてます。このプランジャーは押し込むことで、フィルムの巻上げとシャッターチャージを行います。このカメラの初期型が発売されたのが1950年。他の多くのカメラではまだノブでフィルムを巻き上げる方式でした。この時代にワンプッシュで撮影スタンバイが出来るこの機構は画期的なものでありました。この後一般的になって行くレチナ式レバー巻上セルフコッキング以前に各社が考案した迅速巻上げ機構の一つでありましたが、シャッターチャージが同時に行われるセルフコッキングの原点となったものであります。レンズ部とプランジャーを収納すると下の写真のようになります。このカメラは1954年ごろのVitessa Lで露出計やらアクセサリシューやら、吊環やら付いてますが、初期型にはこれらはなく、レンズ部、プランジャーを収納すると突起部のないシンプルな箱型になり携帯しやすい形でした。

この状態でシャッターボタンを押すと、バシャといってレンズ部とプランジャーが飛び出して左図のようになります。


Voigtlander Vitessa L

 
独国 フォクトレンダー社

製造年:1954年〜

レンズ : フォクトレンダー
color skopar 50mm f2.8

シャッター:レンズシャッター
Synchro-compur
B〜1/500s



ファインダはもちろん距離計連動式ですが、ライカがM3で54年に実用化した自動パラドックス調整機構を51年にすでにビテッサシリーズに採用していたのです。当時のフォクトレンダー社の技術がいかに優れていたかを示すものです。

左下写真が上部からのものです。背面中央右側にあるダイヤルがピント調整です。ダイヤルを回すとアクセサリーシュー右の丸い円盤が回って距離を表します。被写界深度も表示されます。

右側が露出表示板です。セレンで電池は不要です。一番右側の丸ボタンが露出表示板の切り替えダイヤルでフィルム感度対応したA〜Fの表示に切り替えます。後は指針が示して数字をシャッター部に移します。
レンズ部の下部に数字が並んでいますが、ココの指標を露出計の数字にあわせます。この数字さえあわせておけば、絞りとシャッタースピードが連動します。いわゆるライトバリュー方式というものでこの時代にはやったものです。要はシャッタースピードを動かせばそれに応じて絞り値も変化するというものです。

フィルムの巻き戻しは底面にあります


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