赤絵の明治九谷 A

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こだわり第2集

赤絵の明治九谷には今だに「こだわり」続けている。
注目して眺めているとそれなりに面白いものに出会う、まだ興味は尽きない。

この蓋茶碗はなかなかの力作である。手だれた賢人図がお気に入りなのだ。
人物の表現は表情にしても、着衣姿勢にしても絵としてきちんと修行したものであろうと思われる。
顔の輪郭線などを見ると絵師の筆使いの線である。
この時期の赤絵にはこのようにしっかりした絵付けのなされた作品がしばしば見かけられる。

染付にしても赤絵にしても、絵付けのしっかりした作品は存在感がある。
職人さんの仕事に取組む真摯なる姿勢、ひたむきさ、誇りといったものがしっかりと伝わってくるからである。



周囲に3組の人物が描かれているのでアップして掲載した。5客あるので夫々を見比べてみると微妙に差があってこれも面白い。

裏の高台周りに好みの繊細な並び葉文が描かれているのも嬉しい
 






上の蓋茶碗と同じ様式の賢人図煎茶碗組。

こちらも人物の描き方もレベルが高い。
精緻な紗綾形の線描きは見事であります。

H28.1.16 追加




   










次は現代ものでありますが赤絵線描きの銘々皿。
雨龍と牡丹が描かれている。牡丹の根元にあるのは太湖石でしょう。
これは現代ものでしょうが、線描きと金彩のバランスが絶妙で綺麗さに惚れました。












赤絵の煎茶セット。
九谷らしくない絵付けでモダンな感じがするが、まるっきりの現代物ではないように見える。
このクラスの現代作家ものであれば名の銘があると思うのだが、銘は「九谷」とだけ。
草花文の描き方、貫入のない釉薬、蓋受け部の釉薬の掛かってない磁胎の感じからすると以外に古いのかも。

いずれにしても、赤絵九谷「独特のクドさ」がない品の良さに惚れたものである。


 



2008/5/1





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