Y心、笑う

                                     笑
                                          @わらう。えむ。ほほえむ。はながさく。
                                      Aわらい。えみ。
                                             (角川 大字源より)



笑−前口上

今の世の中
胡散臭いと思いつつ
ブランドや権威に惑わされ
本物と信じ込む人は数多い。
後で笑い話になるならよいが
取り返しのつかない怖いこともある。
例えば一流ホテルでの食材擬装の話。
例えば有名団体の公募は実は公募ではないの話
例えば国宝の中にも偽物があるのではの話。
例えばメディアはねつ造ややらせをしているのではの話。
例えば警察は数えきれぬ冤罪を作っているのではの話。
例えば権威ある組織は犯罪事実を隠しているのではの話。
例えば歴史的事実とされるものでも嘘があるのではの話。
これらは笑い話以上に怖い話なのである。


笑@

日本で間違いもなくあった知人による笑い話。
行方不明の身内の戸籍を調べたところ
戸籍が抜かれ幾つかの別住所に記載されていた。
訪れると別人が住んでおり
前住者の身内は全く知らないと言う。
警察へも届け移住先の役所にも行けども
警察は捜すにそんなに熱心に見えず
戸籍係は本人と確認して受け付けたと譲らず
本人の字かどうか確かめようにも規則だからと断わられた。
ある偶然から行方不明者の所在がわかり事情尋ねると
ずっと同じところにいたとのこと。
おそらく戸籍は誰かに利用されたのであろう。
知人は警察や役所のずさんさを怒るよりも
まさにあきれ果て笑ってしまったとのことだった。


笑A

戦後教育のもたらす負の面なのか
それとも人間全体が惚けてきたのか
このごろの日本人の常識的感覚が揺らいでいる。
例の高齢者の行方不明者件数の突然の増大。
行方不明にして年金せしめる家族の姿勢は論外だが
おかしいと思ってもそれを気にしなくなっている近隣住民。
家からの返事ないから何もなかったと判断する行政担当者。
もっと調査する必要があるのではの声に
では110歳以上の人からを調べると答えた大臣。
思わず笑ってしまった。
おかしい判断、おかしい物言いであるということに
気づかなくなっでいる現役が多いということに
初めは笑っていたものの次第に
恐さ覚える後期高齢者扱いの私であった。


笑B

悪筆だったので
ワープロが世に出たとき
これで悪字から解放されるとほくそ笑んだものだった。
カセットテープで文章保存したのを最初に
文章書いて人に見せるまで
今までにどれだけの文章作成のソフトを
どれだけのワープロ機器やパソコン機器を
どれだけのメモリー器具やプリンターを
買い換えてきたことか。
確かに機能も増え速くもなり
絵も描け形まで作れるようになって
単に文章作成以上のものになった。
初めは苦笑しながらついて行ったが
しまいには機械に振り回され喘ぐようになりだした。


笑C

オリンピックやサッカーの国際試合での
ワイドショー等の独りよがりな報道ぶりには
メディアの幼児性示すようで笑ってしまう。
へきへきするくらいに同じシーンを繰り返す中
レポーターはメダルメダルの言葉の外は語らず
ゲストコメンテーターは褒めそやすばかり。
ほとんどが聞きかじりの情報を丸飲みにして
芝居もどきに誇大にあおり立ている。
お祭りなのだからと笑ってすませられるが
日頃の視聴者をなめきった態度が
無意識のうちに現れているのだろう。
いずれお祭りが終われば次のお祭りくるまで
見聞きしたシーンを再現もなく繰り返して
糊塗するのが手抜き好きなテレビ界の実態である。


笑D

「人権」と「人権」と囃す朝日新聞が
橋下憎しの思いあまって
自らの週刊誌使って人格貶めるレポートし
「差別」の朝日新聞となった。
人権社是としながら肝心の人権忘れてしまった感じで
これほど笑ってしまった話はない。
そう言えば橋下人気出だした頃から
客観的に報道するポーズ示しながら
様々な記事の言外にあるいは「声」欄使って
何となく橋下政策非難する記事が多かった。
そしていわゆる「従軍慰安婦」発言には
ここぞとばかりに自称人権派を使って責め立てた。
権力持つ朝日はその後何とか糊塗していったが
大メディアの思い上がりと裏を見せられた思いであった。


笑E

最近テレビのワイドショーで
芸能タレントを使ってコメンテーターもどきの
発言をさせることがある。
笑いながら適当な話でお茶を濁し
決して責任を取らなないように振る舞っているのは
日本の官僚そっくりでつい笑ってしまう。
さもいっぱしのことを言っているが
日常的に笑い話としていること以上には言ってはいない。
タレントにはそれで小遣い稼ぎになるのだから
巧みに世渡りするタレントが出るのだろう。
もっともタレント自身には問題はない。
テレビ局スタッフの見識の問題なのである。
安上がりに製作しておいて
視聴率あれば儲けものと考える浅さなのである。


笑F

新聞はそれほどでもないが
聴くに堪えないのがテレビの報道。
ワイドショー的なものが割り込んできてからは
報道関係者の品格が落ちた。
視聴率第一主義のせいで
人間が犬を噛んだような報道で視聴者を笑わせ
そのくせ警察情報を鵜呑みにして垂れ流す。
無節操に反対の識者を安易に引っ張り出してきては
いかにも批判しているような態度を示す。
あおり立てるだけあおり立てておいて
事実を伝えていて何が悪いかと心の中では笑っている。
報道に対する責任の意識が
口で言うほど希薄なのだ。
その軽薄さは松本サリン事件以後少しもも変わっていない。


笑G

「最低でも県外」と
大見得切った民主党政権下の首相の
「あれは公約ではなかった」の一言が
多くの日本人の冷笑を買った。
首相としての無能性と資質の無さはともかく
首相の思いを実行する仲間も本土の人もいなく、
結局はしごをはずされてしまったのかと
同情したくもなる。
「普天間問題は対岸の火事」と笑ってすませることなのか。
はしごをはずしたのは誰か。
何かあったらアメリカに助けてくれるからと
思い思わされるぬるま湯の中の日本人は
治外法権なくす努力した明治の人の気概を
多少なりとも思い起こすべきだ。


笑H

あつものに懲りて膾を吹くの喩えのように
あまりに国のため社会のためを
吹き込まれ信じた臣民の反動が
戦後になって
あまりに自己の権利と利益を唱うことになり
メディアから永田町・霞ヶ関のエリートに至るまで
建前に免罪符求める自己中の日本人に変身した。
百年に一度の不景気といわれる時代に
勝ち組となった人の笑いに魅せられて
大企業までが派遣切りをし
その労働組合までそれを容認した事実は
色々理屈並べ糊塗して笑っているが
人思い社会思う昔の日本人の心が失われ
戦後の負の部分を破廉恥にも露呈した。


笑I

敵失による民主党政権の誕生は
喚起の笑いもそこそこに失望の苦笑もたらした。
変化望む国民や無定見なマスコミがせっかちなのか…。
前政権の残務整理がきついのか…。
政権担うリーダー達の資質がないのか…。
根っこは案外国家考えぬ戦後の国民意識にあった。
自分だけの利益しか考えない。
地元だけの利益しか考えない。
組織だけの利益しか考えない。
だから己の得することには口を閉ざし
己の損することには文句言う。
この70年の間に日本国民は
「ほしがりません勝つまでは」から
「国のことなど関係ない」とせせら笑うようになっていた。


笑J

実質的に官僚社会主義の国日本では
脱官僚を唱う民主党が与党となっても
政治主導の道は平坦ではなかった。
官僚は使いこなすものだとうそぶいた某総理も
結局は官僚に使いこなされて笑いものになっている。
当然民主党の総理のいずれも右往左往して何もできなかった。
とどのつまり
ほとんどすべての政治家は官僚よりは勉強不足だし
ほとんどすべての日本人はお上頼みだし
おかげさまで
下々によるお上への陳情とお伺い
お上による下々への交付金と補助金は大流行。
これらは官僚のさじ加減一つで決まるというのでのあるから
官僚には日本は笑いが止まらない国なのだろう。


笑K

運の悪さ巡り合わせの悪さで
人生の落伍者になったりする人がいる一方
運に恵まれ思わずほくそ笑む人も結構多い。
さしずめ市民運動出の首相もその運の持ち主の一人。
彼が首相になる前の政治情勢で
たまたまそこに前政権の金属疲労あった。
たまたまそこに政治と金の権化とされる政治家いた。
たまたまそこに首相が替わりすぎと非難の現実あった。
たまたまそこにメディア作る世論のサポートあった。
かくて力もない口だけうまい首相が誕生した。
運も実力の内と考えれば
首相になるのも実力あったからとも言えるが
首相になって大震災と原発事故で地金を出して
史上最低の宰相とあざ笑われた。


笑L

東北の大震災ではよい意味でも悪い意味でも
日本のエリートたちの実力のほどを知らされた。
すべての分野であまりにももたもたしていた。
超法規的措置をとっても許されそうな復興対策なのに
自分たちのやり方が通用すると思っている。
だのにマニュアル通りにしかことができない。
彼らの弁明の「最大限の努力をしている」を信じれば
文字通り彼らの資質そのものが低下している。
政治家にしろ官僚にしろ司法の人間にしろ
企業の役員にしろ学者やマスコミ携わる人にせよ
相変わらず日本を差配しているつもりなのだろうが
実際は欲だけ長けた巧言令色の人と
世間から蔑み笑われているということに
気づこうとしないのは何とも滑稽な話である。


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