◆「心の旅路」連続殺人事件 中町信 blog版
新城朝子は旅先のホテルで火災に巻き込まれ記憶をなくしてしまったのだが、
彼女は記憶を無くす直前に殺人事件を目撃していたらしい。
朝子が記憶を取り戻すことが事件の鍵になるのだが・・・
第18回江戸川乱歩賞候補作。(受賞作は和久峻三の「仮面法廷」)
中町作品はこれが3作目ですが、出来ればこの作品を最初に読みたかった。
そう思わせるほど、凝りに凝ったアイデア満載の一作。
でも、3作目ともなるとわかってしまうんですよね〜、作家の思考が。
伏線に関係なく犯人が予想出来てしまったりして、そこが残念でした。
この作品ではじめて中町信を読む方がいたら、どう感じるのでしょうね?
謎解きとしては、「読者への挑戦」がないのが不思議なくらい、
すべてのヒントが文章の中に隠されています。
なにげなく書かれた文章が、あとになって意味を持ってくる。
そういえばあの時あんなことが書いてあったと、
一度読み終わったあとで、もう一度読み返したくなること確実です。
ただ、この作家の作品に難点があるとすれば、それは温泉好き(笑)
そのために、これだけアイデアを駆使した作品なのに、
どうしても2時間ドラマの原作にしか思えない。
事件の背景を変えれば評価も変わるような気がしてなりません(^^;)
あとは「自動車教習所殺人事件」と「高校野球殺人事件」を読んでみたいけど、
どこにもない(^^;)
◆ 天啓の殺意 中町信 blog版
全盛期を過ぎた推理作家の柳生照彦。彼から雑誌「推理世界」編集部に犯人当てリレー小説の原稿が持ち込まれる。しかしその内容は半年前の実在の事件を関係者の名前までそっくりそのまま描いたものだった。
騙されました。
仕掛けがあるのは知っていたけど、読んでいるうちにすっかり忘れ、
あれこれ推理はしたものの、すべてはずれ。
最後に「なるほど、そういうことなのか・・・」と、あらためてわかったけど、
それにしては手がかりが少なすぎませんか?
負け惜しみですか?(笑)
最初に描かれる事件はミステリー好きなら誰でも簡単に推理できるもの。
でも、「犯人は○○」と推理した時点では、まだ全体の長さの1/4。
このまま終わるはずはないと思っていると、次の犠牲者が出る。
このあたりから事件も小説も二転三転。
読者である私も、懲りもせずよくあるパターンの推理をして、
すっかり読みきった気分になる(笑)
まあ、その推理自体は外れていないんだけど、最後にさらなる大仕掛けが残っていました。
この仕掛けに気付くのは、ほとんど不可能ではないかと思うんですけどね。
ということで、私としてはヒントのフェア度で「模倣の殺意」の方を評価します。
ネタバレ↓
【 てっきり温泉から消えた人が実は生きていて、犯人だと思っていたんですよ。
生きていたというのは当たってたんですけどね。
・原稿の重量感
・コピー代1万円
・花積が2時間以上原稿を読んでいた
これだけで第2章の裏を推理するのは難しいです。
それに、いくら空腹でもいきなり手づかみで食べるというのは信じられない(笑)
警察が浅江の写真確認をしないはずはないし、新聞やテレビにも被害者の写真が出るから、亀岡タツだって入れ替わりに気が付くと思いますが。
】
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